《ライトニング・ストライク》(2009年,ブルガリア)


 モンスター系パニック映画で映像的にはそれほど悪くないんだけど,基本設定の部分がまるで駄目というか,こういう映画を作るんだったらもっと説明すべきところがたくさん残っているだろ,と文句をつけたくなる映画です。どうせB級映画ってのをわかって観る奴しかいないんだけど,それにしたって説明不足過ぎるよという感じです。最後の結末なんてひどいもんです。これじゃ,解決してないと思うぞ。

 おまけに,舞台はアメリカのどっかの田舎なのに,ブルガリアでロケをしたらしいです(・・・なぜにブルガリア?)。訳が分かりません。どうせブルガリアでロケをしたんだったら,もっとブルガリア美女をたくさん出して欲しかったです。

 ちなみに,DVDジャケットのようなシーンは全くありませんので,これで騙さらないように。


 田舎道を一台の車が走っているシーンから映画が始まります。母親のナンシーと高校生くらいの息子が乗っていて,二人の会話から母親はシングルマザーらしく,恋人はいません。これ,映画のラストシーンへの伏線ってやつですな。するといきなり道に落雷! なんと雷が車の後を追いかけるようにドカン,ドカンと道路に落ちます。そして車前方に落雷したかと思うと稲妻みたいなやつで車は真っ二つ! 何とか二人は助かって森の中に逃げ込みますが,雷は二人を執拗に追いかけ,ついに息子さんは雷に打たれて感電死し,母親だけがかろうじて助かりますが,彼女は雷光の中にエイリアンみたいな姿を見てしまいます。このエイリアン,どっかで見たことがあると思いますが,無理して思い出さないよう,お願いします。

 ちなみに,車の中に乗っていれば雷の電流は車のボディを流れて中は安全,というのが常識だったと思いますが,とりあえず常識は忘れて先を急ぎましょう。

 翌日,町の保安官ブラッドリーが事故現場の現場検証をし,乗っていた二人を森の中で見つけますが,この時,見知らぬ初老の男ドノバンがいかにも怪しげに登場。そして一方で,気象学というか嵐の研究者のコナーズ教授と二人の弟子(もちろんお約束で男女ペア。男はチャラ男で女性の方はちょっと美人ちゃん)が登場。

 そして,この町では年に一度の一大イベント「カボチャ祭り」ってのがあって,町長さんは「これで企業を呼び込むんだ」と大張り切り。町長さんは絵に描いたような軽薄男なので,嵐が来ると警告しても「カボチャ祭り」を強行するというのはミエミエのお約束。そして,雷に打たれた息子さんを検死する医者と,保安官の息子さんも登場。これで映画の主要登場人物が全て揃いましたね。

 で,町のバーでは一人の若者が仕事で町を離れようとしています。彼はバーの経営者に見送られてバイクで出発しますが,出発していくらもしないうちにバイクが故障しちゃいます。するとそこに例のしつこい雷が襲い,お兄ちゃんもバイクも黒こげ。連絡を受けたパトカーも直撃を受けて黒こげ。お兄ちゃんとこの警官,黒こげ要員だった模様です。

 で,その夜,町は小規模の嵐に見舞われますが,なぜか冒頭の車を運転していて助かったナンシーさんは意識を突然取り戻し,病院を抜け出ます。病院には看護師も患者も医者も見あたりませんが気にしないようにしましょう。病院を出てふらふら歩いている彼女はなぜか偶然,ブラッドリー保安官の自宅にたどり着き,死んだ息子と保安官の息子を錯覚し,そこで倒れてしまいます。保安官息子は彼女を自宅に運びます。

 そこにドノバンさんを伴ったお父さん保安官が帰宅。ドノバンさん,実はこの不思議な雷で息子を失い,それ以来復讐の鬼となって不思議雷を追い続けていることを明かします。そして,これが自然現象の雷でなく,古代から知られている異次元生物(?)が起こしているものであり,彼は古代エジプトの文献などからこの異次元生物を倒す方法を研究していたのでした。そして,町の酒場の屋上を借りてそこに装置を組み立て,異次元雷エイリアンと対決するつもりだと言うことがわかります。

 そして,「二人同時に不思議雷に打たれると一人が死に,生き残った方は次に不思議雷に打たれても耐性(?)ができていて大丈夫なんだ,だから俺は大丈夫なんだ」という訳の分からない説明をドノバンがしますが,とりあえずここは納得したフリをして下さい。

 ちなみに,ナンシーの病院脱出以降の不自然な展開はすべて,最後にブラッドリー保安官とナンシーさんがカップリング反応を起こすための伏線であることはミエミエですが,まだこの時点では気がつかないフリをしましょう。

 一方,気象学者のコナーズ教授は,「この雷は雷全体の数%を占める特殊なもので,“ブルー・ライトニング”と呼ばれている」という説明を保安官にします。その後,町のバーでブラッドリー,コナーズ,ドノバンが顔を合わせますが,どうやらドノバンとコナーズは以前から顔見知りなんですが(嵐と雷の専門家だからね),仲はすごく悪そうです。コナーズは自然現象である“ブルー・ライトニング”を科学で解明,ドノバンは異次元の存在を前提にしていますから,話は最初から噛み合いません。

 で,みんなが待ちに待った「カボチャ祭り」開催。もちろん,コナーズ教授から雷が襲ってくることを知らされた保安官は町長に祭り中止を進言しますが,それを無視して祭りになるのはお約束。ちなみに祭りといってもすごくチャチで,ただカボチャを並べているだけなんで,とても「町の命運を賭けた一大イベント」には見えないのですが,そこは気がつかないフリをするのが大人というものです。

 そして,ミュージックもスタートし,「ハーイ,ベイビー,楽しもうぜ!」ってな雰囲気になりますが,お約束の“ブルー・ライトニング”が襲ってきます。次々に人が黒こげになります。そこに町長が工場誘致のために祭りに招待したお客さん二人到着。二人は「オイオイ,ここは南国みたいに暖かいって聞いたのに,寒いじゃないか」ってな暢気なことを言いながら車の外に出て,そこで雷直撃で黒こげに。せっかく出てきたのに,20秒しか出番がありません。そしてお約束で,町長さんも黒こげ。保安官の味方だった医者も黒こげ,コナーズ教授も黒こげ,教授の弟子のチャラ男も黒こげと,この時点で主要登場人物のほとんどが黒こげ死体になります。

 しかし,この時を待っていたのが建物の屋上にいた我らがドノバンでございます。そして,ドノバンの話に感銘を受けた保安官の息子さんが「僕も手伝うよ」ということで合流。そしてなぜか,保安官とナンシーまでそこに合流。そこに激しい“ブルー・ライトニング”がありますが,ドノバンさんは保安官に「発電機が1000アンペアを越えたときにスイッチを押すんだ」と命令し,保安官はスイッチオン!すると,ドノバンさんは“ブルー・ライトニング”を操る異次元生物さんのいる異次元に入り込み,どっかで見たことがある風体の異次元生物さんと対峙し,「この時を待っていたぜ」と殴りかかるのでありました。

 さぁ,ここからどうなるんだろうと思っていると,いきなり画面は切り替わり,バーに避難していた人々がよろけながら出てくるシーンになります。もちろん,嵐は去っています。そこにナンシーと息子を伴ってブラッドリー保安官が登場し,ナンシーさんの方を向いてにっこりと笑い,「この町にようこそ」と言います。多分この後,二人の間でカップリング反応が起こるであろうことを匂わせて,映画はエンドロールとなるのでございました。


 この映画を見る人はいないと思いますが,万一,間違って見ちゃっても次のような疑問は持たないようにしてください。

(2011/05/03)

Top Page