映画で「オブ・ザ・デッド」といえばもちろんゾンビのことでございますよ。そしてこのDVDジャケットにはゾンビみたいなのが描かれてますね。でも,配給会社がトランスフォーマーというのが気がかりです。タイトルとジャケットで人を騙くらかすことにかけては超一流の会社だからです。でもこちとら,「オブ・ザ・デッド」とタイトルのある映画の95%はクズ・ゾンビ映画だという経験値を積んで学習しておりますから,最初から「クズ・ゾンビ映画ならいいか」と思って観たわけですよ。
うわぁ,またやられちまったぜ。何だよこれ,ゾンビ映画ですらないよ! ゾンビ登場しません。登場するのはヘボい亡霊さん・怨霊さんたちだけです。吹雪と大雪で山小屋に閉じこめられた若者約1名が,亡霊さんの声を聞いちゃっておかしくなり,仲間たちを殺しちゃうという,ただそれだけの映画でございます。しかも,そのおかしくなっちゃった青年はどうやら統合失調症で治療中らしいのです。この設定は患者団体,精神医学学会から抗議殺到でしょう。
ちなみに,この怨霊にとり憑かれちゃう青年の役を演じているのはジェイムズ・カイソン・リーで,あの《Heroes》のアンドウ君(ヒロの友人)を演じている人なんだとか。私は《Heroes》は全くみたことがないので初めて見る俳優さんですが,もしかしたら演技,下手っピーじゃないっすか?
舞台はまず1846年のネバダ山中。ここで大量殺人事件が起きた様子がさらっと映し出されます。
そして舞台は現代へ。山奥の山荘目指して3組のカップルが車で急いでいます。途中のドライブインに立ち寄りますが,そこで禿げたオッサンから「あの山荘に行くのか? あれは危険なところだで,おめえら,行くでねぇだ」ってな警告を受けますが,もちろん気にしません(・・・この程度の警告を真に受けるようじゃホラー映画に出演できませんよね)。
ちなみに6人の構成はジェリー(ジェイムズ・カイソン・リー)とサマンサのカップル,マイケルとカレンのカップル,そして,マットとミーガンですがこの二人はカップルではありません。
この顔ぶれを見ただけで,最後に生き残るのはマットとミーガンで,途中でカップリング反応を起こしてラストで「つがい」になるんだろうな,と予想できますね。果たしてその予想が当たるのか知りたい人だけ,DVD鑑賞を続けましょう。
ちなみに,サマンサちゃんは二重顎が目立つおばちゃん顔,ミーガンちゃんは杉本彩さんに似てなくもないちょいきつ目の美形,カレンちゃんはどういう顔をしていたか全然記憶に残ってません。これでサマンサちゃんがヒロイン役だったら,卓袱台をひっくり返すところです。
6人は山荘に到着しますが,山荘の管理を任せているオッサンが「発電機の調子が悪いんで後で修理に行くからね」と話します。これ,伏線ってやつです。
とりあえず他にすることがないので,スノーモービルで出かけることになりますが,なぜか二重顎のサマンサが残ります。スノーモービル組のうち,ジェリー君は雪原でゾンビみたいな顔をしたやつに出会い「自分の身を守れ」と警告されます。このゾンビみたいな奴はどう見ても普通じゃないのですが,ジェリー君は「女の子」と認識しています。ジェリー君,視力検査を受けた方がいいと思います。
一方のサマンサちゃんは雪山で写真を撮影していますが,なぜか足を滑らせて斜面を3メートルほど滑り落ちますが,なぜか大声を上げて助けを求めます。さっさと自分で登ってこいよ,と四方八方からツッコミが入りまくるであろう記憶に残るシーンです。
で,山荘に戻った6人は早速,お風呂タイム。全員が入れるサイズのでかいバスタブ(?)で,女子はなぜか全員ビキニ姿です。いわゆる一つのサービスシーンです。そこで,マイケルがこの山にまつわる伝説を教えます。1846年に本当にあった「ドナー・パーティ事件」で,雪に閉ざされた開拓団で頭が変になった奴が他の人間を殺し食べてしまった,というお話です。
するとそこで,発電機がダウン! 男子で直しに小屋に行きますが,途中で管理人オッサンの死体を発見! すでに凍り付いています。警察に通報しようにも圏外だし,明らかに死んでいるので死体をそのままにしておいて,「女子たちには黙ってようぜ」ということにして山荘に戻ります。
とりあえずすることがないんで,カップルはベッドインし,カップルでない男女は別々の部屋で休みますが,ここでまた発電機が故障! 直しに小屋に向かいますが,なんと管理人オッサンの死体が見あたりません。そこで女子たちに事情を打ち明け,「熊の仕業だよ」「でも,今は冬眠中でしょう?」「不眠症の熊がうろついているのさ」というショーモナイ会話をしてまたも就寝タイム。2晩目だというのに,マットとミーガンの仲は全然進展しないし,ゾンビさんも出てきません。見ている方がイライラしてきます。
3日目,いよいよ吹雪がひどくなり(・・・という会話がありますが,外は快晴で雪一つ降ってません。見なかったフリをしてあげましょう),管理人オッサンの雪上車で救助を呼びに行こうとマイケル君とカレンちゃんカップルが出発。で,マット君は発電機の修理をしますが(それにしてもマット君,さっきから発電機の修理しか仕事をしてないです),ここでミーガンちゃんが古ぼけたスクラップブックを発見! この山荘で起きた忌まわしい過去の事件のことを知ります。
ちなみに,アメリカのホラー映画では「偶然見つけたスクラップブックにスクラップしてある新聞記事から過去の事件を・・・」というのはお約束の展開ですが,新聞記事のスクラップは誰がしたんでしょうか。あまり暇なんで,亡霊さんたちが新聞をちまちま切り抜いて整理してくれたんでしょうか。多分,そうでしょう。
この頃になると,ジェリー君は頻繁に「マサカリ担いだ亡霊さん」を見かけます。窓の外に立っている「未治療の顔半分裂傷」の亡霊さんが手招きするんで付いていくと,マイケル・カレン組が乗った雪上車を見つけ,そこで凍り付いた二人の死体を発見します。すると死体マイケル君が襲ってきますが,どうやらこれは幻覚です。ゾンビさん,待てどくらせど襲ってきません。観ている方がイライラを通り越して「これ,ゾンビ映画とちゃうんか?」と不安になってきます。
その頃,山荘ではサマンサちゃんが妊娠2ヶ月であることがわかったり,ジェリー君が向精神薬を飲んでいることがわかったりと,ドーデモいいような話が延々と続きます。
で,夜になってついにジェリー君がおかしくなって,「もう耐えられない!」とか言って山荘にあった猟銃(散弾銃)を持ち出して外に出ます。マット君,後を追いますが,錯乱・興奮状態のジェリー君は近づいてくる「何か」に発砲! マット君が近づくと,倒れているのは,冒頭のドライブインで「あそこに近づくじゃねえだよ」と教えてくれた親切禿げオッサン。どうやら雪で動けない若者たちに食料を持ってきてくれた模様です。それにしても,スノーモービルも使えないような大雪という設定なのに,スタスタと山道を歩いてくるこのオッサン,スーパーマンの化身でしょうか? ホッキョクグマの生まれ変わりでしょうか? あるいは伝説のイェティでしょうか?
で,山荘に逃げ帰ったマット君はサマンサちゃんとミーガンちゃんに事情を説明。そこにジェリー君も帰ってきて,二階の部屋に散弾銃を持って立てこもります。
で,「サマンサがジェリーを説得して銃を渡してもらう」という杜撰きわまりない計画を立て,マット君とミーガンちゃんが発電機小屋に向かいますが,亡霊さんが「マットとミーガンが逃げた」ことを教えたもんだから,逃げる二人にジェリー君発砲。マット君は背中に被弾して倒れ,ミーガンちゃんが何とか発電小屋に引っ張り込みます。一方,銃声に驚いたサマンサちゃんは外に逃げようとしてジェリーに見つかり,撃ち殺されます。ちなみに,ジェリーが持っているのは散弾銃のはずですが,サマンサちゃんの傷はどうみてもライフルで撃たれた傷ですが,多分,気のせいでしょう。
一方,発電機小屋でマット君の傷を調べたミーガンちゃんは「浅いから取り出せそう」とか言って,ラジオペンチを傷口につっこんで散弾銃の弾を抜き取ります。何もここで急いで取り出さなくても良さそうなものですが,アメリカンな人々は「銃で撃たれたらすぐに銃弾を摘出しなければいけない」と教育を受けているんでしょうか。ちなみに銃弾はすべて,皮下脂肪層の深さで止まっていて本物の散弾銃とは思えないのですが,気がつかないフリをしてあげてください。
そこでミーガンちゃん,私がジェリーを倒すと言い残してマイナスドライバーみたいなのを構えて山荘に戻ります。そして,襲ってきたジェリー君の隙をついて左僧帽筋のあたりを刺しますが,ほとんどダメージなし。こういう時は目玉を直接刺した方がいいですね。そして,ジェリー君に倒されて銃を突きつけられ,絶体絶命のピーンチ!
するとマット君が登場してバールみたいなやつで殴り倒し,最後は銃弾を胸に撃ち込んで倒します。ジェリー君の死体を前に,精根尽き果てた二人は座り込み,「これで終わったのね」「そうさ,これで終わりさ」という会話をしますが,その時,ジェリー君がムックリと起きあがって・・・という映画でございました。
これだけツッコミを入れても,まだツッコミ忘れたところがあるんで,まとめて書きますね。
(2011/08/31)