ヒッチハイクで拾った相手が殺人鬼というホラー系サスペンス映画。どうやら、1985年に公開された映画のリメイク版と言うことですが、私はオリジナル版は見ていません。いろいろな映画の感想サイトを覗いてみると、「オリジナル版より杜撰な作り」とか「オリジナル版にあった底知れぬ怖さと不気味さが薄れた」とか「オリジナル版を見ていなければ楽しめるんだろうが」とか、そういう批評が多いです。私は、オリジナルの方は見ていないのでそこそこ楽しめましたが、細かい部分まで見ていくと無理矢理な展開が多いし、説明不足のところは少なくないし、最後の結末の付け方も気持ちはいいんだけど疑問が残るし・・・とまぁ,そんな感じでした。
大学生のカップル、ジムとグレースは友達の待つ湖に向かってドライブ中。途中で土砂降りに見舞われ、そして、道路の真ん中に立つ一人の男と危うくひいてしまいそうになります。車にぶつかりそうになったのに身をかわそうともしない男のそぶりに不気味なものを感じたジムは、男が無事そうなこともあり、置き去りにして先を急ぎます。
しかし、ガソリンスタンドで偶然、そのジョン・ライダーと名乗る男と再会し、数キロ先のモーテルまで乗せていくことになります。しかし、そのヒッチハイカーは突然ナイフを振りかざし、グレースの顔にナイフを突きつけてきます。何とか機転を利かせてジムは男を車の外に蹴り出し,難を逃れます。
翌日、ハイウェイを走らせる二人の車を一台の車が追い抜きます。家族3人の乗るその車の後部座席に座っていたのはあのライダーでした。彼が殺人鬼であることを運転席の父親に知らせようと必死の二人ですが、運転を誤り、車は崖下へ。何とか命拾いをした二人が道に戻ると、車の中に死体が転がっていて、しかもその事件を通報する二人は殺人容疑で逮捕され・・・という映画です。
オリジナル版のジョン・ライダーの方がさらに不気味、という話ですが、こちらのリメイク版のライダーもやはり怖いです。神出鬼没でどこまでも執拗に追ってきて、しかも、ジムとグレースにつきまとうのに邪魔になる人間はバシバシ殺しまくります。それでいて、ジムとグレースだけはすぐに殺さず、最後まで残しておきます。何しろ、二人が逮捕されて取り調べを受けている警察署の中にまで侵入してくるのですから、半端でありません(普通なら、警察署に逮捕されている状態が一番安全ですからね)。
つきまとわれるジムとグレースですが、基本的には「真面目で善良・良い子カップル」です。最初の方で、グレースがいきなりブラ姿になり、「こりゃ、数分後にエッチシーンになってそれで殺される係か?」と思ってしまいましたが、そっちの方にはいかず、「土砂降りの中で困っている人を助けないのは間違っているよね」とずっと悩むくらい真面目ちゃんです。そして、自分の身の危険も省みずに行動したり、必死で救助をして人を助けようとする偉い子ちゃんカップルです。だから、見ている方としてはこの二人に自然に感情移入できます。このあたりは、好感が持てます。
最後にグレースが乗った車が炎に包まれ、そのドアを蹴破り手に銃を持ってライダーと対峙するシーンは格好いいです。結末はあれでいいのか、他の解決法があっても良かったのではないか、という気もしますが、とりあえず見ていてスカッとしましたから、よしとしましょう。
問題があるのは、穴だらけのストーリー展開をどう評価するかでしょうね。あの広いハイウェーでどうやってライダーはジムとグレースを見つけたんだよ、とか、あのトラックはどうやって空から降らしたんだよ、とか、ジムとグレースの乗っている車が道から崖から落ちて二人が死んでいたらそれでおしまいにしていたの、とか、ちょっと考えると不自然な部分は幾らでもあります。もちろん、そういうのを気にして見る映画じゃないんですけどね。
それにしても、グレースちゃん、これからどうなっちゃうんでしょうか。二代目(三代目?)ライダーを襲名、なんてことはないよね。
(2009/08/06)