《ナイトフォール/夜来たる》 (2000年,アメリカ)


 この映画を見た人がすべて,「これほどしょぼくて情けないSF映画は見たことがない。絶対に見ない方がいい」と評価していたんで,敢えて見てみましたが,やはり人の意見というのは聞くものですね。2000年に公開された映画だと言うことが信じられないヘッポコ映画でした。というわけで,皆さんは絶対に見てはいけません。話のネタになる部分すらないほど手抜きの映画なんですから・・・。

 このタイトルを見てピンと来る人はわかるとおもいますが,アイザック・アシモフのの短編SF小説,「夜来たる」を映画化したものだそうです。とは言っても,私はアシモフの作品は読んだことがないので,どの程度の映画化なのかは知りませんが,原作を知っている人によると「これほど酷い映画化は見たことがない」ということですから,どれほどチャチな映画化なのか,想像がつきます。


 要するにですね,6つの恒星の連星系があって,そこにあるエオンとかいう惑星が舞台です。ここは何しろ太陽が6つあるため,常に太陽(恒星)が光っている訳でして夜がないのだよ。で,その星を支配しているんだか,一部地域のみを支配しているんだか判らない宗教教団があって,1000年に一度,闇が支配して大混乱になるとか言う教えを信じているんだとさ。でもって,その星の住人は暗闇というのを見たことがないので,闇を異常に恐れている訳よ。

 一方,その星には大学があって,そこで天文学を研究している人たちは,その1000年に一度の人類絶滅と6連星系に何らかの関連があるんじゃないかと研究しているんだ。

 そしたら,地面を掘っていたらいきなり穴が開いちゃって空洞になっていて,そこに大量の人骨が発見されるんですよ。その秘密を探ろうとする女性科学者がいて,教団の監視員なんだけど変わり者の青年とその穴に入ったりして,どうやらその絶滅は,1000年周期で回っている小さな惑星があって,それが日食を起こし,闇になったためにみんなが半狂乱になって互いを殺し合ったためだ,ってことを発見する,っていうナイスなストーリーです。


 まず,宇宙のどこかの惑星,という設定ですが,ロケ地はそのまんまインドです。白人数人以外の登場人物はみなインドの方です。もしかしたら,「インド人の惑星」かもしれません。途中で映る街並みもそのまんまインドの田舎です。徹底的に金をかけていません。

 地面を掘ったら穴が開いて,というのはありとしても,あんな大きな空洞で天井があんなに薄いのですから,その縁に人が立っただけで崩れるはずですが,ま,気にしないようにしましょう。

 映画の画面が古いというか,脚本が古いというか,カメラワークが古いというか,映画全体の雰囲気は50年くらい前の安物SF映画を彷彿とさせます。なんだか画面がセピア調に見えてくるくらいの古くささです。古き良き時代というか,三丁目の夕日の頃の映画ってこんな感じなんだよ,という感じです。

 SF映画のくせにSF的小道具が「太陽エネルギー光線銃」一丁しかない,というのがもの悲しかったです。住人たちが殺し合いに使う武器は笑うくらいでかいダンビラ刀です。

 舞台となっている星はとても小さく,教団本部と大学の間は歩いていけます。冒頭の「骸骨穴」にも歩いていけます。というか,町中には車も自転車も走っていません。

 パッケージには,CGを駆使していると宣伝していますが,どこがCGなのかさっぱり判りません。超能力ファイト・シーンもチャチです。そんなに予算がないのなら,何も無理して映画を作らなくてもいいのに,と言ってあげたくなります。

 ヒロイン役の女の子はそこそこきれいですが,その友人役の女の子がぶーちゃんです。この子がヒロイン役でなくてよかったなぁ,と思います。

 未発見の惑星による日食はいいとして,日食時間が長すぎます。見る見るうちに太陽が日食になり,あたりが暗くなってしまったのに,その後,皆既日食状態が延々と続きます。互いに殺し合って絶滅してもまだ,日食です。惑星エオンの自転が止まっちゃったんでしょうか。

 そういえば,発見された頭蓋骨にはすべて頭頂部から前額部正中にかけて10センチくらいの傷が付いているのですが,なぜ,全員が同じ場所に傷が付いているのか,全然説明ありません。もちろん,そこを刃物で切ったくらいでは血が出るだけで人を殺せません。ま,この程度の間違いはこの映画ではかわいいものです。


 というわけで,この映画だけはクズ映画ファン以外は見てはいけません。これに比べたら,アルバトロスのクズ映画の方がまだ見所があるくらいです。

(2007/04/0)

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