《パラサイトバイティング "The Ruins"★★(2008年,アメリカ)


 ホラー小説の大御所、スティーブン・キングが原作の小説、そしてそれを映画化したこの作品を激賞したことで有名になった作品です。「キングが誉めるんならすごい作品だろうな」と思ってしまいますが、キング自身が作った映画を見たことがある人間としては、「キングが誉めた映画」という時点で疑問フラッグたちまくりです。彼の小説は素晴らしいかもしれませんが、彼の映画作成能力も映画評価能力も疑問だらけだからです。

 という訳で見てみましたが、やはり、かなり微妙な作品でした。原作の小説自体はそれなりに面白いという評判ですから、もしかしたら映画化しない方がよかったのかもしれません。


 舞台はメキシコ。ここにバカンスでやってきたアメリカの2組の馬鹿ップル(ジェフ&エイミー、エリック&ステイシー)がプールサイドでイチャイチャ楽しんでいます。そこで彼らはひょんなことからドイツ人の旅行者マティアスと出会いますが、マティアスから弟が行方不明だと打ち明けられます。どうやら、マティアスと彼の弟は考古学マニアらしく、マヤの未発見の神殿を探していたらしいです。

 マティアスの弟の唯一の手がかりは弟が残した手書きの地図があるのみで、マティアスはそれを頼りに弟を探しに行くつもりだと打ち明けます。その話にジェフが興味を持ち、マティアスの弟捜査に協力しようと言い出します。当初、乗り気でなかった3人もジェフに引きずられて神殿捜索に参加することになり、さらに、4人の遊び仲間のギリシャ人も同行することになります。

 アメリカ4人組は「車と徒歩で2時間くらいでいけるところだし、夕方までには帰ってこれるし、翌朝の飛行機には間に合うよ」程度のお気軽モードで、程なく神殿を発見しますが、ここで事態は急転直下。神殿近くで暮らしていたマヤ族の末裔と思われる原住民たちが突如襲ってきて、ギリシャ人はいきなり撃ち殺されてしまいます。何しろスペイン語も英語も通じませんから何がなにやらわからないまま、4人はピラミッド上の遺跡の上に登って難を逃れます。そして、原住民さんたちがピラミッドの下に集まり、一人として逃がさないぞ、という包囲網を作ります。

 遺跡の頂上に逃げたアメリカ人4人+ドイツ人マティアスは、遺跡の頂上が平坦でテントが張られていることを発見します。どうやら、マティアス弟が設置したテントのようです。しかし、そこは携帯電話は通じず、助けも呼べません。途方に暮れる彼らの耳に、遺跡中央にある穴の奥から携帯電話の呼び出し音が聞こえます。それは、マティアス弟の携帯電話の呼び出し音でした。

 弟はその穴に入って出られなくなったに違いないと考えたマティアスは、遺跡にあったロープ巻き上げ器を使って穴に入りますが、ロープが切れて穴の中に落下してしまいます。マティアスを助けるために女性一人がロープで穴を下りますが、マティアスは意識はあるものの腰から下の感覚はなく、脊髄損傷の状態らしいとわかります。そして、降りた彼女も下腿裂傷を受傷。そこで、テントを壊して担架を作り、それで何とかマティアスを引き上げます。しかしその夜,神殿ピラミッドを覆っているツタが静かにマティアスの足に忍び寄ってきて・・・という映画です。


 ま,要するに,海外でハメを外して馬鹿騒ぎをする兄ちゃん・姉ちゃんがとんでもない事件に巻き込まれる,というごくありがちなホラー映画で,同系統のものとしては《ホステル》《ブラッド・パラダイス》などがあり,「オイオイまたかよ」感は否めません。

 一方,襲ってくるのは植物のツタですが,これはちょっと珍しいかも。もちろんこれまでも植物がモンスター化して襲ってくる映画としては,巨大トマトが人間を襲う《アタック・オブ・ザ・キラー・トマト》とか,樅の木の怪物を人間を襲う《肉喰怪獣キラーツリー》などがありましたが(どちらも映画史に残るであろうキング・オブ・クズ映画でございました),それらに比べるとこの「ツタ」はかなりましでして,ウネウネと動いても違和感はあまりありません。また,ツタの花が携帯電話の呼び出し音のマネをして人間を呼び寄せるという設定も「あり」ですね。


 とは言っても,基本的な部分でおかしなところがかなりあるので,そこらについて順不同で書いていきます。


 というわけで,設定としては面白いけど,いい加減な部分が多すぎる映画です。そういうのが気にならない大雑把な人にだけオススメかな。

(2010/12/10)

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