さして面白いわけでもないけど,クズ映画とけなすほどではない小粒な海洋モンスター映画。どうやらテレビ向けに作られた映画のようです。モンスターは海洋生物が進化したものという設定なんですが,なぜか舞台は森の中のほうが多くて,こいつら本当に海の生物? と思っちゃいますが,まぁ,そういうレベルの映画ですね。
舞台は北米の漁村。海は不漁が続いていて,船の上の漁師が何者かに海に引きずり込まれて死亡するという事件が2件立て続けに起きていた。ベテラン漁師のウィルはなにか不吉なものを感じていたが,女性海洋生物学者のアーデンも海底で外来生物の海藻,イチイヅタが異常に増えていることに気づいていた。一方,ウィルの娘と恋人は湾に浮かぶ島で週末を楽しむためにボートで島に向かっていたが,その頃,ウィルの船の乗組員が波止場で怪物に襲われてバラバラ死体となって見つかり・・・という映画でございます。
主役のモンスター君は「四足歩行する半魚人」のような格好をしていて,しかもお子様モンスターを多数引き連れています。生物学者のアーデンによると「両生類が進化したもの」だそうで,チョウチンアンコウのように周囲に擬態して獲物を待ち構え,毒液を吐いて相手を動けなくしてからムシャムシャとお食事する生物のようです。
えーと,ここで「両生類は淡水系の生物であって,海で生息する両生類はいないよね」と指摘するのは大人気ないので止めときます。それと,「アンコウのように擬態する」と言っときながら,この映画のモンスターはプレデターのように透明になって見えなくなります。でもこれって「擬態」じゃないっすよね。と言うか,映画監督がそもそも「擬態」という言葉を間違って覚えていたとしか思えません。
おまけにこのモンスターは,海の生物のはずなんだけど,陸に上がるとお猿さん顔負けの木登り上手で,10メートルくらい飛び上がれるんですよ。しかも,舞台のほとんどは森の中とか陸地なので,とてもじゃないけど「海からやって来たモンスター」には見えません。しかも,海の中のシーンが全くないし・・・。映画の基本設定部分で無理がありまくりです。
主人公のウィルとヒロインのアーデンが地味すぎるのもこの手の映画としては厳しいものがあります。特にアーデンは美人という程でもないし,海洋生物学者として活躍するわけでもありません。普通なら,こういう映画の生物学者は専門分野の知識を生かしてモンスターの弱点とかをアドバイスする役なんですが,そういうこともありません。主人公のウィルも漁師さんなのに舞台が山の中ばかりなので,専門分野の知識や技量を発揮できません。最後の方でモンスター退治をする場面で「昔,溶接工をしていた」と経歴が発揮されますが,それだったらそもそも漁師であるという設定すら不要だったような気が・・・。ちなみに,ウィルの娘さんももうちょっと美少女系を選んで欲しかったです。
あと,モンスターに襲われる人間が,おとなしく食われるのでなく,何とか倒そうとするファイタータイプばかりなのは結構よかったです。特に,ウィルの娘さんも彼女のボーイフレンドも頑張り屋さんでした。そこにある武器になりそうなもので必死に応戦する姿は結構よろしかったです。ただ,ボーイフレンドが最後にああなるのはちょっと予想外だったけど・・・。
モンスターが人間を襲うシーンはそこそこスプラッター度が高く,低予算映画としては頑張っている方ですね。
というわけで,低予算モンスター映画としては可もなく不可もない感じで,見ないと損するわけではないけど,見て得する映画でもなし・・・というあたりです。
もう,この映画について書くことが見つかりません。
(2011/11/15)