《アパートメント》★★ (2007年,アメリカ)


 以前紹介した秀作ホラー映画《モーテル》の製作スタッフが作ったホラー映画です。《モーテル》は畳み掛けてくるようなサスペンスフルな展開が結構よかったのですが,この《アパートメント》はテンポが悪く,おまけにオカルトに偏りすぎたため,「あまり面白くない,とりえもないホラー映画」になってしまいました。


 ストーリーは簡単です。大学の休み期間で学生寮に残った5人の学生(女子3人,男子2人)だけが残ります。女子3人組は仲良しで,そのうち1人は男子1名とお付き合い中・・・というわけで,「誰もいない寮で思いっきり騒いじゃいましょう」というお馬鹿青春モードに突入。ところが,女子の一人(ローレン)は以前から幽霊の夢に悩まされていたのですが,もちろん,誰もそれを信じません。

 しかし,学生寮の残った男子1名(コンピュータヲタクでしかも心霊現象研究をしている変人だけどちょっとイケメン)の部屋にローレンが「騒いじゃってごめんね」って誤りに行って,そこでこの寮が100年前に建てられたもので,40年前に住んでいた少女のエレベータ転落事故で死ぬという事故があったことが判明します。その少女が家族と暮らしていた部屋がまさにローレンたちが住んでいる部屋なのです。そして,変人イケメン君が暮らしている部屋は当時のビル管理人の部屋でした。そして,ローレンが悩まされている幽霊はこの少女だったことがわかります。

 しかし,幽霊の存在を信じようとしないルームメイトに信じてもらうため,もう一人の男子1名が降霊術をしたらどうかと持ちかけます。そしてなかなか降霊しないため,もう一人名前が判明している当時のビル管理人の霊も呼び寄せます。ところがそのビル管理人は5人の少女殺害の罪で30年前に死刑になっていたのです。彼女たちは連続殺人鬼の霊を蘇らせてしまったのでありました・・・という映画です。


 少女の幽霊は首が折れている姿でちょっと怖いです。欧米の幽霊でなく,日本のホラー映画に登場する幽霊に近い感じです。なにやら,ジメジメとした陰性の怖さで,アメリカのホラー映画ではちょっと珍しい感じです。

 対する殺人鬼@管理人の幽霊の方はふつうのオッサンの姿ですが,目が危ないです。しかし,姿格好がふつうのオッサンなんで,見ていて怖くはありません。

 この手の映画なら,お馬鹿さんから順番に殺され,最後に残ったヒロインが反撃する,なんて展開になるのが普通なんですが,この映画ではなかなか殺されません。最初の犠牲者が登場するのは40分過ぎてからじゃなかったでしょうか。しかもその後も驚かされるばかりで,殺される人はなかなかいません。

 お馬鹿カップルが「空いている部屋でエッチしましょう」というシーンになり,あっ,こいつは3分後に殺されるな,と思っても大丈夫。しかも殺人鬼幽霊は殺人鬼の本分(?)を忘れ,単なる覗き魔@スケベおやじになってしまいます。ここでは,お馬鹿カップルの可愛い女子1名が行方不明になるだけです。


 で,呼び出した幽霊はどうやったらいいんだよ,という話になり,すると,先ほどのお馬鹿カップルの片割れ男子が「先週,ゼミのレポートで心霊現象を信じる文化についてまとめたばかりだ」ということを思い出し,そのレポートに書いた方法を試みることになります。「呼び出してしまった霊を殺す(?)ためには,死んだのと同じ方法で殺すしかない」のだそうです。「運良くゼミのレポートで勉強したばかりだ!」というよくある展開ですが,都合がよすぎてお笑いになってしまいましたね。

 結局,その管理人幽霊を誰かに乗り移らせる儀式をして,乗り移った瞬間にそいつを殺せばいい,という物騒な話になり,さすがに人じゃまずいだろうということで,それまで何度も登場しているオウムが犠牲に選ばれます。学生達は手をつないで輪になっていれば幽霊は乗り移れないそうですが,幽霊君の方がちょっとだけ頭が良かったようで,あっさりと学生一人に乗り移っちゃいます。この幽霊君は勉強熱心で機転もきくんだよ。

 しかも,学生寮のすべての入り口はシャットアウトされ外に出られません。どうやら,管理人の幽霊が得意の知識を駆使して電子錠をロックした模様です・・・って,40年前に死んだ人がなぜ最新ハイテク電子錠を自由に扱えたんでしょうか。この映画の最大の謎です。

 それにしても,最初の降霊術に至る過程も訳が分かりませんよね。少女の幽霊はすでにそのあたりを歩き回っているわけですから,何もわざわざ降霊する必要もありません。と思っていたら,この問題は映画の中でも指摘されていました。さすがに制作陣も矛盾に気がついたようです。


 というわけで,典型的B級映画です。女子3名はそれぞれちょっと可愛いですが,無駄オッパイシーンはございません。1カ所だけエッチしそうになるシーンはありますが,B級ホラーに必須のエロさはありません。

 ちなみに,エンドロールでちょっと続きがあります。もしかしたら第2作を考えているのかもしれませんが,シリーズ化するほどの映画じゃないですね。

(2009/05/06)

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