《カット》 (2008年,アメリカ)


 たまたま見つけたビデオを軽い思いつきで見始めたら,実はそれはスナッフビデオ(本当の殺人の様子を撮影したビデオのこと)だった,という以前紹介した《モーテル》という映画に似た設定の映画です。ただし,《モーテル》の方はかなりよくできた本格的サスペンス・サバイバル映画でしたが,こちらの方は「人体をどうやって壊して殺してやろうか」という点に焦点を合わせたグロとゲロをぶちまけたような超低予算(何しろ舞台は廃屋と小汚いドライブイン,そして森の中だけです。金が全くかかっていません)B級拷問系スプラッター映画です。よほどのスプラッター好きなら別でしょうが,普通の映画ファンは絶対にみない方がいいと思います。殺害方法もひどいけど,ウンコに汚れた便器がこれでもか,これでもかと映されるため,マジで気分が悪くなるからです。
 ちなみに,アメリカで実際にあった事件を元にしているとか・・・。


 一応,ストーリーを紹介しときますか。

 ブライアンとピートの兄弟(高校生と大学生)が友人のザック,そしてザックの婚約者のレイチェルと一緒に森にキャンプに向かいます。4人はドライブインのような店で一休みしますが,そこで店主から「森の中の小屋に行って店に必要なものを持ってきた欲しい。金は出すし,夜の飲み代はタダにしてやろう。小屋のそばにキャンプ場もある」と持ちかけられ,渋々受け入れます。

 で,キャンプ場でテントを設営していると,「2日前から女友達とキャンプにきているんだけど,彼女が帰って来ないし,連絡もしてこない」と困っている女性と親しくなります。そして,彼女も同行することになり,その小屋に向かいますが,戸棚の中から曰くありげな8ミリビデオを見つけ,「こういうのはポルノビデオに決まっている。ちょっと見ようぜ。撮影機もあるしさ」とよせばいいのに鑑賞会が始まります。「おっ,オッパイ!」なんて騒いでいますが,余りの残虐さにビビってきます。そしてブライアンは,本当の殺人ビデオではないかと疑い,その8ミリビデオをポケットに入れます。

 で,店主の約束通り,その晩はドライブインでドンチャン騒ぎとなりますが,キャンプ場に戻った彼らを待っていたのは・・・という映画です。


 とにかく,殺し方が半端じゃありません。同じ殺し方をしないというマニアック(?)ぶりで,作り手側がいかに「殺し方」にこだわり,楽しんで(?)作っているかがよくわかります。「そんなところを痛めつけても痛いだけで死なないよ」という部位を選んで痛めつけるのですから,痛めつけること自体を楽しんでしょう。これまでも,人体に釘を打ちつけるシーンのある映画はありましたが,この作品ではご丁寧にもその釘を釘抜きで引っこ抜いて,別の部位に打ち込むのです。これはさすがの私も見ていて痛かったです。凶器の再利用,地球に優しい殺人鬼・・・ってか?

 前述のように,これはかなりの低予算映画ですが,画像は悪く,かなり暗いです。そのため,画面の輝度をよほど上げないと何がどうなったのか,ほとんどわかりません。画質は悪くてもいいけど,せめてどういう画面なのかが判別できるようにして欲しかったです。まぁ,暗いから怖い,暗いからサスペンスフル,という言い方もできますけどね・・・。

 それと最悪なのが,犯人側の人間像というか,どうしてこういう快楽殺人者になったのかが全く描かれていないことです。犯人は一番最初のシーンでわかっていますから,犯人探しの要素は皆無です。だからこそ,なぜこいつが,というのを説明して欲しかったし,説明しないんだったら,「正体不明の不死身のモンスター」として描くべきじゃないでしょうか。

 「シリアルキラーもの」の定石として,アホな奴から順番に殺される,という鉄則は守られています。この映画の場合,殺されるのはブライアンたち4人+ケイトですが,この中でおバカキャラ,殺されキャラと言えば○○と○○ですが,その順番に犠牲になるので見ていて安心できます(・・・って,安心できるのはこれしかないけど)

 ちなみに,前述のようにこの映画は実際に起きた事件を元にして作られたとのことですが,何年に起きたどういう事件だったのか,犠牲者は何人いたのかなどについては,映画中では全く触れられていません。このあたりの説明は欲しかったです。


 というようなしょうもない映画ですが,この解説を読んでもまだ見てみたい,という御奇特な方だけご覧下さい。でも,多分後悔すると思います。

(2009/05/26)

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