《ゴースト・オブ・マーズ》 ★★★★(2001年,アメリカ)


 この映画,好きです。あまりにも馬鹿ですが大好きです。何しろ監督はかのジョン・カーペンターです。「B級映画のどこが悪いんじゃ! 俺はこういう映画が死ぬほど好きで,好きで好きでたまらないから自分で作ったんじゃ! 文句をいう奴は見るんじゃねぇ!」という啖呵が画面の向こうから聞こえてきます。何しろ,無理矢理な設定を力ずくで纏め上げ,大馬鹿な内容を大真面目に一生懸命に作り,さらに,どれほど格好よく見せるかにすべてを賭けているのがカーペンターです。ちなみに次のような作品があります。

 要するに,映画なんて楽しめればいいのさ,面白くない映画なんてクソ食らえ,やる気とパワーがあれば内容が破綻していたっていいじゃないか,ってなスタンスの映画好きにはたまらない映画ばかりです。


 舞台は西暦2176年の火星だ。どうやら火星を入植地にして「地球化84%」まで達成してて,64万人が天然資源の採掘のために働いているらしい。

 主人公は火星警察の女性警部補メラニー(ナターシャ・ヘンストリッジ)で,凶悪殺人犯のウィリアムズ(アイス・キューブ)の護送のためにシャイニング渓谷にある鉱山に向かっていた。ウィリアムズはこれまで何度も凶悪犯罪を繰り返してきたが,そのたびにうまく法の網をかいくぐって逃げ回っている伝説の犯罪者だった。

 メラニーたちを乗せた列車はシャイニングに到着するが,そこは人っ子一人いないゴーストタウンと化していた。金曜日の週末,労働者達は女と酒とドラッグを求めて町に繰り出していて,普通ならごった返しているからだ。そして酒場に到着したメラニーたちは凄まじい光景を目にする。首を切り落とされた死体が天井から吊り下げられていたからだ。

 数人の生き残った住民を連れて警察署に戻り,ウィリアムズ他数名の犯罪者と対面。そして周囲を偵察していた警官から,住民が集まり,武器を手に取り,異様な形相をして暴れまくっているという連絡を受ける。そしてウィリアムズが起こした殺人事件は実はこの凶暴化した住民達が起こした事を知る。

 そして惨劇が幕を開ける。生き延びるために,警官とウィリアムズら囚人は協力し合うしかない。そして,原始的武器を手にしたかつての住民達が,ゾンビのように襲ってきたのだった。


 と,ここまで読むと,以前紹介した『アサルト13 要塞警察』と同じことに気がつきます。こちらのほうは,カーペンター監督の《要塞警察》のリメイク版なのですが,設定はまるで同じ。違っているのは襲ってくる相手だけです。

 そして115分の映画の7割くらいは,スズメバチの大群のように襲ってくる異形の住民達を撃って撃って撃ちまくり,空手やボクシングでバッタバッタと倒しまくるだけです。ここらの感じは《スターシップ・トゥルーパーズ》《マーズ・アタック》と同じです。《スターシップ》の場合は敵は昆虫型宇宙人だったし,《マーズ》の場合は頭でっかちの火星人です。そのため,バシバシ殺しまくっても,ま,仕方ないよな,火星人だし・・・と見ている方も納得で,人殺しなんて許せない,なんて感想は間違っても出ませんでした。
 その点はこちらの《ゴースト》も同じ。一応,敵は人間なんだけど,火星人(?)に乗っ取られて意思が通じそうにありませんし,「話せば分かる」という余地もなし。そいつらがひたすら武器を振り回して襲ってくるのですから,こりゃ,殺すしかないな,という感じで納得するしかありません。

 襲ってくるほうが持っている武器はどれも刀とか槍とか,原始的なものばかりが,その中で丸のこ(電導のこぎり)の歯を思われるのを手裏剣かブーメランみたいに投げてくるのですが,これが結構破壊力があります。変な光線銃なんかよりは,マジに痛そうです。22世紀後半になったのに丸のこの歯かよ,というツッコミはなしで見ようね。

 ま,人間に乗り移った「火星の亡霊」には「おらたちの土地は誰にも渡さねーだ」という理由があり,そこに無理矢理入植して行った人間のほうに非があるのは誰が見ても明らか。最後のほうでメラニーが「地球人をなめるんじゃないわよ。このまま火星の幽霊たちにやられて帰ったら地球人の名が廃るわ。やられっぱなしでは帰れないわよ」と引き返すシーンに象徴されています。人類はこのようなことばかり昔からしてきたわけですが,火星に行っても同じなんですね。


 メラニー役のナターシャ・ヘンストリッジは《スピーシーズ》シリーズの主演女優さん。相変わらずきれいで巨乳です。しかも戦闘能力が高いです。変なワイヤーアクションやCGを使わずに戦闘シーンを撮影している分,かえって,「強いよなぁ,この姉ちゃん,すごいよ」という気分になってきます。
 ウィリアムズ役はアイス・キューブですが,相変わらず良い味を出しています。根っからの犯罪者なんだけど,味方についたらこれほど力強いやつはいないでしょう。彼も戦闘能力が高くて見ていて安心します。

 そして,最後のシーンがいいです。これがあるのとないのとでは大違いです。

(2008/09/30)

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