《プラネット・オブ・エイリアン》 (2005年,アメリカ)


 ゴミ映画だということを確認するために見ました。やはりゴミでした。

世界中を感動させた「クラッシュ」のヤン・ケーベリン製作、怪優ブルース・キャンベル主演と、一流のスタッフ&キャストで贈る驚異の映像世界がここに誕生!人類を家畜にしたエイリアンと、地球解放軍の戦いを描くSFアクション!
 なんて宣伝しておりますが,もちろんすべてウソでございます。三流のスタッフ&キャストでおくる,ツッコミどころしかない悲惨なほど出来の悪い驚異のクズ映像世界でございます。何でこんな映画を2005年に作っちゃうかな。そちらの方が「驚異」でした。

 原題は何だったか忘れちゃったけど,内容は明らかに《猿の惑星》のパクリです。だから,この邦題はある意味とても正しいです。とは言っても,本家の《猿の惑星》は大昔に一度見ただけなので,どういう映画だったかはよく覚えていなかったりしますが・・・。


 えーとですね,宇宙開発のために宇宙に行っていた4人組がワープで40年ぶりに地球に帰ってきたら,地球はシロアリ型エイリアン(サイズは人間と同じくらい)に占領されていて,人間は奴隷にされていた,というお話しです。人間たちはシロアリ・エイリアンに抵抗するなんて考えもなく,ただこき使われているだけで,桶に入った食事を与えられたりしています。また,エイリアンにおべっか使って,奴隷に命令する人間や脱走した奴隷を捜す賞金稼ぎをしている人間もいます。

 そういうところに宇宙飛行士4人が帰ったわけですよ。もちろんこの4人はアメリカ人ですから,自由が大好き,というか自由のためなら命を懸けるし,3度の飯より自由が好きだし,自由のためなら自由がなくなってもいい,なんていうくらい自由が好きです(・・・多分・・・)。人間は自由に行動しなければいけない,というのが行動のテーゼなんですね。

 4人の宇宙飛行士のうち2人は呆気なく殺されますが,残った二人のうちの一人の男性がこの映画の主人公です(もう一人は女性)。彼は「医師になろうとしたけどなれなくて接骨医になった」という設定です。接骨医と言っても,映画の中では整体師というかそういう感じです。
 そういえば,整体師が正義のプロレスラーになって暴れる《ホネツギマン》という無茶苦茶悲惨系クズ映画があったことを思い出しました。あれもツッコミどころしかない無惨な映画だったなぁ。

 ちなみに,シロアリ型エイリアンたちがなぜ地球にきたかというと,食料が木材だからなんだって。だから,アメリカの都市の周りにある森林を伐採しては,宇宙に送るのが目的なんですよ。「奴ら,森を伐採するばかりで植林しないんだ」,「それじゃまるっきり,地球を食い物にしている訳ね。許せないわ」という会話がナイスです。石油を浪費するしか能のないアメリカ人に聞かせてやりたい会話です。


 で,アメリカ人は自由でなければいけない,というわけで他の奴隷さんたちを鼓舞するんだけど,奴隷根性にまみれている奴隷さんたちは及び腰。でも,アメリカ大統領が生き残っていて,どっかの山奥で密かに反乱軍を結成しているらしい,という噂が伝わってきます。

 そこで,宇宙飛行士の2人は脱走してアメリカ大統領を見つけてシロアリ退治をし,人間の尊厳を取り返そうとするわけですね。で,二人は脱走するんだけど,整体師先生だけ逃げられて女性は捕まっちゃいます。

 そして整体師先生,奴隷たちの中でまだ望みを捨てていない青年を連れて野を越え山を越え,伝説の大統領を捜す旅に出て,その途中で人間が平和に暮らしている村に到着して(なぜシロアリ・エイリアン軍団がこの村を見逃しているのかはまるっきり説明なし),そこで巨乳ヘソ出し美女を助けてお供に加え,賞金稼ぎを改心させてお供に加え,釣りをしている人間をお供に加え,次第に「大統領探し隊」は人数が増えていきます。このあたりは「桃太郎のキビ団子軍団」みたいで微笑ましいです。


 そして,アメリカ大統領を見つけますが,既に大統領は腑抜け状態で,反乱軍なんて知らないよ,ってな感じで,油絵なんぞを描いています。その大統領の前で整体師先生が「自由に行動するのが人間だ。私は一人でも闘う」と熱弁をふるいますが効果なし。しょうがないんで,材木工場(?)に戻って奴隷たち(とヒロイン)を助けようとします。

 で,木材工場に弓矢で攻撃をかけます。ほとんど中世ヨーロッパの戦争みたいな感じですが,大丈夫です。シロアリ・エイリアンは弱いからです。ちょっと腹部を刺されると緑色の血液(?)を吹き出して死んじゃうし,手足の先(シロアリという設定だけど,あの足の構造はどう見ても鞘翅目だと思います。というか,体の作りはどう見てもシロアリではないです。・・・ちなみにシロアリは,蟻ではなくゴキブリの仲間です・・・が,どうでもいい知識ですね)をもがれるとすぐに死んじゃいます。

 でも,シロアリ君たちはミサイル(?)を発射できる装甲車(?)を持っていたため,ミサイル(?)を人間反乱軍に打ち込んで形勢逆転。もう駄目かと思ったら,腑抜け大統領が弓矢で武装した反乱軍を組織し,助けてくれるのです。ビバ! アメリカ大統領!

 やがて,整体師先生をリーダーにするアメリカ解放軍(?)はアメリカ各地を転戦してはシロアリ駆除(?)するという「自由の戦い」を続けるのでありました。


 えーとですね,短い映画なんですが,ストーリーを要約するのは大変でした。行き当たりばったりの展開のため,どういう筋書きだったかを思い出せないのです。無駄なシーンばかりのため,途中で何度か寝てしまったようです。すみません。

 それにしても,シロアリ・エイリアン君,弱すぎます。どこかを刃物で刺せば死にます。なんでこの程度のエイリアンに地球が占領されたんでしょうか。この程度なら,何かといえば拳銃を振り回すアメリカ人一人か,アーチェリーの山本先生と源氏の那須与一か,あるいは浪速の亀田三兄弟がいたらやっつけられそうです。

(2007/05/18)

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