盗まれた最新鋭のステルス機のノヴァを勇敢なアメリカ兵が取り戻しにリビアに潜入する,というありきたりのB級映画です。登場人物もこういう映画に登場する典型的な連中ばかりだし,ストーリー展開も超ご都合主義満載のいつものやつです。ま,どうせ,暇つぶしに見るアクション映画ですから,多くを期待しないで見ましょうね。
それと,10年前の映画なのに画面全体がちょっと古臭く見えるのが難点。映画の最初の方のセスナ機はラジコンにしか見えませんし,空中戦闘シーンも迫力ありません。そのあたり,観客には温かい目と広い心が要求されます。
ストーリーは単純。アメリカ国防省が極秘裏に開発したステルス戦闘機があって,これはレーダーで見えないばかりか,人間の目からも消えてしまうという性能を持っています。それが,テスト飛行中に消息を絶ってしまうんですよ。犯人はテロリストグループに金で買われたパイロットで,リビアにステルスを着陸させます。リビアにはテロリストグループがいて,ステルスに核爆弾だったか生物兵器を積み込んで,国際会議が開かれるパリで爆発させ,ヨーロッパを壊滅させるんだとさ。
そこで奪還の命を受けたのがヴィンスという空軍のパイロットで,彼がもう一人の仲間とリビアに戦闘機で侵入してテロリスト基地に潜入し,ノヴァを無事に取り戻す,ってお話です。
ボーっとして見ている分にはいいのですが,細部の作りが雑すぎてツッコミどころ満載となっています。
例えば,テロリストグループは銃を構えるだけで撃ってこないのはなぜとか,100人以上いると思われるテロリストたちが拳銃しか持っていないヴィンスになぜ全滅させられたのとか,瀕死の重傷を負った仲間の最期を看取るときにテロリストたちが襲ってこないのはなぜとか,ノヴァが格納されている倉庫をなぜヴィンスが見つけられるのとか,ぼろトラックのフロントガラスが防弾ガラス仕様なのはなぜとか(何しろ,銃で撃たれてもフロントガラスが割れないどころか傷一つつかないんですよ・・・ぼろトラックのくせに・・・),なぜヴィンス一人だけでノヴァを離陸できたのとか,いつあの倉庫からノヴァを外に出したのとか,いくらでもあります。というか,映画の後半は不自然でないシーンがほとんどありません。
ま,そういうのが気にならない人で,暇で暇でしょうがないという場合だけ見て下さい。
途中で,全然必然性のない「オッパイポロリ」シーンがあり,家族団らんモードで見ていると気まずい雰囲気になりますのでご注意下さい。
そう言えば,ステルス同士の空中戦はありませんので,《ステルス vs ステルス》というタイトルはおかしいですね。ちなみに原題は《ブラック・サンダー》,つまり,ステルス機のコードネームでした。
(2007/03/09)