《シャーク・ハンター》★★(2002年,アメリカ)


 私ってこれまで,どれだけ多くの「鮫映画」を観てきたんだろうか。《ジョーズ》シリーズはもちろんのこと,このサイトで取り上げただけでも《ジョーズ・アタック2》《シャーク・アタック3 メガロドン》《シャーク・スウォーム》《キラー・シャーク》《ジュラシック・ジョーズ》《ジョーズ・イン・ツナミ》《ブルーサヴェージ セカンドインパクト》《アトミックジョーズ》となります。そうやって経験値を積んでくると「ジョーズとかシャークとかタイトルに付いている映画の9割以上はクズ映画である」ということを経験から学ぶわけですよ。でも,DVDレンタルサイトのカタログリストをパラパラ見ていて,「シャーク○○」とか「○○ジョーズ」という文字を見ちゃうと,なぜかポチっとレンタルボタンをクリックしちゃうのです。どうやら私は,経験は積んでもそれを知識として生かさないタイプのようです。

 というわけで,またも見ちゃいましたよ,サメ映画。今度の主人公は4000万年前に絶滅した古代の巨大ザメ,メガロドンです。メガロドンについては以前紹介した《シャーク・アタック3 メガロドン》でちょっと紹介しときましたが,体長15メートルという巨体で,大昔は鯨を食って餌にしていたらしいです。そいつが深海で生き延びていたんだけど,何かの原因で浮かび上がってきて人間を・・・という映画でございます。クズ映画というほどはひどくないけど,《シャーク・アタック3 メガロドン》の方がはるかに面白い,という微妙な作品でございます。


 少年時代,両親とのクルージングの最中に巨大サメに襲われ,両親が死んで一人だけ九死に一生を得て生き延びた,という過去を持つのが,海洋探査学(?)の専門家,スペンサー博士(アントニオ・サバト・Jr,)だ。

 そんな彼のもとに,ある会社の海底探査機地の事故の原因究明の依頼がくる。調査に向かう海底探査用潜水艦アルゴスを設計をしたのがスペンサーだったからだ。彼は同僚のアトキンス(クリスチャン・トゥラーリ),女性生物学者のシェリル(ヘザー・メアリー・マースデン)らとともにアルゴスに乗り込み,海底基地に到着し,ここでスペンサーは何か巨大なものが基地に激突し,基地が圧壊したことを知る。そして彼は,基地の壁に見たこともない巨大なサメの歯が食い込んでいるのを見つけ,アルゴスに持ち帰る。その歯の持ち主は巨大なサメであり,しかも成長途中だった。スペンサーはかねてから「メガロドンは4000万年前に絶滅したのではなく,深海底で生き延びている」という説を唱えていたが,まさにそれを証明する証拠品だった。

 しかし,アトキンスも他のクルーもそんな夢物語は端っから信じていない。両親が海で事故死したスペンサーの頭が作り出した妄想だと考えていた。だがその時,レーダーに巨大な影が映る。何か大物がいるらしい。そこで彼らは,麻酔銃を撃ち込んで眠らせ,曳航していく計画を立てる。

 だが,彼らの目の前に現れたのは想像を絶する大きさのサメ,メガロドンだった。そして,何発も麻酔銃を撃ち込んでもそいつは眠らず,打ち込んだ銛のワイヤーごと潜水艦を深海に引きずり込もうとし,潜水艦も一部破損する。自分たちが生き残るためには魚雷を使うしかないが,積んでいる魚雷は海底爆破用のものであり,近くで爆破させると潜水艦自体も破壊されてしまう危険性があった。そこでスペンサーは一人,小型艇に乗り込んで・・・という映画でございます。


 この映画で一番驚くのはラストです。オイオイ,こんな結末ありかよ,と誰しも呆然とするはずです。確かに,メガロドンを倒すという当初の目的は果たしてますが,このラストはないでしょう。確かに「衝撃の結末」だけどさぁ・・・。一般的なサメパニック映画@アメリカ製の定石としては,スペンサーが持ち前の鋭い分析力と勇気でメガロドンを倒し,その後のラストシーンでは,彼をなかなか認めようとしなかった黒人クルーが近づいてきて「お前,なかなかやるじゃねぇか。一杯おごらせてくれ」というと,女性生物学者のシェリルちゃんが「ダメよ。私が先約なんだから」と抱きついて・・・となるはずなんですが,見事にはずれました。

 なぜこんなラストになったかというと,メガロドンがあまりにも強すぎて,人間側になすすべがないからです。これだけ実力差があったら,はなっから勝負にならないっすよ。これじゃ,ホロヴィッツと私のピアノ演奏勝負,カラヴァッジョと私のデッサン勝負ですよ。やはり,モンスター系パニック映画は,モンスター側を余りに強大に設定すると映画として成り立たなくなることがわかります。やはり,どこかに弱点がなければダメなんでしょうね。


 主人公に扮するアントニオ・サバト・Jr,さんというのはイタリア出身のモデル・俳優さんで,カルバン・クラインのモデルを永年勤めていたそうです。かなりのイケメンさんです。

 もう一方の主人公といえば,もちろんメガロドンですが,さすがは生物史にその名が残る巨大さです。ちなみに,撮影はすべてCGによるものですが,サメの動き自体は自然で悪くないです。問題は,舞台が深海なので暗くて動きがよくわからないシーンが多いことと,メガロドンの巨大さが実はあまり実感できないことです。確かに,潜水艦と同サイズというのはわかるのですが,肝心の潜水艦のサイズ自体が実感できないためです。途中で海上の船を襲うシーンとか,ヨットを丸飲みするシーンとか,そういう巨大さがわかるような工夫をすべきでしたね。ついでに,昼間の海上でメガロドンが襲ってくるシーンも欲しかったです。


 そしてこの映画の最大の計算違いは,冒頭のハンディカメラで撮影したスペンサー少年と両親の様子。これからクルージングに出かけようとしている幸せな家族がサメに襲われるという悲劇を強調しようとする意図は感じられるのですが,肝心の母親が色気過剰のため,単なる馬鹿ップルにしか見えないのです。こいつら,子供の前でも平気でエッチするんじゃないか,という発情ぶりです。だから,この二人が死んでも「パニック映画冒頭の馬鹿ップルはすぐに死ぬ」という定石通りにしか見えず,悲劇性は皆無になっちゃいました。何でこんなおバカ演技をさせたんでしょうか。


 という,ちょっと微妙なサメ映画ですが,メガロドンのファン(というニッチな方々)は観た方がいいかも・・・。

(2011/07/22)

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