《ユニバーサル・ソルジャーズ アルティメット》 (2007年,アメリカ)


 「端にも棒にもかからない」級,「暇つぶしにもならない」級,「素人の自主制作映画」級のクズ映画。クズ映画ファンにはたまらないものがあり,必見の駄作です。私がこれまで見てきたクズ映画の中でもワースト10に入ります。

 そういうクズに下記のような宣伝文句をつけて売る配給会社,いい度胸しています。

緊迫のシーンの連続!骨太ノンストップ・アクションが登場!
大地に轟くマシンガンの銃声と、音もなく忍び寄る不気味なサイボーグ。アクション作品の破壊力、スピード感など重要な要素を全て詰め込んだアクション・エンタテインメント。
最後に巨大化するサイボーグ・ロボは圧巻の一言!


 これはですね,軍の秘密研究で無敵のサイボーグ戦士を作ろうとしたら暴走しちゃった,というよくある設定のアクション映画でございます。これまでも,コモドオオトカゲを兵士にしようとして失敗とか,サメに人間の知能を移植して兵士にしようとして失敗とか,サーベルタイガーを蘇らせて兵士にしようとして失敗とか,そういう映画なら掃いて捨てるほどあります。もちろんどれもキワモノというかB旧映画ぞろいなんですが,その中でちょっとは見ても面白いものになるためには幾つか条件があるみたいです。

 要するに,「それなり」の説明でいいのですよ。それで見ているほうは何とか90分という時間を潰すんですから。


 ところが,今回のクズ映画のようなものはそういう配慮すらしていません。

 それに加え,この映画では「そもそもこれはどういう映画なのか,どこが舞台なのか,いつの時代なのか?」という説明すらありません。いきなりチャチな建物の中でチャチな戦闘が始まったかと思うと,そのまま全員で外に出て,ひたすら野原の中でサバイバルごっこを始めます。途中で「教授」というのが出てくるので,こいつが事件の説明(なぜ暴走したのかとか,どこに弱点があるのかとか)をしてくれるんだとばかり思っていたら,碌な説明もないまま死んじゃいます。

 このサイボーグ戦士は銃で撃っても死なないらしいのですが,なぜか腹に木の杭を刺すと死んじゃいます。お前ら,ドラキュラか? しかも幸運なことに,その野原には先を尖らせた木の杭(しかも太さも長さも手頃なんだ)がゴロゴロ転がっています。


 対するアメリカ海兵隊の兵隊さんたちはどう見ても世界最強の海兵隊とは思えない素人っぽさが初々しく,動きも兵隊ごっこという感じでほほえましいです。「残りの弾が余りありません」と言っている割には,バカスカ銃弾を無駄に打ち込みます。もちろん,敵は全然死にません。

 それだけでも無能なのに,映画の半分以上の時間は互いのののしりあいに終始します。うるさくてたまりません。

 でも大丈夫,野原でのロケ地では終始のどかな野鳥の鳴き声が聞こえ,海兵隊さんたちの薄汚いののしりあいの声を消してくれます。実際,会話が聞き取れないくらいクリアに野鳥の鳴き声が拾われています。アメリカの野鳥に詳しい人なら,鳴き声で種類が判別できるんじゃないでしょうか。


 サイボーグ兵士さんたちも情けなるようなコスプレです。どう見ても上下一体型の黒タイツを着て上半身だけちょっぴりメカっぽいプロテクタをつけ,顔の半分をメタルカラーに塗っただけです。しかも,どいつもこいつもオッサン体系です。動きが目にも止まらないほど速い,という売り文句なのに,なぜか,ヒロインの女性兵士と格闘する時は普通の動きのスピードになり,なぜか杭を打ち込まれてやられます。

 ここまででも十分にひどいのに,最後のとどめとばかりに登場するのが,「圧巻」という宣伝文句で紹介されている巨大ロボ。久々に笑いました。造詣は某映画のパクリだし,ノロノロとドシンドシンと歩くだけで他の能力は持っていません。一応ロケット弾を打ち込まれても大丈夫ですが,ヒロインが発電所に一発の銃弾を打ち込むとなぜか放電が始まり,それで破壊されて爆発。これほど情けない巨大ロボというと,《女子高生ロボット大戦争》以来でございます。

 唯一の救いは,ヒロインの女優さんがちょっと格好いいお姉さんだったことだけ。その他の俳優さんたちは素人に毛の生えた程度の演技力でした。

(2008/09/23)

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