ケイト・ベッキンセイル主演のシリーズ第1作目です。これは本当に面白いです。ヴァンパイアと狼男族(ライカン)の死闘を描いたアクション映画で,ベッキンセイルはヴァンパイアの女戦士セリーンという役ですが,これがムチャクチャ格好いいのです。冒頭,彼女がビルの屋上からマントを翻して地上に楽々と降り立つシーンから始まりますが,彼女の美しさと強さがこのシーンだけで伝わってきます。両手に拳銃を持って撃ちまくるシーンもスカッとします。
とにかく,見終わった後すぐに「続編が見たい」と思ったのですから,どれほど面白かったかがおわかりと思います(とは言っても,私ははベッキンセイルのファンなんで,その点は差し引いて読んでね)。もちろん,速攻で第2部も借りましたよ。
舞台は現代で,人間社会の裏でヴァンパイアとライカンがお互いに相手を滅ぼそうとして,数百年間にわたり抗争をしています。そのヴァンパイアの「ライカン処刑人」がセリーンです。彼女はライカンの行動を監視しているうちに,マイケルという青年医師をライカンがつけねらっていることに気がつきます。そして同時に,ライカン側に不審な行動が続きます。セリーンは,ライカンの動きとマイケルという人間に何らかの結びつきがあると考え,ヴァンパイア族の指導者に進言しますが,受け入れられません。
そして,セリーンがマイケルに接触を図ったその時,ライカンが襲ってきます。ライカンに噛まれたマイケルをつれて必死の逃走を試みますが,二人の乗った車は海面に突っ込んでしまいます。
一方,永い眠りについているヴァンパイア長老復活の儀式があり,その儀式のために世界各地から集まったヴァンパイアのVIPたちをライカンが急襲する事件が起こります。
ここから先は,裏切りに次ぐ裏切りの連続があり,その中でヴァンパイアとライカンを巡る謎が一つ一つ明らかになっていきます。セリーンは,ライカンになってしまったマイケルを愛してしまい,生き残りをかけてセリーンとマイケルが最後の戦いに臨みます。
まずこの映画,なにがいいかというと,あらゆる謎がすべて,きちんと説明される点です。そもそもヴァンパイアとは何か,ライカンとは何なのか,人間と彼らの関係はどうなっているのか,なぜヴァンパイアとライカンは争っているのか,なぜライカンはマイケルを捕らえようとしているのか・・・といった謎はすべて明快に説明されます。つまり,架空世界を舞台にしているのに,その世界観が明確であり強固です。
さらに,セリーンがなぜ処刑人の道を選んだのか,セリーンがなぜヴァンパイアになったのかもよくわかるし,ヴァンパイア側の指導者のセリーンに対する態度の意味も十分に理解できます。
要するに,ヴァンパイアとライカンというおとぎ話的存在をテーマにしているのに,大人の鑑賞にも堪える十分な説得性を持っているのです。このあたりは見事といっていいでしょう。
また,小道具もそれなりに凝っています。ライカンが手に入れたヴァンパイア殲滅用の弾丸は「紫外線弾」だし,対するヴァンパイア側の弾頭は「硝酸銀弾」です。こういう細部も嬉しいです。
とにかく,セリーンの華麗なワイヤーアクションと銃撃シーンの見事さ,次々に明らかになる謎ときの連鎖を楽しんでください。そして何より,セリーン役のベッキンセイルの輝くばかりの美貌,美しい肢体としなやかな動きが見るものを圧倒します。
(2007/04/17)