《地球最後の男たち The Signal》★★ (2007年,アメリカ)


 「なんだこりゃ?」と思っているうちに終わっちゃいました。テレビやラジオから人間を狂わす「シグナル」が出て,それを見たり聞いたりした人間が狂いだして人を襲い始め,「シグナル」に影響されない正気の人間も自衛のために襲ってくる連中を殺すしかなく,やがて正気の人間同士で殺し始める・・・という感じの映画です。が,現実と妄想が入り乱れて区別がつかず,さっき死んだはずの人間がやたらと起き上がってくるし,何が実際に起きているのかは最後までよくわかりません。

 おまけに,人を殺すシーンだけはやけに丹念に描いているというか,殺し方はバラエティに富んでいます。その意味では,「しょうもない映画」というよりは「アブナイ映画」に限りなく近いです。

 ちなみにDVDジャケットのようなシーンは全くないし,DVDジャケットに書かれている解説はすべて嘘という素晴らしi仕事をしています。


 舞台は大晦日のテルミナスという町。映画はいきなり,数人の女性が小屋に閉じ込められて殺人鬼に次々殺されるシーンから始まりますが,実はこれはある女性と不倫相手の男性が見ているビデオです。そして画面がいきなり乱れ,意味不明の「電波系」の画面になります。で,女性は夫に「これから帰るから」と電話しますが,なぜか電話の受話器からは正体不明の音が聞こえてつながりません。そして恋人の携帯電話もどこにもつながりません。

 そして彼女は夫の待つ自宅に戻ります。そこには夫の親友2人がいて大晦日パーティーの真っ最中。野球ファンらしい一人は部屋の中でバットを振り回しています。夫は彼女を質問攻めにします。彼女がシャワーを浴びようとしていると,バットを持っている友人といさかいになり,彼をバットで殴り殺してしまいます。もちろん,テレビは例の「電波系画像」が映っています。で,ヒロインは外に逃げ出すんだけど,アパートの廊下には死体が! 向かいの部屋に住む女性に助けを求めるんだけど,その女性は大きな鋏を持った男に刺されて呆気なく殺されます。


 と,何とかストーリーを覚えていたのはここまででした。ここまででもかなり無理矢理な展開ですが,この後さらにおかしな方向に展開し,最後の場面では,気が狂ったように見えるヒロインを挟んで,夫と不倫相手が殺し合うんだか殺し合っていないんだかよくわからないシーンでおしまい。ラストシーンがどうだったか,記憶も定かではありません。最後の方になると,もうどうでもいいから,早く終わって欲しい,という感じになります。

 まず,映画の状況設定が最後までよくわかりませんし,この「怪電波」の正体も最後まで不明。エイリアンが流した電波なのか,テロの手段として誰かが利用したものなのか,オカルトなのか,それすら不明です。とってつけたような説明でいいから,何か欲しかったですね。

 それと,この現象がテルミナスという街だけに起きた怪現象なのか,アメリカ全土(あるいは世界中)に広がっているものなのかも不明。邦題だけ見ると,世界全体で起きた事件のように見えますが,何しろ登場人物がせいぜい8人程度と少ないため,もしかしたら少数の人間の妄想でしかないんじゃないの,という気もしてきます。


 そして,この映画は3つの部分に分かれていますが(もちろん,登場人物は共通),最初の部分はホラー風味が強く,2番目の部分はコメディータッチ,そして最後の部分は暴力的心理劇,という感じになり,全く統一感がありません。それもそのはず,3人の監督による合作だからです。わざわざ合作にした意味があったのか疑問です。もちろん,各々の部分で人殺しシーンだけ連続するのですが,第1と第2の部分では人を殺すシーンは直接的に描かないのに,第3の部分ではやたらと痛そうな画面ばかりです。なぜ合作にしたんでしょうか。

 殺し方はやけに気合が入っているというか,そういうシーンを撮ることにしか興味がなかったのかもしれません。何しろ,アメリカ映画なのに銃で撃つシーンが一箇所しかないのですからすごいです。刃物で刺す,鋏を突き刺す,バットで殴り倒す,というあたりは序の口で,風船を膨らます空気入れを首に突き刺すとか,殺虫剤のタンクで頭をグチャグチャに潰すとか(潰れるシーンは映さないけど),殺虫剤を相手の口に注ぎ込むとか,スコップで首を切り落とすとか,電動ねじ回し(ッて言うのかな?)で相手の腕をドアに固定するとか,もうやりたい放題です。

 ヒロイン役の女優さんは理知的な美人さんで,とても魅力的です。この映画の唯一の救いですね。逆に,この手の映画に必須の「お色気シーン,オッパイシーン」は皆無です。本当に全くありませんので,期待しないように。


 というわけで,本当に見る価値はありません。見るだけ時間の無駄なので,DVDパッケージの宣伝文句に騙されないようにしてください。

(2009/07/31)

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