《NAKED ネイキッド》★★★(2007年,アメリカ)


 原野の中を全裸の若い女性が,ボウガン片手に追いかけてくるサイコ野郎から逃げ回るという,サイコホラー系のサバイバル映画。おそらく予算はそれほどかけていない映画と思われますが,後半の緊迫した場面の連続といい,ある意味,驚愕のラストシーンといい,一旦見始めてしまうと最後まで目が離せなくなる作品でしょう。

 ただ,全体の半分くらいは全裸の女性が走り回ったり隠れたりするシーンですし,残虐シーン自体は少ないものの主人公の女性が逃げ回り,敵に立ち向かっていく過程で次第に精神を病んでいく様子はかなり痛々しいし,決して万人にお勧めできる作品でないことも事実です。特に女性は見ない方がよろしいかと思います。

 また,「裸の金髪女性ばかり映る映画」と聞いて,エロ目的で鑑賞しようというのも止めた方がいいです。裸はありますが,エロの要素は皆無です。身に纏うもの一つなく大自然の中に放置された人間の脆弱さに,見ているだけで痛みを覚えるだけです。その意味で,体当たりでこのヒロイン役を演じた若い女優さん,すごい役者根性です。

 そういう映画なんで,気軽に見られる映画ではないような感じです。観客に気力と体力を要求する映画じゃないでしょうか。


 舞台はアメリカ南部,ニューメキシコの田舎町。ここに新保安官が赴任します。彼は正義感が強く,前の職場では不正をした同僚を告発したためそこを追い出され,この田舎町に飛ばされたようです。そしてこの町は行方不明者がアメリカで一番多い地域だったのです。しかし,行方不明になるのは売春婦だけだったため,警察は捜査に本腰を入れようとはしません。

 そしてその町に,23歳のダイアナという女性がやってきます。彼女はある田舎町のコンテストで優勝し,女優としてこの町で働けばやがてラスベガスの舞台も夢ではないと聞かされて,家出同然にやってきたようです。しかし,連れて行かれたのはオッパイ丸出しの女性がステージで踊っている店で,彼女もストリッパーとして踊るように脅されます。もちろん拒否しますが,家に帰るならここまでの旅費と諸経費,利子の分を全て払え,もしも逃げ出したら,おまえの家族や親戚のところに押し掛けるぞ,と脅迫されます。

 一方,この町ではハンティングが盛んで,他の州では許可が必要な大型獣も簡単に獲物にできます。その町にとけ込もうとした新任保安官はハンティング仲間に紹介され,そこでコリンという男と知り合いになります。

 一方,普通にステージで踊っているだけでは小銭にしかならないことを知ったダイアナは,店に来る客相手に売春を決意。そして店に来たコリンの隣に座り,話を持ちかけます。一度は売春を決意したダイアナですが,やはり自分にはできないと断ります。するとコリンは彼女を殴り倒し,拉致されます。

 彼女が再び気が付いたとき,彼女は原野のど真ん中に全裸でした。そしてボウガンを構えたコリンが彼女に言います。「15分だけ時間をやる。できるだけと奥に逃げて皆」と・・・。訳も分からず,ダイアナは全裸,素足で森に逃げ込みますが,コリンにとってダイアナは,単なる「二本足で走る獲物」でしかなかったのです・・・という映画。


 サイコ野郎のコリン,ぱっと見には普通のおっさんですが,外見が普通である分,余計に怖いです。しかも,この手の映画の定石として,倒したかと思ってもしぶとくまた追いかけてきます。途中でダイアナを助ける親子,特にお兄ちゃんと弟の死体が無惨です。こいつらまで殺しちゃうのか,コリンは。だから余計に,コリンをダイアナが車でひき殺すシーンはスカっとします。やはりこういうサイコ野郎は,念入りに殺さないとだめですね。

 また,ダイアナの失踪を警察に訴えても,「売春婦の失踪なんざ,珍しくもない。どうせ,他の町に流れていったんだろう?」と,全く相手にしないと言うのも,いかにもありがちで,変にリアルな感じ。そして,ダイアナが逃げ回る原野の広大さ無辺さを前にすると,こんなところに死体が5つ,6つ転がっていたって,絶対に見つかりっこないよな,こんなところで一人の女性が失踪したところで,見つけられっこないよ,という気になってきます。


 いずれにしても,一言で言えば「金髪女性が裸で走りまわる映画」なんですが,内容はかなりハードでサイキックな脱出劇なんで,覚悟を決めてからご鑑賞ください。

(2009/01/28)

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