《ダ・ヴィンチ トレジャー》 (2006年,アメリカ)


 このタイトルを見たら誰でも「どうせ,《ダ・ヴィンチ・コード》のパチもんなんだろう」と察しがつくと思います。もちろん,その通りです。しかも,恐ろしく出来が悪いパチもんです。予想を上回る(下回る?)粗悪品です。「ダ・ヴィンチって名前を付ければ間違ってDVDを借りる奴がいるかもしれないし・・・」程度の発想で作られたことがミエミエです。《ダ・ヴィンチ・ウォー》とどちらがより駄作か,判定が難しいです。

 一応,この映画は生意気にも次のように紹介されています。

ダ・ヴィンチが残した最大の秘密、ダビデ王の財宝を探せ!「トリノの聖骸布」、「最後の晩餐」など、いわくつきの作品に隠されたコードを解明する、記号謎解き系アクション・アドベンチャーが誕生!

 でも全部ウソ。謎解きも適当ならアクションシーンも適当,当てずっぽうでいい加減な推理でいつの間にかお宝が見つかっちゃいます。行き当たりばったりに謎を解く様子はまさに想像を絶しています。


 要するに,数々のダ・ヴィンチの作品に描かれている様々なモチーフや道具や象徴を使って,トリノの聖骸布をああでもない,こうでもないとひねくり回したり,イタリア語で書かれた本を見つけるとなぜかそこに秘密がかかれていたり,洞窟にはいるとなぜか松明(たいまつ)が準備されていたりと,もう何でもありです。

 洞窟の行き止まりに隠し扉があって,そこを開けるには謎を解かないといけない,というこの手の映画の定番シーンでも,「そうだ,モナリザがヒントだ。彼はここで二つの対立するものを描いている。そして構図はピタゴラスの定理,つまり,3:4:5だ。だから,3,4,5が答えだ」と謎解きするのです。まさに電波系の推理です。なんでここでモナリザが絡んでくるんだか,全然わからないし,「ピタゴラスの定理といえば3,4,5だ」というのも意味不明。もしかして映画監督,ピタゴラスの定理って辺の長さが3,4,5のものだけだって勘違いしてないか?

 聖骸布をダ・ヴィンチの眼鏡で見ると3-Dに見えてきて,そこから画像を読みとる,というシーンもすごいです。「エジプトの象徴(犬の頭をした人間)とアマゾンと何とかが見えた。この3つを地図でプロットしてみよう。ううむ,わかった! この3つの中間点だ」,「ということはアフガニスタンね」という無茶苦茶な会話があってアフガニスタンに行っちゃいます。何で中間点なんだ?

 そして,煉瓦(この煉瓦って何だったの?)に刻まれている数字は緯度と経度に違いないと推理して,GPSでそこに行くと,なんと入り口があるんだけど鍵がない。頭にきて煉瓦をたたきつけると鍵が出てくる・・・なんてシーンもナイスでした。何で数字が緯度と経度なんだよ。なんでアフガニスタンの緯度と経度をダ・ヴィンチが知っているの? ダ・ヴィンチがGPSも発明したっていう気じゃないだろうな。


 アクションシーンのテンションの低さも情けないくらいです。逃げる車をヘリが追ってきて,ヘリから機関銃を撃ってくるシーン。車の方にあるのは小型のライフルみたいなのがあるだけ。ところが,ヘリが機関銃を連射するんだけど一発も当たらず,車から撃ったライフルは一発で当たっちゃって,ヘリは爆発炎上!

 映画の前半もツッコミどころ満載だったような気がしますが,前半だけで3度ほど,見ていて意識が遠のいたため(あまりにつまらなかったために睡魔に襲われた),どこがどうひどかったかはよく覚えていません。

 そうそう,この映画はやたらとストップモーションというんでしょうか,数分に一度は画像が止まって見て欲しい物や人物をアップにしてくれます。親切のつもりなんでしょうが,これがうざいのなんのって,これがあるたびに感興が殺がれ,数分ごとにイライラさせられます。映画監督は,これが格好いいと思っているんでしょうか。


 この映画で唯一の救いは,登場する二人の女優さんがそろって巨乳さんなこと。脱いだりするサービスシーンはありませんが,胸の谷間というか,はみ乳はしっかり見せてくれます。この映画の取り柄って,これくらいだったな。

(2007/05/04)

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