《パズラー2 リターン・オブ・マッドネス Hipnos》 (2004年,スペイン)


 以前,このコーナーで紹介した火曜サスペンス劇場風の青春馬鹿コメディ映画,《パズラー》に,何と驚くことに続編が作られていたんですね。この《パズラー》は本国でもヒットしたわけでもなく,本国以外でも全くヒットしなかった作品なんですが,何を間違って続編を? それって無謀な勇気と言わないか? 君たちは引き返す勇気を持たないのか?

 ・・・なんて思っていたら,こいつ,「2」を名乗っているのに続編じゃございません。そりゃそうか,「1」の方はドイツ映画,「2」はスペイン映画じゃないか。誰だ,「2」ってつけた奴は?

 それにしても,なんで「2」とつけたんでしょうか。「1」を見たことがある人で,「おお,パズラーの続編か。それは面白そう」なんて考える奴は一人もいないはずだからだ。むしろ,「パズラーの続編? じゃ,面白くないから見るのやめようっと」と反応するほうが普通だろう。「1」を見ていて,あえて「2」を見るなんてのは,よほどの物好きしかいないはずだ・・・って,それは俺のことか・・・・。
 いずれにしても,《パズラー》の続編を名乗っていいことは一つもないのだ。むしろ別のタイトルをつけたほうがメリットがあると思うぞ。ちなみに原題は "Hipnos" です。


 えーと,一言でいえば「精神病院を舞台にしたサイコスリラー」ってやつです。冒頭はなかなか軽快ですよ。交通事故の場面ではじまったかと思うと,いきなり殺人事件の現場に刑事が踏み込む場面になり,何がなんだかわからないうちに血みどろの死体が見つかり,一人の少女が血まみれの上体で発見され・・・という,謎が謎を呼ぶスピーディーな展開です。しかも,それが何一つ解決されないうちに,若い女性が車を運転するシーンになり,彼女は巨大な精神病院に新しく赴任してきた精神科医で本映画の主人公なんですよ。もう,何がどうなるのか,全然予想がつきません。

 おまけに,その後登場する自閉症(?)の少女がいたり,院長が彼女に自殺を勧めるような精神療法を施していたり,その数日後に少女が投身自殺したり,女性が手首を切って自殺する絵ばかり描く入院患者がいたりします。さらに,「この精神病院では自殺する患者が多すぎるため,潜入操作している警察官だ」と名乗る患者が現れたり,その患者が主人公に「捜査の協力をして欲しい」と言って来たり,なぜか主人公の精神科医が患者と一緒に夜の海に行ったり,なぜか病院の婦長さん(?)と警官と名乗る患者がセックスしていたりして,何がどうなっているのか,皆目見当がつかなくなります。
 おまけに,主人公のフラッシュバックと思われるシーンが短く挿入されたり,院長先生の「未来はゆっくりと近づき,やがて過去となる」なんて意味不明(・・・よく考えたら当たり前のことだな)の言葉が随所に挿入されたりするもんだから,余計に,「なんじゃ,この映画は?」という感じになります。ラスト5分を切ってもこの調子なんで,「もしかしたら何一つ解決されないままに終わっちゃうんじゃないよね」と逆に心配になるくらいです。素直に画面を眺めていると,何が現実で何が幻想なのか,全くわかりません。


 でも,大丈夫。「精神病院を舞台に,精神療法をしている」というあたりで感のいい人なら予想がつくような結末を迎えます。一応,物語としては起承転結はしっかりしていますが,「おお,なるほど,そうだったのか!」感は乏しいです。個々のシーンを思い出してみても,時系列的な配慮をしていないために前後関係の脈絡がない部分があり,これですべての謎が解決,とはなっていません。

 なぜそうなったかというと,格好いい映像を撮ることに全力を使ってしまったために,謎解きの手がかりになるようなネタと小道具のプレゼンの仕方が下手というか拙稚だからです。要するに,きちんとしたスリラー映画になっていません。主要登場人物が少ない割りに,最後まで見ても「で,結局,こいつは何だったの?」という人間が複数残ってしまったまま終わりになるのも,なんだかなぁ,という感じです。

 前述のように,結末は大体予想できました。まず,精神病院の院長ともう一人の老医師の言動は最初から怪し過ぎます。妖し過ぎるため,こいつは実は犯人じゃないよ,悪者じゃないよ,ということがバレバレです。そうなると,自殺多発事件そのものが虚構だということが推理できてしまうし,しかも舞台は精神病院で精神療法中となれば,その治療の対象は一人しかいません。そう,あの登場人物です。唯一予想外だったのは,婦長さんと自称潜入捜査官と名乗る警官の役割でした。なるほど,それで二人のセックスシーンが短く挿入されたわけか。これだけはちょっと感心。

 それと,物語の展開が遅すぎるというか,単調なんですね。サイコスリラー,サイコサスペンスのわりに緊迫感に欠けています。そのため,「どうでもいいけど,最後の謎解きの部分,まだかなぁ?」という感じになってきます。


 なんて書きましたが,欠点だらけかというとそうではありません。主人公の女医さんが若くて美人です。おまけに,全然関係のないところでシャワーを浴びたりしてはオッパイを拝ませてくれます。巨乳ではありませんが程よいくらいに(?)美乳です。しかもそういうシーンが3箇所ほどあります。後半のお風呂シーンではヘアまで見えます。ただ,裸身はとてもきれいですが,エロっぽい感じは皆無ですから,アホ・ホラー映画によくある「お約束のお色気シーン」という感じはありません。

 それ以外には全く見所はありませんので,美少女が出るならクズ・サイコスリラー映画でもいいや,というスタンスの人以外にはオススメしません。

(2008/06/23)

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