《マーダー・ライド・ショー》 (2002年,アメリカ)


 俗悪系スプラッター・ホラー映画。殺人鬼一家を題材にしていて,《悪魔のはらわた》と基本的には同じです。監督は1990年代にホワイト・ゾンビというハードロック・グループを率いて,ハード・ロック界のカリスマといわれていたロブ・ゾンビで,彼の初監督作となります。

 ま,要するにですね,他人に肉体的な痛みで恐怖を与えるのが三度の飯より好きという鬼畜一家と,その一家に襲われる4人の若者の物語です。そういうわけで,キチ○イ系殺人鬼系スプラッターホラー映画としては特に新味があるわけでありませんし,派手な「血がドバドバ」「内臓ネトネト」シーンがあるわけではありませんが,頭にいきなり電気ドリルを突き立てたりするシーンなどがありますので,こういうシーンに弱い人は見ない方がいいでしょう。


 まず,いいところ。音楽の使い方と映像センスは抜群です。特に音楽はさすが本職というところで,絶妙のタイミングで音楽が挿入されます。とりわけ,踏み込んできた警官を殺すシーンでの,のんびりしたカントリーソングは秀逸でした。

 画像も凝っていて,色を反転させた画面が続いたり,意味のない細切れの映像が挿入されたり,それがまた独特の味わいとなっています。恐ろしげなシーンで,出るぞ,出るぞと脅かしておいてなんにもなく,安心した瞬間にギャア〜,というタイミングもいいです。いい意味で,ホラー映画をよく知っているな,という感じです。

 それから,日本語吹き替えが遊びまくっています。冒頭,大阪弁と東北弁の掛け合いみたいなのがあるのですが,東北弁のやくざ言葉がおかしいの何のって。これには笑いました(ちなみに,私は東北生まれです)


 とは言っても,手放しで誉める傑作かというとそうでもありません。展開が月並みすぎます。どっかで見たよね,という感じなんですね。それと,犠牲者は割と早い時間に次々と殺されたりするのですが,そこで登場人物を使い果たしてしまい,残りの少ない犠牲者で時間稼ぎをする羽目になっています。そのため,展開がちょっとまったりモードになってしまい,スピード感がありません。

 それに対応するように,後半はホラー・シーンも少な目になってしまい,中だるみ状態です。鬼畜一家も確かに鬼畜揃いなんだけど,ぶっ飛び方が足りません。

 それと,最後の20分くらい,具体的に言うと棺桶に入れられて埋められそうになるあたりなんですが,ここから先がそれまでとストーリー的に整合性がまるっきりありません。まるで別映画です。唐突にわけのわからない人物が登場したり,「これ,何なの」というシーンがあったり,「そもそも,これは何をしているの?」ということをしたり,どうにも理解不能です。おまけに,逃げ回るシーンにしても,どこにあれだけの地下通路があったのか,どう考えても不自然です。


 最初の60分はかなり緻密に作っていますので,多分,ここまでは事前によく考えて作ったんじゃないでしょうか。しかし,肝心の終結部分は「最後に考えればいいや」と撮影を始めたものの,最後になったのにどうやって終わらせるかが思いつかず,しょうがないんで,取って付けたような終結部をくっつけたように思われます。

(2007/05/24)

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