《マシーン・オブ・ザ・デッド》(2004年,アメリカ)


 いつもネットレンタルでDVDを借りるんですが,時々,映画タイトルだけで適当にパパッと選んでマウスをクリックすることがあります。「〜ザ・デッド」っていうからゾンビ映画かな,ってな感じです。もちろん,中身は確認しません。当然,箸にも棒にもかからない駄作に引っかかることが多いです。ま,時間潰しなんでそれでいいわけですよ。クダラナイ映画の方が評論も書きやすいしさ(・・・と自分を納得させてます)

 そういう中で,久しぶりの超駄作でございました。清々しいほどのクズ映画です。あの伝説の怪作《死霊の盆踊り》とタメを張る歴史的ゴミ映画といえます。オッパイしか出てこないという点でも,《死霊の盆踊り》と双璧でしょう。

 それにしても,2004年にこういう映画を作る意味がまるっきり分かりませんが,クズ映画を極めたいクズ・ファンにとっては必見の作品であることは間違いないでしょう。


 この映画の長所は「ストーリーの紹介」が簡単なことです。

 〔トップレスの美女がシャワーを浴びてます〕⇒〔出来損ないのロボットが登場〕⇒〔手に持ったナイフをウィンウィンと動かします〕⇒〔美女,死んだ模様です〕⇒〔駆けつけたロボット刑事とロボット検視官登場が死体をつつきながら意味のない会話〕⇒〔次の美女がお部屋でオッパイ出してエクササイズ〕⇒〔殺人ロボ登場〕⇒〔ハンマーをウィンウィン〕⇒〔ロボ刑事と検視官の掛け合い漫才〕⇒〔美女がトップレスで音楽鑑賞〕⇒・・・これがなんと30回ほど繰り返されます。

 100分弱の映画で,オープニングクレジットとエンドクレジットにそれぞれ3分くらいかかっているため(理由は後述),映画の本編では3分に1度のペースでオッパイ美女が殺されます。そのため,殺される女性にセリフはありません。「いや〜〜! やめて! 来ないで!」と絶叫するだけです。あとはオッパイをゆさゆさしたり,自分でもみもみするだけです。ちなみに,なぜオープニングとエンドクレジットに5分近くもかかるかというと,殺され役のお姉さんたちの名前を一人ずつ流しているからですね。どうやら皆様,ストリッパーさんらしいです。全員,シリコン巨乳でございます。特に,最後に殺される「女王様」はスイカップどころか「巨大カボチャコンテスト」級の作りもの乳です。


 ちなみに,次のような宣伝文が踊っています。

遥かかなたの惑星からやってきた,マシーン軍団。彼らは知性をもち,高度に発展した文明を持っていた。彼らはなぜ地球にやってきたのか?彼らに次々に襲われ惨殺される若い女性。なぜ,彼らは若い女性だけを狙うのか?そこには隠されたおおきな秘密があった。血みどろホラーにマシーン軍団が襲ってくるというSF要素をミックスした。ホラー作品

 この説明文で正しいのは「次々に襲われ惨殺される若い女性」という一文だけで,ほかは全部嘘。しかも,「若くない女性」が登場しています。それ以外は,「遙か彼方の惑星からやってきた」かどうかも不明なら,「マシーン軍団」も登場しないし,「知性」を持っているようにも見えないし,「高度に発展した文明」を持っているようにも見えません。「SF要素」はまるっきりありません。


 殺人鬼ロボットとそれを追う刑事ロボットが情けない格好をしています。20世紀初頭の映画黎明期だって,こんなロボットは登場しなかったと思います。おまけに,顎と首は動きますが手関節は動きません。100円ショップのおもちゃロボットの方がよほど精巧に作られています。

 

 場面転換で必ず,ビルの前を車みたいなのがピューって飛びます。これにロボット刑事たちが乗っているらしいのですが,背景のビルは「小学生が夏休みの自由工作を忘れてて,8月31日に泣きながら適当に段ボールで作ったビル」より出来が悪いです。その前を飛ぶ車は「昭和30年代のグリコのおまけに入っていたちっちゃな車のオモチャ」よりもちゃちです。

 ちなみに,《〜・ザ・デッド》というタイトルで期待したゾンビさんは登場しません。影も形もありません。

 この映画を借りてみようとする物好きはいないと思いますが,もしもご覧になるのでしたら,日本語吹き替えで見ることをおすすめします。抱腹絶倒です。刑事ロボは関西弁,途中で殺されるオッパイちゃんは東北弁,事件が起こった場所は歌舞伎町という具合だし,内容と言えばしょーもないシモネタのオンパレードです。この吹き替えセンスはすごいですね(・・・レベルは低いけど)


 最後まで早送りなしでこの映画を見た人がいたら,ある意味,尊敬します。私は最初の3人殺されるところまでは普通速度で見ましたが,あとは早送りボタンが大活躍でした。

(2010/05/05)

Top Page