《CE4 エイリアン・アブダクション "Night Skies"(2007年,アメリカ)


 絵に描いたようなクズ・エイリアン映画。何がスゴいってあなた,エイリアン様に人間が襲われ始めるのが映画が始まって60分になろうとしてからなんですぜ。84分映画ですから残り正味20分しか残ってないんですよ。それまでエイリアンが襲ってこないエイリアン映画でございます。それでは,それまで何をしているかというと,愚にもつかない痴話喧嘩としょうもない会話が延々と続くのです。

 そしてこの映画の見所とされている「エイリアンによる人体実験」シーンになるのはなんと,70分をゆうに過ぎたあたりです。つまり,もう正味10分ほどしか時間が残ってないんですね。一体どうするんだよ,と見ている方がハラハラしてきます。映画の監督はもしかしたら100分映画と勘違いしているんじゃないか,と,変な心配までする始末です。

 ちなみに邦題の "CE4" は「エイリアンとの第四種接近遭遇」のことです。ってことは,第一種,第二種,第三種とあるわけですが,次のようになっています。

  1. 第一種接近遭遇:空飛ぶ円盤を至近距離から目撃すること
  2. 第二種接近遭遇:空飛ぶ円盤が周囲に何かしらの影響を与えること
  3. 第三種接近遭遇:空飛ぶ円盤の搭乗員と接触すること
  4. 第四種接近遭遇:空飛ぶ円盤の搭乗員に誘拐されたりインプラントを埋め込まれたりすること

 そういえば,この映画は生意気にも「1997年3月にアメリカ南西部で発生したフェニックス・ライト事件の犠牲者による体験を元にした実話」なんだそうです。この事件は多数の市民が夜空を飛ぶ異常発光物体を目撃した,というものなんですが,市民の皆様はマリファナでラリっていたんでしょうか?

 ちなみに主人公の元軍人役はショーン・コネリーの息子さんのジェイソン・コネリーさんです。息子といってもかなり歳を食っていて,同じジェイソンつながりでいえば,ジェイソン・ステイサムと同じくらいに「頭髪の維持が不自由な人」です。


 ストーリーを紹介しながらツッコミを入れていきますね。

 舞台はアリゾナで,一台のキャンピングカー(といっても日本の路線バスくらいでかいです)が走っています。乗っているのは5人で,運転しているマット君とその恋人のリリー,マットの妹で「胸の谷間」担当のモリーちゃん,マットとリリーの友人のジョーとジューンのご夫婦という組み合わせです。5人はラスベガスに向かっていたのですが,ジョー君が田舎道を走るのも悪くないね,なんて余計なことを言い出したもんですから,幹線道路からはずれちゃったんですが,マット君が持っている地図が古かったらしく,どこを走っているのか見当がつかなくなります。舞台は1997年ですから,まだカーナビがなかったんですね。

 脳天気のアホ5人組とはいえ,さすがに不安になってきます。この頃から,リリーちゃんが調子が悪そうで吐いたりします。観客の誰もが「これって妊娠だよね」と気が付きますが,なぜかマット君だけは気が付いていません。単なる鈍感野郎です。ちなみにこの時,ジョー君は用もないのに引き出しから果物ナイフみたい刃物を取りだし,テーブルに置きます。後で,このナイフで誰かが怪我をするんだねという伏線でございますよ。


 その頃,空を発光体が六つ,七つ,五つ,六つなど飛ぶもおかし,と飛んでいます。枕草子にも書かれている有名シーンですね。ジューンちゃんとモリーちゃんが気が付き,運転しているマット君まで空を見上げます。あっ,これは事故を起こすな,と思っていると,案の定,道路に止まっているトラックを避けきれずに立木に衝突しちゃいます。

 マット君,車の外に出て,停まっていたトラックの運転手のリチャード(ジェイソン・コネリー)に殴りかかります。この時点でマット君がキレやすいキャラであることがわかります。リリーちゃん,こんなマット君を相手に選んでいいの,とリリーちゃん以外の観客全員が心配になります。すると,キャンピングカーでジョーンちゃんの悲鳴が上がります。もちろん,さっきのナイフがジョー君の上背部(僧帽筋のあたりですね)に刺さっております。ナイフ君,いい仕事してますねぇ。

 「傷が痛いよ」,「ナイフを抜こうぜ」,「こんな時は無闇に抜いちゃダメなんじゃないの?」という発展性のない会話が延々と続き,5分くらい時間稼ぎをします。そこにリチャードさんが登場し,「俺は医者じゃないが,軍隊で応急処置については一通り学んできた」と明かし,ジョー君の傷を診察。「致命傷ではないと思うが,動脈が切れているかも知れないからナイフは抜かない方がいい。しかし止血だけはしないといけないし,傷口も消毒しないとダメだ。ウォッカかウイスキーはないのか?」と言います。2008年のアメリカではしっかりと消毒するのが常識であることがわかる名シーンです。

 ちなみに,刺さっている部位には大した動脈はありませんので,抜いても出血なんてしないのは医学部学生でもわかります。「さっさと抜いて圧迫すればいいだけじゃん」という声が四方八方から入りまくりです。それなのにリチャードくん,ナイフは抜かず,ウォッカをふりかけ(⇒ジョー君,絶叫!),瞬間接着剤で皮膚とナイフをくっつけて「止血をした」と言い張ります。軍隊上がりのアメリカ人,ムチャクチャな治療で楽しませてくれます。さすがは,ショーン・コネリーの息子さん,やることが違いますなぁ。


 とりあえずマット君は車を直そうとします。でも,何かがいる気配がするため,「誰かいるのか?」と偵察を始めたりします。一方,モリーちゃんはいざとなった時に全然頼りにならない兄貴マットと見比べ,頭髪に不自由なリチャードさんに惹かれていきます。モリーちゃん,ナイス選択!
 リチャードさん,自分の身の上話をモリーちゃんにします。どうやらイラク戦争に従軍してイラク軍に捕まり,拷問を受けて心身を病み,アルコール依存症になったんだけど,断酒施設に入ってお酒を止められたんだそうです。リチャードさん,是非,エビゾーさんにも断酒の経験を教えてあげてください。ちなみに,イラク戦争でアメリカ兵が拷問を受けたのでなく,アメリカ兵が拷問していたんじゃないの,というツッコミを入れたくなりますが,気が付かないフリをして先を急ぎましょう。

 そうこうしているうちに,ジョーくんが意識を失います。どうやら傷表面を瞬間接着剤でくっつけただけでは深部の止血ができなかった模様です(そりゃぁ,当たり前だろ,と医学方面からツッコミが入りまくる名シーンでございます)。とは言っても,2台の車は動かないし携帯電話も通じない田舎です。するとリチャードさん,名案を思いつきます。送電線があるってことは,その先に電力を必要にしている家があるはずだ,というアイディアです。オイオイ,送電線があると言っても,何キロ先に家があるかわからないだろう,というツッコミをよそに,リチャードさんとマット君,歩き始めます。森の中を歩いていきますが,呆気なく小屋を見つけます。

 すると,いきなりマット君の姿が見えなくなります。リチャードさんはさすが元軍人ですから銃を構えます。するといきなりエイリアンくんのお顔が迫ってきます。リチャードさん,銃を撃ちまくります。すると,なんとマット君が倒れているじゃございませんか。"Oh, My God!!" でございます。


 リチャードさん,必死に走ってキャンピングカーに戻ります。当然,血だらけです。マット君がいないことに気がついたリリーちゃん,リチャードさんに「その血は誰の血なの?」と詰問しますが,リチャードさん,そんなのに応える暇はありません。何しろ外に,エイリアン様ご一行がウジャウジャ迫っていますから。

 すると,外からマット君の「助けてくれ!」という声が聞こえてきます。兄思いのモリーちゃんはお兄ちゃんを助けようとキャンピングカーの外に出ます。どう考えても,外に出たらヤバそうな感じなんですがさすがは兄妹愛です。モリーちゃんを制止しようとするリチャードさんとリリーちゃんも外に転がり出ます。すると,いきなりモリーちゃんの体が空に吸い上げられます。リチャードさんとリリーさん,車の中に逃げ戻ります。リリーちゃん,ようやく事情が飲み込めます。

 すると,ジョーくんが死んじゃいます。ジューンちゃんが泣き叫んだかと思うと,窓ガラスが割れてエイリアンが侵入し,死体とジューンちゃんを連れ去ります。

 リチャードさんとリリーちゃん,車の外に走り出ます。目指すはもちろん,さっきの小屋です。どう考えてもほったて小屋にしか見えませんが,そこしかロケ地がないのですから選択の余地がありません。二人はなんとか小屋の中に入りますが,ここで何を狂ったか,リチャードさんが小屋の明かりをつけます。自分の居場所をエイリアン様ご一向に教えてどうするつもりなんでしょうか。

 おまけに小屋はボロ小屋です。エイリアンでなくても序二段力士が本気を出したら30秒で全壊だな,というくらいボロいです。それなのにリチャードさん,テーブルを倒してドアを補強します。ううむ,他の壁とか天井とか,どこからでも入って来れそうな小屋なんですけど・・・。ドアだけ補強しても意味ないと思うんですけど・・・。案の定,ボロ小屋は一撃で壊されちゃいます。ここで画面は暗転。


 ・・・そしてリチャードさん,気が付きます。全身,ベタベタした粘液みたいなので覆われています。おまけにどうやら裸のようです。でも,ハゲおっさんの裸を見せてもらっても全然嬉しくありません。そして耳にかすかにリリーちゃんの「やめて!」という悲鳴が聞こえてきます。この時点で残りは10分ちょっとです。いったい,どうなるんでしょうか?

 リチャードさん,粘液の繭みたいなのを破ります。すると,エイリアンさん二人がリリーちゃんの人体実験をしております。エイリアンといっても,アメ横の被り物専門店で500円で売っているマスクと,2,000円くらいで売っていそうなエイリアンスーツ姿です。よほど予算が足りなくなってアメ横で調達したとしか思えません。

 リリーちゃん,服ははぎ取られておりませんが粘液ベトベト姿で状況がよくわかりません。どうやらお腹の胎児を抜き取られてしまったようです。エイリアン二人が向こうに行ったため,リチャードさんがリリーちゃんに近寄ります。手には銃を持っていますが,残りの弾は一発です。絶望したリリーちゃん,リチャードさんに「殺して」と頼みます。リチャードさん,ちょっと迷った後,リリーちゃんの頭に1発お見舞いします。

 そこにエイリアンさんが戻ってきてリチャードさんを捕まえます。リチャードさん,拷問を受けている模様です。そして,彼の悲鳴でまたもや画面は暗転します。

 1週間後,リチャードさんは瀕死の状態で数百キロ離れた砂漠で発見され,助けられます。そして,「実は私はエイリアンに連れ去られて・・・」と話し,この映画が作られたんだぜ,というエンドロールでおしまいになります。めでたし,めでたし。


 たぶん,こういう映画だったと思います。クズ映画を暖かい気持ちで見続けることができる広い心と蛮勇にも似た映画愛を持ち合わせた勇者のみ,この映画をご覧ください。

(2011/02/04)

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