《コモド VS キングコブラ》 (2005年,アメリカ)


 クズ映画愛好家には絶対にはずせないアイテムが,アルバトロス配給の「コモド3部作」,つまり,《コモド》,《コモド・リータンズ》,そしてこの《コモドVSキングコブラ》です。私は残念ながら(?)第1作目は見ていませんが,第2作目と第3作目は見ました。この2編,舞台となるのが無人島であったり,軍の秘密計画の内容といい,軍が爆撃して秘密隠蔽をはかることといい,まるっきり同じです。両者で違っているのは,巨大コブラが登場するかしないかだけです。以前,《コモド・リターンズ》を見た時はあまりの内容の馬鹿馬鹿しさに感想を書くのを躊躇いましたが,今回はしっかり書いてしまうのでありました。

 それにしても,アルバトロスは後を引きますね。余りに酷いから続作はどれほど酷いんだろうと,つい見ちゃうんだよね。おそるべし,アルバトロス商法・・・ま,引っかかる奴は滅多にいないだろうけど。


 で,南太平洋かどっかの無人島にアメリカ軍の研究施設があって,そこで秘密研究をしています。軍の委託で研究をしている博士ってのがいて,彼の研究テーマはクローン技術を駆使して巨大な作物を作ること。それはうまく言って,巨大サトウキビかなんかを作っちゃうんだけど,もちろん軍の目的は「巨大作物を作って食糧危機を乗り切ろう」なんて事にあるわけがなく,その巨大化技術の目的は軍事にあります(そんなのに全然気がつかない博士って・・・)

 そこで軍が持ち込んだのは,コモドオオトカゲとキングコブラ。こいつらを巨大化しろと命令されます。コモドオオトカゲとコブラを巨大化してどうやって軍事に使うんだ,というツッコミが四方八方からはいるところですが,ま,気にしないように。

 で,巨大化したコモドドラゴンと巨大コブラ君が暴れだして研究者を喰っちゃって,何とか一人生き残ったのが博士の娘さん。何で最初はシマヘビとかカナヘビとか,巨大化しても無害そうな爬虫類でまず実験しないかねぇ,君らは・・・馬鹿だねぇ。


 そしてその島で軍が動物虐待実験をしていることを嗅ぎつけた環境保護団体があって,その島に総勢6人で船をチャーターして乗り込み,船の船長さんを含め7人で上陸。そして呆気なく軍の研究施設(にはとても見えない建物なんですけど・・・)にたどり着きますが,そこはなぜか無人です。そしてそこに博士の娘が合流し,それを見計らったように,カメラマンが巨大コブラに飲み込まれます。

 そして巨大化の説明があって,みんなで逃げましょうと言うことで海辺のゴムボートに戻ると,沖に係留しているチャーター船が軍の戦闘機の爆撃で炎上しちゃいます。もちろん,実験が失敗に終わったので証拠隠滅のために軍が爆撃したのです。おまけに海からコブラが上がってきて(いつの間にかコブラ君,海の生活に適応!),一人をパクパクしちゃいます。

 そして,山頂にヘリコプターがあることを知った皆さん,今度は山を目指して移動します。途中の川の中で一人の背中に巨大ヒルが食いつきます。巨大トウモロコシの大きさですが,全然動いていません。どう見てもトウモロコシにしか見えませんが,ヒルだと思ってあげましょう。おまけにこの場面では,なぜか,コモド君もコブラ君も襲ってきません。

 そして山頂に無事到着したところで,待ちかまえていたかのようにコモド君登場。もう駄目,というところで都合よくコブラ君も登場。そして二頭はなぜか都合よく死闘を始めます。そして,軍の爆撃も始まります。でも大丈夫。チャーターした船の船長さんが都合よく空軍のヘリのパイロットをしていたことがあり,無事に飛び立てます。そしてテレビで軍の悪事を暴きましたとさ。めでたし,めでたし。


 というわけで,このいい加減な筋書きがすべてを物語っています。2匹の巨大モンスターはすべてCGでして,ま,そこそこコモドとヘビに見えますが,どちらも形がちょっと変ですし,おまけに動きもかなり変。それなのに,何度も同じ映像を使い回ししています。人間を喰っちゃうシーンも笑うしかないほど手抜きで情けないです。

 博士の娘の「実験開始から3週間は何も起きなかったのに,いきなりコモドとコブラが巨大化して・・・」という説明はもうこの際,気にしないことにします。この娘さん,途中で「怪物は2匹とは限らないわ。増殖して何十頭にも増えているかも」と説明するシーンがありますが,残念ながらそういうシーンはありません。なら,こういう説明しないで欲しいです。

 事件を秘密裏に処理しようとする軍関係者が二人しかいません。軍もよほど人材不足と思われます。

 島に上陸する7人は,演技力ゼロのヘタっぷりですが,女性3人は巨乳なので許します。でもオッパイポロリのサービスシーンはありませんので,変な期待しないように。でも,博士の娘さんが結構美人です。この人は華がありました。見所はこのお姉さんだけだったなぁ。

 そういえば,軍の爆撃機ですが,飛び立った時と爆撃する時で機種が違っていたような気が・・・。最低限,それくらいは揃えとけよ!


 あっ,そういえば,本編が終わった後,死んだと思っていた人間がいきなりガバっと目を開けるシーンがありますが,思いっきりはずしています。まさに無駄シーンです。

 ふと思ったんだけど,この島に乗り込む環境保護団体ご一行様,なんで衛星経由で話せる携帯電話を持って行かなかったんでしょうか。いくら南太平洋でも衛星回線は使えますよね。それで音声やら静止画像やらをテレビ局に送れば,島の爆撃は避けられたんじゃないでしょうか。2005年なんですから・・・。

(2007/06/13)

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