《アンボーン "The Unborn"★★★
(2008年,アメリカ)


 私はどうもオカルト・ホラー系映画とは相性がよろしくないんですが(・・・だって,ホラー映画なのに全然怖くないから),暇つぶし程度に見ちゃいました。やっぱり怖くなかったです。

 一言で要約すると「悪魔憑き+双子もの+ナチスによるホロコースト」の3者合体という感じなんですが,小粒ながらオカルト映画としては普通の出来という感じです。キリスト教信者で本気で悪魔を怖がっている人向けかな? エグいシーンもちょっとあるけど目をそらすほどじゃないっすね。


 舞台は現代アメリカのどっか。女子大生のケイシー(オデット・ユーストマン)は夜な夜な,悪夢に悩まされていた。「ジョギングをしていると片方だけの手袋を見つけ,振り返ると不気味な子供が立っている。森の中にはいると仮面が落ちていて,その下を掘るとホルマリン漬けの胎児が埋まっていて,突如,胎児が動き出す」という不気味な夢だった。親友でオカルト好きの女友達に相談するが,全く要領を得ない。だがその頃から彼女の周りには不気味な子供の姿がまとわりつくようになり,その子供は彼女に「ジャンビーは生まれたかった」という謎の言葉を告げる。

 そんなある日,彼女は忘れていた母親の記憶を思い出す。母親はケイシーが幼い時に入院していた病院で首吊り自殺をしたため,ケイシーは,自分は母親に捨てられたと思いこんでいた。そしてある日,目に異常を感じたことから眼科医の診察を受け,医師から「あなたは双子ではないか? 虹彩の色が二つあるのは双子にはよくある所見であり,それなら異常ではない」と告げられる。

 ケイシーは父親に真実を話すように迫り,父親は「おまえは実は双子だった。しかし,胎児の早い時期に一方の子供の首におまえの臍帯が絡まって死産したんだ」と教えてくれた。そして,父母は双子とわかった時に胎児に名前を付けていたが,死産した子供の名前がジャンビーだったのだ。

 ケイシーは亡き母と祖母について調べていくが,実は母も双子であり,一人が亡くなっていることを知る。やがて彼女は,祖母の存在を探り当て,彼女に面会を申し込み,自分につきまとう幼い子供の正体を知る。それはユダヤ教の悪霊ディバックであり,あの世とこの世の狭間を漂い,この世への侵入の機会をねらっていて,そのターゲットが双子だった・・・という映画です。


 悪魔憑き映画,悪魔払い映画としてアイテム満載の映画でしょう。この世とあの世の境界である「鏡」,この世の鏡としての「双子」,その双子に目を付ける悪魔ディバック,ヘブライ語で書かれた悪魔払いの書「鏡の書」と悪魔払いの儀式,自分の臍帯が殺してしまった胎児の弟・・・と,悪魔憑き映画としては必要十分ですね。さらにこの映画では,ナチスドイツによる「双子の研究」まで加わるのですから,お腹一杯という感じです。

 おまけに,首がぐるっと360度回ったままブリッジして追ってくるじいちゃんとか,顔が人間の犬とか(これはほとんどお笑い),ドロドロに溶けた顔とか,ビジュアル的にもそこそこ工夫しています。物語のテンポも悪くないし,「一見の価値があるほど怖い訳じゃないけど,90分間飽きずに見られる程度にはオモシロ怖い」という感じですね。


 ただ,昔から鏡は「恐怖アイテム」の一つであり,西洋では「夜,合わせ鏡を見ると悪魔が・・・」という言い伝えがあるようですが,物理的には入射光を入射角に合わせて反射させるだけのものですから,何が怖いかわからないんですね。たかが鏡をなぜそこまで怖がるんだろう・・・ってね。確かに,卑弥呼の頃には「魔鏡」なんて言葉がありましたら,その頃の人間には怖いものだったんでしょうね。

 まして,「双子は鏡のように似ているから,悪魔が狙うのだ」と言われたって,ケイシーのおばあちゃんの双子兄弟にしてもケイシーの弟にしても,性別が違っている二卵性双生児ですから「鏡のように似ている」と言い張るのは無理があるんじゃないでしょうか。少なくとも私には,性別の違う双子は同時に生まれた兄弟程度のものじゃないかと思います。


 この手の映画の必須アイテムが「悪魔払いの方法が書いてある古文書」ですが,Googleによる全ての図書館の全ての本をデジタル化計画が進んでいる21世紀では,「伝説の古文書を図書館の奥から見つけて悪魔払いの方法を知る」というのはさすがに時代遅れな気がします。次にこの手の映画を作るなら,「<鏡の書>をGoogleで検索し,ヘブライ語の専門家をググって見つけ,<鏡の書>の必要部分をコピペしてメール添付して解読を依頼し,amazonに悪魔払いに必要な道具を注文し,悪魔払い経験者と悪魔払いに必要な人員をFacebookで募り」・・・となるんじゃないでしょうか。悪魔憑き映画,悪魔払い映画もインターネット時代に合わせてすべきですね。


 ケイシー役のオデット・ユーストマン,黒髪の美人です。ちょい暗めの表情もホラー映画のヒロインにぴったりです。しかも,サービスのシャワーシーンは背中のみですが,とても美しいウエストラインです。この女優さんが見られたことが,この映画最大の収穫でした。


 と,ここまで頑張って書きましたが,もう書くことがなくなっちゃいました。悪魔払い映画が何より好きというコアなファンにのみオススメ・・・か?

(2011/11/08)

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