《ソロウ・クリーク 残酷死霊谷 "The Legend of Sorrow Creek"★★(2008年,カナダ)


 70分ちょっとと短いカナダ産のホラー映画ですが,見ているとその倍くらいの長さに感じます。無駄シーンが多く,ノロノロ・ノタノタしたストーリー展開のためですね。おまけに,全然怖くないときてます。途中で「これってホラー映画だよね?」と心配になったくらいです。

 しかも,全体に暗闇のシーンが多いため,何がどうなっているのか,よほど目をこらさないとわかないのです。そして,全体の謎解きもこれまた不十分なうちに終わっちゃいます。こいつらはいったい何なんだよ,という感じですね。


 映画はいきなり,血の付いた包丁を持った女性イザベラが悲鳴を上げていて,彼女の名前を呼ぶ夫の声で始まります。どうやら火事が起きていて,なぜかイザベラは首吊りを始めます。なにやらハイテンションな始まりで期待させます。

 そして舞台は森の中。廃墟となった町を研究している大学教授と保安官みたいなのが登場。このソロウ・クリークという廃墟となっている町で昔何が起きたのかを説明します。イザベラ一家はソロウ・クリークに最後まで残った一家だったのです。そして,その廃墟に通じる道は「悪魔が地獄に堕ちるときに通った道」と呼ばれていたいわく付きの道でした。

 そして舞台は現代へ。若者4人の登場です。ケイラとジェシーの姉妹と,それぞれのボーイフレンドのディーンとトビーです。4人はケイラの祖父の別荘に遊びに来たのですが,ケイラとジェシーは子供の頃,このあたりでよく遊んでいました。しかし,釣りをしようとして釣り針でトビーが手に怪我をしてしまい,別荘に戻ろうと森の中を近道しますが,そこで廃墟を見つけます。ケイラは不思議な気配を感じますが,ジェシーは文字が掘ってある木を発見し,その拓本をとろうと言い出します。ケイラはトビーの怪我が心配なので先を急ごうとしますが,ジェシーは拓本取りに夢中で「私,後を追いかけるから大丈夫。よく知っている森だし」と言うため,彼女をおいて3人は別荘に急ぎます。

 別荘に到着した3人はトビーの怪我の手当をしたりしますが,ここでトビー君が心室性頻脈の持病があって興奮したりすると発作を起こして薬が必要になることがわかります。勘のいい人ならここで,トビー君が映画の後半に「足手まとい要員」になるんだろうなと予想するはずです。

 一方,ジェシーはいつまで待ってもやって来ません。携帯電話で連絡を取ろうにも携帯は圏外です(現代のホラー映画ではお約束ってやつだな)。そこで「ジェシーを探しに行こう」,「でも,行き違いになったらどうするんだ」,「一人残ればいいよ」,「じゃあ,誰が残るんだ」・・・ってなグダグダした会話が続いたところで,なぜか使えないはずの固定電話のベルが鳴り,ケイラが受話器を取るとジェシーからの電話で「奴らが周りにいる! 襲ってくる! ヤメテ〜〜!」という恐ろしい悲鳴が聞こえ,電話は切れます。ただならぬ事態であることを知った3人は車に乗って警察に助けを求めようと車に乗り込みますが,車のキーを別荘の二階に置き忘れたことに気が付きます(何でこいつら,車のキーを持たずに車に乗り込むかなぁ?)。そして車の前に不気味な男が立ってこっちを見ています。

 でも,不気味男がなぜか姿を消してくれたため,3人は別荘に逆戻りして車のキーを手に入れ,さぁ,今度こそ出発と言うところで,タイミング良くジェシーが森の中からよろめきながら出てきます。背中は切り傷だらけです。ジェシーを中に入れてベッドに寝かせますが,ジェシーは混乱して訳が分からないことを口走り,ついに暴れ出します。しょうがないので,ジェシーをベッドルームに閉じこめ,彼女がおとなしくなったため,「混乱しているんだわ。少し眠らせましょう」ということにして,別荘にとどまることにします。「オイオイ,背中全体が刺し傷だらけなんだろ。だったらさっさと病院に連れてけよ。ここで様子を見ましょうって,おかしいじゃん!」と誰しも考えるところですが,なぜか映画の3人だけはそう思いません。

 おまけにその後,トビー君が発作を起こして倒れます。お約束の展開です。そしてケイラは薬をトビーに飲ませますが,量を間違えちゃいます。これもお約束の展開ですな。そのため,具合の悪いトビー君をベッドに寝かします。だから,さっさと車で逃げ出せばよかったんだよ。言わんこっちゃないっすよね。

 その後,ディーンとケイラのカップルの「私が悪いのよ」,「そんなことないさ」,「でも,私があの時に一言言えばよかったのよ」,「逃げるにしてもジェシーもトビーも一緒には無理だよ」,「でも,二人を置いとけないわ」・・・というグダグダした会話が延々と続いた後,二人はソファでウトウトします。その頃,ジェシーはベッドから降り立ち,トビーがいる部屋に忍び込み,いきなり包丁で切りつけます。悲鳴を聞いて二人も駆けつけますが,部屋に入れません。そうこうしているうちに,ジェシーは自分の首を切って絶命。もちろん,トビーもあの世行き。こんなわけで,「足手まとい要員」のトビー君は足手まといにならなくなりました。ううむ,ここでトビー君を殺しちゃうか。予想が外れちまったぜ。

 死体が二つ転がっている別荘内で,ディーンとケイラはまたも反省会を開いてグダグダと話し合い,ようやく「二人で車で逃げよう」と決断します。ところが二人が外を見ると車はペチャンコに潰されています。もう絶望です。逃げられません。

 いやいや,まだ諦めるのは早いです。モーターボートで湖を渡れることに気が付きますが,なぜかケイラは燃料が入っていないことを思い出し,二人は燃料が置いてある納屋に向かいます。納屋の鍵を開けてディーンは中を探しますが,そこで目玉をえぐられた女性を見てしまい,腰を抜かし,そこに何かが落ちてきて右下腿を挟まれます。何とかケイラがディーンを家の中に連れて戻りますが,ディーンは足の怪我で歩けません。骨折をしたようには見えませんが,どうも骨折したようです。

 またも二人は反省会を開きますが,外で物音がするのに気づき,ケイラはドアにジェシーのバッグが掛かっているのを発見します。ディーンはケイラに「君だけでも逃げろ」と言い,彼女は懐中電灯を持って夜の森に走り出します。一方,別荘のディーンはなぜかジェシーのバッグの中を調べ,ビデオカメラ(?)を発見し,画像チェックを始めます。そこで何かを発見して床を這いずり回りながら別の部屋に逃げ,そこで死霊が襲ってきます。

 一方,森を逃げ回るケイラも「目玉抉られ死霊」たちにに出会います。どうやら,懐中電灯が目印になって死霊さんたちが追ってきたものと思われます。誘蛾灯みたいなものっすね。で,また逃げて,最後は湖の畔にたどり着きます。そこで彼女は物置みたいなところに隠れますが,そこで死霊さんたちが襲ってきて,物置に水が入ってきて,最後はなぜかロープを見つけて首を吊っちゃいます。

 そして最後にもう一度,教授と保安官が登場し,事件の解説みたいなことがあって,映画はジ・エンド。


 というような映画ですが,2008年公開というのに,なぜか古き佳き昭和を感じさせるんですよ。CGも使わず,派手なモンスターもオドロオドロしい死霊も登場せず,スプラッターシーンもないからです。しかも,「ここで死霊が出るんだろうな」と予想されるシーンでは必ず死霊さんが登場して予想を裏切らないし,効果音の使い方も古典的です。そんなところが「昭和のホラー映画」を思い出させるんですね。もちろん,血しぶきドバドバ,首チョンパばかりの21世紀のホラー映画を見慣れた目には,逆に新鮮だったりするわけですがね。

 そういうわけで,この映画は「正体不明のナニモノかに遭遇して怯える登場人物たち」を描くことで恐怖を観客に伝えようとしているわけです。つまり,この映画の怖さは必然的に俳優さんたちの演技力と脚本にかかってくるわけです。そういう見方をすると,この映画は俳優さんも脚本も「ちょっと残念」なんですよ。

 脚本の拙さについてはストーリー紹介でご理解いただけたと思うのですが,俳優さんのキャスティングの最大のミスは「主人公のケイラが可憐系美少女でも妖艶ナイスバディ系でもない」というところにあります。しかも,そのどちらでもないケイラちゃんは驚いたときには腰を抜かす演技をしてみせますが,1回目はいいとしても2回目になるとさすがにちょっと観ている方が辛いです。少なくとも,ヒロインは美少女系にして欲しかったし,キャスティングに配慮すべきだったと思いますね。


 ・・・というわけで,たまには「昭和テイスト」のホラー映画を観てみたいという人にだけオススメとしておきます。

(2011/08/17)

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