《アンダーワールド2:エボリューション》 (2005年,アメリカ)


 というわけで,ケイト・ベッキンセイル主演のシリーズ第2作を見た。アクション映画としては質はかなり高いと思うし,謎解きの要素もあるし,このジャンルの映画としてはかなり質が高い方だと思う。何より,ベッキンセイルの美貌が際だっていて,第1作目よりさらに美しさに磨きがかかったような印象すらある。彼女の華麗なアクションを見ているだけで十分に楽しめることだけは断言しよう。

 だが,アクションシーン,戦闘シーンにあまりに重きを置きすぎたために,細かいところまで見ていくとアラが見えてくるのも事実だ。要するに,第1作の緻密な世界観が十分に生かされていないのだ。このあたりが気になるかどうかで評価が分かれてくると思う。

 また,第1作目の「現代社会のビルの谷間でヴァンパイアとライカンが血みどろの死闘を繰り広げ,セリーンが颯爽とビルから飛び降りる」というスタイリッシュな感じが後退したのもちょっと惜しい。

 つくづく,シリーズ物は難しいものだと思う。


 さて,第1作目のラストでセリーンはビクター(ヴァンパイア一族を率いる長で,実はセリーンの家族を皆殺しにした張本人)を復讐のために殺した。そのため彼女は,ヴァンパイア一族から追われることになった。そんな彼女の味方はヴァンパイアとライカンの混血種となったマイケルしかいない。彼女が助かるためには,ヴァンパイア一族の祖であるマーカスを蘇らせて事の真相を明かすしかない。

 一方,仲間の裏切りで死んだヴァンパイア族の指導者の一人のアメリア,そしてビクターの死体を巨大な船に運び入れ,ヴァンパイアとライカン両方の動きを探る謎のグループも加わり,謎が深まっていく。そして同時に,失われていたセリーンの過去の記憶も次第に蘇っていく。

 そしてついに最強のヴァンパイアであるマーカスが復活し,彼の目的が,ライカンの祖であり数百年間拘禁されているウィリアムの解放にあることが明らかになる。最強,最悪のライカン復活を阻止するためにセリーンとマイケルは奔走するが,その前にマーカスが立ちふさがる。


 とまあ,そんな内容だったと思う。

 内容をまとめてみて改めて思うのだが,やはり2時間映画としては詰め込み過ぎではなかったかと思う。最強のボスキャラ,ヴァンパイアのマーカスとライカンのウィリアムを登場させるのはいいとしても,両方との決着をつけてしまったため,さすがに急ぎ足になってしまった気がする。

 この映画は第3作目も予定されているらしいが,マーカスかウィリアムのどちらか一方を第3作目に残しておくべきだったのではないかと思う。少なくとも,ライカンとヴァンパイアの共通の祖を登場させるのはいいとしても,第2作目で殺してしまう必要はなかったような気がする。このキャラは次作に残しておいて欲しかった。というか,ヴァンパイアとライカンの主要人物をここまで殺してしまっては,第3作目をどうするんだろうと,そっちの方が心配になる。

 やはり,第1作目であれほどしっかりした世界観を作り上げたのだから,それを壊さずに第2作目を作るべきだったと思う。せっかく,第1作目の世界観を受け継いで第2作目が始まったのに,最後にすべてを壊してしまっては,続編の作成は不可能じゃないだろうか。


 それと,マイケルとセリーンのベッドシーンはない方がよかった。あそこだけ生臭くなっちゃったな。確かに,昼間のシーンなんでマーカス(ヴァンパイア)は襲ってこないだろうけど,二人ともちょっと油断しすぎだよ。もちろん,撮影当時32歳のベッキンセイルの裸はとても色っぽくてきれいで,見られて嬉しかったことは否定しないけれど,映画全体の流れとしては緊張感を殺いでしまったと思う。

 最後の戦闘シーンはかなりの迫力だし,ヴァンパイアやライカンの変身シーンも結構いいし,グロいシーンは第1作目より遙かにグロいし,そう言うところはこの手の映画としては水準以上だと思うし,十分に楽しめる。そして何より,主役のベッキンセイルという華もある。それだけに,第3作目を作ることまで視点に入れて,全体の構成を考えてほしかったし,そうすべきシリーズ映画だと思う。


 というわけで,第3作目を勝手に予測。

 もしも第3作目を作るとすると,セリーンとマイケルの間にできた子供(第2作目でエッチしているし・・・)が実はものすごい戦闘能力を持った新種になり,そいつが暴れ回り・・・と展開するしか方向がないんじゃないかと思う。第2作目の最後が「未来」というセリーンの独白で終わるのもその伏線かな? ま,よけいなお世話だろうが。

(2007/04/21)

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