《特攻野郎Aチーム THE MOVIE》★★★(2010年,アメリカ)


 うわぁ,懐かしい! 「特効野郎Aチーム」じゃないですか。ご存じ,1985年から1988年にかけて毎週テレビで放送されていたシリーズものです。私はこのシリーズが大好きで,リアルタイムで見ていました。本当に面白かったからです。特に,怪力巨漢でメカに強いコングが武器や車に改造するシーンが大好きでした。というか,この改造シーン見たさに毎回見ていたようなものです。

 ちなみに,オリジナルはベトナム戦争を背景にしていて,「ベトナム戦争の英雄の3人組(ハンニバル,フェイス,コング)は濡れ衣を着せられて有罪となったが,脱獄してアメリカに戻り,天才パイロットのモンキーの助けもあり,Aチームを作る。彼らは,道理が通っていて金さえもらえればどんな困難な仕事でも引き受ける,というスタンスで次々に難事件を解決する」というシリーズものでした。

 そして20年ぶりに見たのが今回の「帰ってきたAチーム」なんですが,評価はちょっと微妙でした。普通に面白かったし,アクションシーンは迫力があったし,砲弾を撃ちながら戦車で落下するシーンはバカバカしくて面白かったし,バンの改造シーンも楽しめました。ですが,なんか違うんですね。私が観たかった「Aチーム」はこれと違うんですよ。

 多分,オリジナルの「Aチーム」を見ていないで独立した作品として観れば十分に楽しめる作品だと思うのですが,1980年代に毎週のようにテレビにかじりついて見ていた人間からすると「似て非なるAチーム」なんですね。むしろ,今のこの時代に「Aチーム」をリメイクした意味は何だったのか,ってな余計なことを考えてしまいました。


 映画は4人の出会いから始まります。コマンド部隊のハンニバル・スミス大佐(リーアム・ニーソン)とその部下フェイスマン(ブラッドリー・クーバー)はメキシコでの特殊任務に当たっていましたが,フェイスが単独で潜入して敵に捕まってしまいます。ハンニバルは彼を助けに行きますが,ひょんなことから別のコマンド部隊のB.A.バラカス(クイントン・ランペイジ・ジャクソン)を知り合いになり,無事にフェイスの奪還に成功します。そして,メキシコでの任務を完了するため,精神は病んでいるが凄腕パイロットのマードック(シャールト・コプリー)も加わり,彼らはアルファ・チーム(Aチーム)を結成します。

 そして数年後のイラク戦争の最中,フセインの部下が偽ドル札の原版を持ち逃げしようとしているという情報がモリソン将軍からハンニバルに伝えられ,Aチームは秘密作戦を立て,見事に原版を手に入れますが,モリソン将軍にそれを渡そうとしたその時,将軍の乗っている車が爆破され,将軍は死んでしまいます。そして原版は行方不明となり,軍は「Aチームがモリソン将軍を騙して敵に情報を流したため」と判断し,4人は軍法会議の結果,地位を剥奪され,10年間の懲役を言い渡され,それぞれ別々の刑務所に収監されます。

 しかし,刑務所の中のハンニバルにCIAのリンチ捜査官が面会し,「偽札原版を持ち出した犯人が分かった。彼らはドイツでアラブ人と会っている。君たちが原版を取り戻せば名誉を回復することができる」と告げます。そしてハンニバルは脱獄し,次々にフェイス,B.A.,マードックを脱獄させ,彼らはドイツに集結し,大胆不敵な原版奪還計画を立て,それを実行に移します。しかし,それは巧妙に張り巡らされた罠であり,Aチームは境地に立たされますが,その時・・・という映画です。


 ストーリーは二転三転し,事件の背後にいるのは誰か,という謎解きの要素はありますが,基本はアクション映画のため複雑な謎解きではありません。こいつが裏で糸を引いているんだろうな,というのは早い時期にわかってしまいますが,それは推理というより,胡散臭いのはこいつしかいないためです。ま,そのあたりはいいでしょう。

 それから,アクションシーンは結構いいです。特に,パラシュート付きの戦車で上空から落下し,湖に着水するために砲弾を撃って軌道修正し,最後は湖面に砲弾を撃ち込み続けて無事に着水,というお馬鹿シーンは最高です。最後の港での派手な銃撃戦もいいし,真犯人とハンニバルのタイマン・シーン,そしてその後の結末もよかったです。


 では,何がダメなのかについて,「昔のAチームファン」の立場から分析してみます。

 まず,Aチームの4人の呼び名に違和感があります。1980年代のテレビでは「ハンニバル,フェイス,コング,(クレージー)モンキー」でしたが,今回の映画では「ハンニバル大佐,ペック中尉,B.A.,マードック」なんですよ。もちろん,アメリカのテレビではこの呼び名で,日本に輸入された時に呼び名が変わった,というのが真相なんですが,この映画を見る人の多くは「昔のAチーム」を知っている人でしょうから,少なくとも日本語吹き替えでは「フェイス,コング,モンキー」として欲しかったです。特に,B.A.なんて最初は「こいつ,コングじゃないの?」と困惑したくらいです。さらに,無理を承知で言えば,当時の声優さんの吹き替えでやって欲しかったなぁ。

 それと,オリジナルのテレビ映画の方は50分で1話完結でしたが,今回の映画では100分になったため,謎解き的要素とどんでん返しを入れることにしたのでしょうが,これが裏目に出た感じです。なぜかというと,オリジナル版のAチームは「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」と同じで,ストーリーが単純明快なんですよ。もしもこれが60分映画だったら偽ドル札原版奪還だけで一話完結するんですが,100分間となるとそれでは内容が足りず,「こいつが黒幕と見えて,実はこいつは操られているだけで,本当の黒幕は・・・」という要素を加えざるを得なくなるのですが,そうなると「普通のサスペンス・アクション映画」になってしまい,何も「あのAチーム」を引っ張り出す必要がなくなるんですね。


 それと,Aチームの各メンバーの行動をオリジナル版と微妙に変えたのもちょっと違和感を感じました。B.A.が非暴力に目覚めてしまう,というエピソードは本当に必要だったのか私には疑問です。というのは,昔のAチームを知っている人間にとってはコングが悩むなんてシーンは見たくないし,昔のAチームを知らない人は従来のコングを知らないわけですから,突然「俺は非暴力に目覚めた」と言われても「それって何」ではないかと思うのです。だって,そういう観客はコングが暴力系の人間だったことを知らないわけですから・・・。

 同様に,最後の作戦を立てるのがハンニバルでなくてフェイスというのもなんだか変。だって,フェイスはナンパ・テクを駆使して「ミサイルからブラジャーまで何でも調達」するプロという設定だからです。もちろん,映画の中ではフェイスは見事な作戦を立てますが,途中で思いがけない横やりが入り,それでも何とか大円団になだれ込みますが,これってAチームのスタイルじゃないですよね。Aチームだったら,ここぞという時には完璧でなければいけないのです。少なくとも,オリジナル版のAチームはそうでした。

 そうそう,フェイスの元カノを登場させたのも何だかなぁ,という感じです。フェイスってさ,毎回毎回,いい女を口説いて本気にさせてはさっと身を引く,というプレイボーイでなければいけないのです。一人の女性にこだわっているなんて,フェイスじゃないですよ。

 あと,最大の失敗はハンニバルが最後まで「大佐,中尉の地位の復活と汚名挽回」を訴えていたのに,この映画ではそのどちらも得られないままに終わってしまうことです。確かに,フェイスが元カノとの熱烈なキスで○○を渡されるのは面白いし,それでAチームが脱出できることは予想されるのですが,それはハンニバルが最後までこだわった「名誉の復活」じゃないのです。ううむ,この結末じゃ,私は納得できないぞ。

(2011/05/27)

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