《マチェーテ》★★★★★(2010年,アメリカ)


 何だ,このぶっ飛んだ面白さは! ロバート・ロドリゲスこの映画とか,こっちの映画とか,この映画の監督)がまたまたやっちまったぜ! もうなんというか,カッコいいシーンのオンパレード。勇気と友情とど根性と,謀略と策略と知略と,お色気と巨乳とナース&シスターのコスプレと,マシンガンとマチェーテ(山刀)とスプラッターシーンをごった煮です。首は切り落とされるわ,頭は撃ち抜かれてジャム状態になるわ,銃撃シーンと爆破シーンはやたらとあるわ,色っぽいネーチャンが沢山出てくるわ,巨乳ユサユサだわと,ロドリゲス監督,やりたい放題である。
 しかも,そういう無茶苦茶さが画面を突き破るくらいパワフルなのに,細部にちりばめられたあらゆる伏線が最後にきちんと回収されていて,極めて緻密なのである。しかも,どの登場人物もきちんとキャラが立っていて,それぞれの見せ場があって,無駄な人物が一人もいない。いやはやお見事である。なんでここまで「精緻なんだけどムチャクチャ」な映画が作れちゃうんだろう!

 ちなみにこの《マチェーテ》だが,ロドリゲスの前作,《プラネットテラー》の導入部で予告編が流され,それを観た人全員が「このマチェーテって映画,面白そう。いつ公開されるんだろうか」と思った作品だが(少なくとも私は本物の映画だと信じていた),実はこの時点では全くの架空映画だったのだ。
 ロドリゲス監督自身,もうマチェーテのことなんか忘れているんだろうな,と誰しも思っていたら,突然,本物の《マチェーテ》が登場! おまけに映画のラストでは《殺しのマチェーテ》,《続・殺しのマチェーテ》の予告まで流れるのだ。ロドリゲス兄貴,あんたはすげえよ。あっしら,どこまでも兄貴について行きやすぜ。


 マチェーテ(ダニー・トレホ)は凄腕のメキシコ連邦捜査官だったが,麻薬王トーレス(スティーヴン・セガール)の捜査中に罠にかかり,目の前で妻と娘を惨殺されてしまう。マチェーテは九死に一生を得,その後アメリカに密入国して国境の町で日雇いの仕事をして糊口をしのいでいた。

 彼はメキシコでの身分を隠して生きていたが,たまたまストリート・ファイトに巻き込まれて腕っ節の強さを披露してしまい,それを見込まれて謎の男から破格の報酬で,マクラフリン上院議員(ロバート・デ・ニーロ)を射殺して欲しいと依頼される。マクラフリンは「不法移民を厳しく取り締まり,国境に電流フェンスを建てて国を守れ」と主張しているタカ派議員だった。

 マチェーテは報酬を受け取ってメキシコからの不法移民が作っている裏組織に金を寄付し,マクラフリンの演説会場に向かい,ビルの屋上から議員に照準を合わせる。そして引き金を引こうとしたその瞬間,マクラフリンの警護をしていた男がマチェーテに向かって発砲し,そしてマクラフリンに向かって銃を発砲! マチェーテがビル屋上から逃げ出す様子はテレビカメラに収められ,彼は議員狙撃犯として警察に追われてしまう。

 やがてマチェーテはそれが周到に巡らされた罠であることを知る。不利な選挙戦を強いられているマクラフリンが自作自演のテロ事件を起こして同情票を得ようとしたのだ。だがそれは巨大な陰謀のほんの一部分でしかなかった・・・という映画である。


 まず何がすごいって,豪華絢爛の男優・女優さんがB級映画の演技に徹していて,しかも彼らにしかできない演技を披露していること。

 中でもマチェーテ役のダニー・トレホは最高だ。このトレホさん,一度見たら一生忘れられない不細工中年おっさんである。連邦捜査官には絶対に見えない顔であり,どちらかと言えば捜査官に逮捕される悪人,それも末端構成員の顔であり,銃撃戦でその他大勢として映画の最初の方で殺される顔だ。だが,そのゴツゴツした無骨オッサンがどんどん格好よく見えてくるのである。生き方に気骨があり,正義にもとる行動を絶対にしないからだ。そのオッサンがマチェーテ(山刀)を振り回して悪者どもをバッサバッサと切り倒していくシーンは爽快そのもの。


 そして,女優陣がどれも素晴らしいのだ。不法移民のネットワークを監視する女性捜査官リベラ役のジェシカ・アルバはいつもながらの可愛さだけど,それだけではなくてアクションシーンをきちんとこなしている。これまで彼女の出演した映画を幾つか見ているが,この映画のジェシカ・アルバは全然違うのだ。

 また,途中で惜しげもなく美乳を見せてくれるビッチ・セレブ役のリンジー・ローハンだが,ラストシーンではなんとシスター姿でマシンガンをぶっ放すのだ。これも格好よかったぞ。

 そして,不法移民をまとめる「陰のまとめ役」にしてタコス屋ルース役のミシェル・ロドリゲスがそれに輪をかけていい。まさか最後にあの格好で再登場するとは予想もできなかったぞ。しかも超セクシー姿で!

 そして,最初の方にちょっとだけ登場するセクシー・ナース二人組も最後のシーンでミニスカ・ナース姿で機関銃を乱射! ナース姿,シスター姿って,コスプレ大会かよ! 見ていて楽しいけど・・・。


 トレホ以外の男性陣では上院議員役のロバート・デ・ニーロと麻薬王役のスティーヴン・セガールが存在感抜群だ。特に,ラスボスのセガールがマチェーテと,日本刀とマチェーテで戦う剣戟シーンは結構楽しめた(・・・さすがにちょっと動きが重かったけどね)。デ・ニーロも悪役に徹していて最後は自分が敷設した電流フェンスで感電するシーンまでノリノリだった。
 あと,神父役のチーチ・マリンも格好よかったな。教会に侵入してきた殺し屋を二丁ライフルでバシバシ倒していくシーンもよかったし,十字架に張り付けにされて凄惨な拷問を受けても最後までマチェーテの居場所をバラさない姿は格好よすぎ!


 もちろん,ロバート・ロドリゲス映画なんでスプラッターシーンはいつも通りに気合いが入っているし,首が飛んだり手首が飛んだり,切り落とした手が握っている拳銃で敵を撃ったりと「子供は見ちゃダメだぜ」シーンが多いが,B級映画にはB級映画としての面白さがあるんだぜ,というあたりがわかっている「オモシロ映画大好きファン」には絶対のオススメ作品である。

 ロドリゲス兄貴,絶対に《殺しのマチェーテ》《続・殺しのマチェーテ》を作って下せぇ。あっしら,いつまでもお待ち申し上げておりやす!

(2011/07/05)

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