へえ,《ターミネーター》シリーズもついに2018作目まで作られたんだ・・・・ってなことは全くなく,単にタイトルを真似ただけの「小判鮫映画」でございます。内容は無茶苦茶ひどいです。無駄にスプラッターシーンばかり多いです。無駄なエッチシーンももちろんあります。無駄な謎解きもあります。そして,スペイン的っていうんでしょうか,無駄に熱いというか暑苦しいです。ついでに言うと,映画の舞台設定と時間軸がわかりにくいというか,説明不足です。だから,何がなんだかよくわからないまま,映画は終わります。・・・と文句を垂れたら,よく見たらこの映画の配給はアルバトロスじゃん。何だ,アルバトロスか。それなら納得,納得。アルバトロスにしたら,まだマシな方じゃん。
舞台は2018年のスペイン。どうやら,クファード将軍とか言う奴が牛耳っていて独裁国家みたいになっているようですが,よくわかりません。そういうスペインに不法入国する船があり,そこに乗っていたのがアメリカ人青年のダンテ。彼はその船である女性ウーラと仲良くなりますが,その時,船は拿捕され,二人も捕まります。そして,女性の方はいろいろあって,クファードが飼っている犬(ロットワイラー種)に喰い殺され,その犬を殴り殺したダンテは収容所送りになります。
ダンテは何とかして収容所から脱出し,別れた恋人がいるかもしれない街を目指すが(この時点で,ストーリー上の大破綻がわかっちゃいますね),彼を執拗に追いかけてくるのは,かつて彼が殺し,サイボーグ犬として蘇ったロットワイラーでした。超合金(?)の骨格と牙を持つ不死身の魔犬は銃で撃っても車から振り落としても,諦めることなく追いかけてきます。
山岳地帯,山中,都市と目まぐるしく舞台を移しながら,ダンテとロットワイラーの対決が続き,そしてクファードの恐るべき陰謀が明かされるのでありました・・・ってな映画でございます。
えーと,どっから突っ込んだらいいか,迷ってしまうほどツッコミどころ満載です。
まず,DVDジャケットはどう見てもシベリアンハスキーですが,映画の中に登場するのはロットワイラーであってハスキーは一匹も登場しません。確かに,見た目から言うとハスキーの方が精悍だからなんでしょうが,DVDジャケットを見て借りた人は「俺,別のDVDを借りちゃったのかなぁ?」と思うはずです。アルバトロス,いい仕事をしています。
この映画では,一旦死んだ人も幻影のような形でダンテ君の前に現れ,哲学的な問いかけをします。かといって,それはストーリーに全然絡んできません。ただただ,鬱陶しい感じです。何を狙ってこういうシーンを多くしたのか,理解に苦しみます。
ウーラちゃん,どの時点で死んだのかは最後に明かされますが,それがわかってしまうと,今度はダンテの行動の目的がよくわからなくなります。「別れ別れになった恋人を捜すため」に行動していることはダンテ君本人が何度も説明しますが,なんだよ,不法入国の最初の晩に死んでいるんじゃないか。それだったら,「殺された恋人の敵を討つために」という理由付けにしとけばよかったのに,なぜ「恋人に会うため」と説明する?
それと,なぜアメリカ人のダンテ君とどっかの国のウーラちゃんが「収容所群島」みたいなスペインに不法入国しようとしたのか,全く説明がありません。不法入国したら強制収容所に入れられるのがわかっていて,なぜわざわざそこに行くの?
不自然と言えば,なんといっても真っ裸でダンテ君が逃げるシーン。その前のシーンでダンテ君は川に入って魚を捕ろうとしていますが,なぜパンツを脱いでいたの? もちろん,裸でもいいけど,それならオチンチンが映らないようにカメラワークを工夫しましょうね。
B級ホラーといえば,エッチシーンはお約束です。しかし,いかにお約束といえども余りに唐突です。しかも,相手のお母さんの理由付けが何とも無茶苦茶で苦笑するしかありません。ナイフ片手にダンテ君にお尻を出させるシーンも意味ないし・・・。
サイボーグとして蘇ったロットワイラーですが,ほとんどロボットなのに,なぜか人肉をモシャモシャと喰い散らかします。オイオイ,サイボーグが肉喰うのかよ! サイボーグならウランとかメタンハイドレートとか水素とかを喰えよ!
しかも,このターミネーター犬,最初は執拗にダンテ君を追いかけますが,途中からはダンテ君がちょっとでも関わった人間を無差別殺戮していきます。ついには鶏も飼い犬まで殺しちゃいます。どうも,途中から目的を見失ったような感じです。最後には飼い主まで襲っちゃうし・・・。
最後の「超合金骨組み犬」とダンテ君の最終対決も2秒で終わっちゃいましたね。何しろダンテ君,素手だもんね。それで戦えって言われたってダンテ君だって困るよな。そして,翌日の浜辺に「川の字」型に並ぶ3体の白骨死体(一つは超合金だけど)が横たわりますが,なんだか仲良さそうな親子(の死体)みたいで笑えます。
という,無茶苦茶系のくず映画です。よい子は見ないでね。
(2009/07/24)