やたらとうるさかったな,という記憶しか残っていない「スプラッター+ホラー+オカルト」映画。全体の構成がわかってしまうと,結構悪くない映画だったような気もするし,観客を怖がらせる工夫は随所にしてあります。また,最後のあっと驚く無理矢理な展開も「無理矢理感たっぷり」で逆に面白いです。しかし,そこに行き着くまでのテンポが悪いんですね。しかも,かなり早い段階でヒロインが悪夢男に襲われてしまうため,見ている方は「残りの60分間,どうやって時間を持たせるつもりなんだろうか?」と逆に心配になってきますが,その心配が当たっちゃうのです。
ストーリーは難しくありません。子供ができないことを悩んでいる一組の夫婦(ビルとエレン)がいて,どうしても子供が欲しいエレンは通信販売でアフリカかどっかの「子宝に恵まれる仮面」を購入します。しかし,届いた仮面は2本の角の生えた悪霊のような顔をしている不気味なものでした。そしてその時から,エレンはその仮面をかぶった男に襲われる悪夢を見るようになり,薬が手放せなくなり,ついに夫はエレンを精神病院に入院させようとします。
80キロ離れた精神病院に車で向かうビルとエレンですが,車も通らないような山道でガス欠になっちゃいます。そこでビルはエレンを車に残し,15キロ離れたガソリンスタンドに歩いていくことにします。そして一人残されたエレンを仮面の悪夢男が襲います。
悪夢男に追われたエレンは山の中にある別荘を見つけます。そこでは,二組の若いカップルがパーティーの真っ最中。彼らはエレンを助けますが,その別荘を悪夢男が襲ってきて・・・という映画です。
エレンを襲ってくる悪夢男ですが,あまり強くなく,ジェイソン君のような「こいつ,殺しても死なないんじゃないか?」という感じはしません。エレンに馬乗りになってナイフをかざすまでいっているのに,簡単にエレンに逃げられます。しかも,足に怪我をして逃げるエレンになかなか追いつきません。単なる時間稼ぎをしているとしか思えません。このあたりから,よほど鈍い人でなければ誰でも「この悪夢男は超自然的な何かでなく,普通の人間が仮面をかぶっているだけだな」と気が付き始めます。
では,悪夢男は誰かというと旦那のビルしかいません。エレンとの中がうまくいっていないらしいことは明らかだし,エレンと関係のある登場人物は他にいないからです。80キロの山中を走るのにガス欠なるなんて,いかにも怪しいです。おまけに,15キロ歩いてガソリンスタンドにむかう・・・なんて,最初から怪しさプンプンです。
とは言っても,「ビルが悪夢男だった」というだけなら小学生でも気が付きます,多分そうじゃないんだろうと言うのも気が付きます。だから,残る可能性は一つだけです。と言うわけで,その後,悪夢男の正体は明かされますが,この正体はちょっと反則でしょう。これで納得しろと言われてもなぁ・・・。
その後,「真の悪夢男」が登場! これにはちょっとびっくりしたよ。ここから映画はいきなりオカルトモードに突入し,怒濤の展開となります。この勢いで最初から作ってくれたら,面白い映画になったのに,と言う気がしますが,まぁ,この映画の監督に期待するのは無理かもしれません。
エレンを悪夢男が追いかけるシーンでは,二組のカップル(いわゆう馬鹿ップル)のうちの一人の女の子が「エッチで感じているまね」をするシーンと重ね合わせるという,無意味に凝っているシーンがあります。いわゆる一つのモンタージュ手法,ってやつなんでしょうが,全く無駄だったような気がします。
エレンとその他の二人の女の子は結構美人で,いずれもナイスバディです。彼女たちのオッパイ・サービスシーンもしっかりありますが,そんなに多くありませんので,そういうシーン目当ての人には物足りないかも・・・。
一番最初に「うるさい映画」と書きました。映画の前半はビルとエレンの会話シーンが多いのですが,ほとんど怒鳴り合っている感じでうるさいです。二組のカップルのパーティーも無意味にうざったいです。しかも,効果音がこれまたうるさいときています。
というわけで,内容がなくてやたらとうるさくて,オイオイという急転直下の展開が好き,というコアなファンにだけオススメさ。
(2009/05/15)