《レディ・ヴァンパイア 美しき聖戦 Revamped》★★ (2007年,アメリカ)


 「端にも棒にもかからない」級,というか,「見ているのが気の毒」級の駄作映画。何でこんなしょうもない映画を2007年に作っちゃうんだろうか。作っていて疑問を持たなかったんだろうか。映画制作陣はどこかで引き返す勇気を持たなかったんでしょうか。

 多分,もともとのアイディアは悪くなかったと思うんですよ。でも,予算不足のためにアイディアを実現する場がことごとくなくなり,その結果として「だからこの映画って何なのよ?」という物になってしまったんだろうと思いますね。作り手の意欲が貧乏のために空回りしちゃったのでしょう。貧乏が悪いんです。

 ちなみに,分類としては「ホラーコメディー映画」になるんだと思いますが,コメディーの部分がことごとく滑っています。笑うに笑えない,というコメディーです。このあたりも,見ていて辛いものがあります。


 とりあえず,内容を要約・・・・・・するのが,大変なんだ,この映画は・・・・・・内容が無茶苦茶だから。

 エーと,主人公は中年男のリチャード君。妻の浮気を知って絶望し,自殺しようとするんだけど,拳銃は弾が出ないし,首吊りをしようとするとシャンデリアが抜けちゃうし・・・というわけで,死ぬに死ねません。そんな時,偶然にも「Kiss Of Death社」のテレビコマーシャルが流れ,そこでは「首筋を咬まれるだけであなたは永遠の命を得ることができます」と言っているじゃございませんか。そこでリチャード君,これは吸血鬼になりましょうというキャンペーンだと見抜き,「吸血鬼になって妻の浮気現場に乗り込み,復讐してやろう」と考え,この会社に電話をかけて「吸血鬼宅配サービス」を頼んじゃいます。そして,妻への遺産相続を放棄手続きをしちゃいます。

 でもって,早速やってきたのは美人吸血鬼。リチャード君,血を吸われちゃって仮死状態。普通ならここでリチャード君は吸血鬼として復活するんだけど,遺産相続できなくなった奥さんは葬儀費用が出せなくなり,一番安い火葬でいいわ,とリチャード君の遺体を燃やしてしまいます。

 ですが,いろいろあってリチャード君は5年後に吸血鬼として蘇ることができました。ところが,その5年間で,「Kiss Of Death社」のおかげで世の中には吸血鬼と不完全吸血鬼(ハーフ・ヴァンパイア)が大量発生してしまい,人類とヴァンパイアの間で生き残りをかけた闘争の真っ最中なのでありました・・・ってな素敵な映画でございます。


 2行前に「人類とヴァンパイアの生き残りをかけた闘争」と書きましたが,実は大嘘です。登場人物が少なすぎて(総勢30人程度),人類とヴァンパイアの最終戦争,なんて構図にはなりません。せいぜい,体育館みたいなところで戦争ごっこをしているだけにしか見えません。それもこれも,人類側もヴァンパイア側もの登場人物が少なすぎるためです。例えば人間側は特殊部隊が7人くらいと,あとは刑事さん2人くらいだったと思います。これで「人類の未来をかけた戦争」と言われてもなぁ。

 しかも,オジサン,オバサン俳優がやけに多いです。どうやら1980年代のB級映画に出演しているB級スターが大集合しているんだとか。こういう「高齢化した昔のスター」達が,しょうもないギャグで笑わそうとして必死になっているのです。でも,その努力(?)空しく,昭和50年頃だったらこういうギャグでも笑えたと思いますが、残念ながら21世紀の笑いのセンスではありません。しかも、演技がやけに素人っぽくて、大袈裟過ぎるか演技しなさ過ぎかのどちらかです。

 こういうB級ホラー映画なら,お色気シーンは必須というか,本編が詰まらないからせめてオッパイでもご覧下さい,となるわけですが,この映画はそういうサービス精神は希薄です。オッパイの谷間は見せるけど,それ以上は意地でも見せないもんね,というこだわりを感じさせるカメラワークです。まぁ,ピチピチのお姉さんじゃないからオッパイを見せてもらわなくてもよかったな,というのが正直なところですけどね。


 その他にも,ツッコミどころは満載でございます。


 ちなみに《レディ・ヴァンパイア》というタイトルですが,主人公は実は中年のおっさんヴァンパイアです。何で主人公かというと,「ヴァンパイアになったのに人間の理性を失っていない選ばれた存在」だからなんだってさ。

 これだけでも噴飯物の映画なのに,生意気にもエンドロールで超下らないNG集を収めています。こんなのを作る暇があったら,もっとまともな映画を作れ,と言いたくなるようなNG集です。要するに,この映画監督たちは基本的なところで映画作りについて勘違いしているんじゃないでしょうか。

(2009/05/19)

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