《ハウス・オブ・アッシャー 〜アッシャー家の崩壊〜》★★★ (2006年,アメリカ)


 エドガー・アラン・ポーの小説を基にした映画です。ポーの映画は小学生から中学生の頃,集中的に読んだ記憶があり,確かこれも読んだはずなのですが,内容は全く覚えていません。映画としては80分ほどの短い作品なのですが,多くの謎が説明を付けられずに放り出されたままになっているため,この映画だけ見ると「だから結局何だったの? これはなぜだったの?」と疑問符だらけで終わってしまいます。
 重厚なゴシック系のホラー風味のサスペンス映画で映像はそれなりに凝っていて,一方ヒロイン役もすごく美しいのですが,それしか見るべきものはないような気がします。


 主人公は美しい若いジル。彼女は3年前にロデリック・アッシャーという恋人が突然姿を消し,傷ついた過去があります。同時に,彼の双子の妹マディとも連絡が取れなくなります。そしてある日突然,ロデリックから「マディが死んだ。葬儀に参加してくれ」と連絡が入り,人里離れたアッシャー家の豪邸に向かいます。

 葬儀に参列したジルにロデリックは,「あと数日でマディと僕の誕生日だ。それまで屋敷にいてくれ」と申し出,ジルは屋敷に滞在することになります。しかし屋敷では常に無表情のアッシャー家に雇われた看護師に見張られ,しかも夜に不思議な物音がするし,森ではマディと思われる女性の姿を見たりします。おまけにロデリックは不思議な病気にかかっていることも明らかになり,それが代々続くものであることが明かされます。ジルとロデリックはよりを戻しますが,程なくジルは妊娠してしまったことを知り,そこでアッシャー家の恐るべき秘密が・・・という映画です。


 アッシャー家は古くてでかくて暗くていわくありげで,それだけでも不気味です。そして,何かが起きそうな雰囲気なんだけど何も起きなくて,そう思ったら・・・ということで,実は怖さはほとんどありません。怖がりの人でも大丈夫なレベルでしょう。

 問題は,アッシャー家の秘密は双子とロデリックを苦しめる病気にあることは明かされますが,それが遺伝的なものなのか,何かの呪いみたいなのによるものなのか,そこら辺が全く不明な点にあります。これじゃ,アッシャー家では代々,双子の赤ん坊を残して親が(病気で?)死んじゃうわけで,とうの昔にアッシャー家は崩壊していたんじゃないのとか,親が死んでアッシャー家の子供たちの収入源はどうなっているんだろうとか,ロデリックの病気は光線過敏症を主症状とする遺伝性疾患だろうから,こんな屋敷にとどまっていないでさっさと入院すればいいじゃん,21世紀なんだからとか,そういうことばかり気になります。

 それにしても,ロデリックの病気について「神経衰弱。現代でも原因不明の奇病」と説明していたのには失笑もの。あの治療用タンクも何なんだろうね。19世紀ならあれでも納得するんだろうけど,21世紀じゃ,ちょっと無理ですね。
 要するに,19世紀なら通用したであろう設定をそのまま21世紀に持ち込んでしまったため,「なんじゃこりゃ」系の一歩手前になっちゃったようです。舞台を19世紀のままにしとけばよかったのに・・・。


 意味不明といえば,アッシャー家に雇われている無表情ナース。30年間アッシャー家から一歩も外に出ていないんだとか。地縛霊か,君は? こいつの役割がよくわかりません。何でロデリックを殺そうとしたのかも判らないし,妊娠したジルに注射した意味も不明。流産させようとしたんでしょうか? そして意味不明なのが,マディさん。君は一体何をたくらんでいたの?

 もっと判らないのが,最後のジルの決断。君,それでいいの? 生まれてくるのは病気の双子でしかも父親は死んでいるんだよ。
 というか,あの車のシーンで,何で大人しく連れ戻される? 車の外に脱出するとか,ハンドルを奪うとか,何とかしろよ。


 あまり怖くないホラー系で美人ヒロインが登場する映画が見たい,という人にだけオススメ。

(2009/05/12)

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