《アナコンダ・アイランド "Vipers"★★(2008年,アメリカ)


 このタイトルを見ただけでショーモナイB級映画であることは鉄板で約束されているようなものです。最初からその覚悟で見ると、まぁ、そこそこ、見れなくはないかな、というレベルでした。もちろん、普通の映画ファンは絶対に見ちゃ駄目だぞ。

 ちなみに邦題は「アナコンダ」となっていますが、アナコンダは登場しません。活躍するのはツノメクサリヘビというせいぜい1.5mくらいのヘビなので、アナコンダはいつ出るんだ、と思って見てはいけません。


 ユニバーサルバイオテック社の女性研究者コリンズ博士は、猛毒を持つツノメクサリヘビの毒素から癌の治療薬を作り出す研究をしていて、彼女が作り出した薬は驚くべき治療効果を上げていた。しかし、彼女の知らないところでバイオテック社の上司はヘビに遺伝子操作を行い、さらに毒を強くしようとした。その結果、ヘビは猛烈な攻撃性と旺盛な食欲を持つモンスターに変異してしまったのだ。

 そんなバイオテック社の研究所に賊が進入し、ヘビを奪い取ろうとして銃撃戦となり、厳重に保管されていたはずのヘビは研究所の外に逃げ出してしまう。ヘビは研究所近くの島にたどり着き、そこで次々に人を襲い初め、次々に犠牲者が増えていく。

 バイオテック社は事件を秘密裏に処理するため工作員を派遣し、一時的にヘビを冬眠状態にする神経ガスを携えた彼らはヘビを持ち帰るように命令を下した。その島に赴任したばかりのイケメン医師、保安官、島民達は果たして生き残れるのでありましょうか、というどっかで聞いたことがあるお話です。


 どこを切っても「見たことがある展開」ばかりが続き、猛烈なデジャブ感を覚える映画です。おまけに、最後はバイオテック社が国防省かなんかに連絡して島を爆撃することが決まり、爆弾抱えた戦闘機が迫ってくると言う、おきまりのシーンまであります。ここまで定石通りで工夫も何もない脚本というのも、ここまでくると清々しいくらいです。しかも、途中の展開がやたらと遅いし、おまけに島民達の人間関係が異様に濃ゆいため、どうでもいいようなエピソードばかりが多いです。

 ヘビを主人公としたパニック映画と言えば、@ヘビが超巨大、Aヘビの数が異様に多い、Bとんでもなく強い毒を持っている、Cそれ以外のとんでもない能力を持っている、のいずれかとなります。今回の映画はB+Aのタイプなんですが、ヘビのCGが手抜きのため、数がいくら多くても本物っぽさを感じられないし、毒性が強いといってもせいぜい即死するくらいですから、怖いっちゃ怖いけど、怖くないといえばそれほど怖くないです。やはりヘビ映画なんですから、ヘビを手抜きしちゃ駄目っすね。ヘビが口を開けて襲ってくる画像だけじゃ、見ている方が飽きちゃいます。

 パニック映画では、やたらとパニックを起こして自分勝手な行動をして事態を悪化させる登場人物が必須ですが、この映画でももちろん、おとなしくホテルに立て籠もっていればいいのに、ヘビがウジャウジャいる外に逃げ出すおバカさんご一行様がいたりして笑わせてくれます。


 駄目パニック映画、駄目モンスター映画ってのは、「モンスターが駄目な分、人間関係とかをやたら面倒くさく描く」という共通点があります。この映画は人間関係が異様に濃ゆいです。イケメン医師(軍医上がり)は戦友を亡くしたばかりで、この戦友と大麻お姉さんが元恋人同士で、今でも彼を軍隊に送りだしたことを悔やんでいるし、そのことがきっかけで高校生の時の仲良しとは会うと喧嘩ばかりしているし、保安官だったかの娘は父親とはうまく行っていないみたいだし・・・と、台詞のある主要登場人物が少ない割には人間関係はグチャグチャしています。これで島で暮らすんですから、大変だったろうなぁと他人事ながら心配してしまいます。

 イケメン青年医師と温室で大麻を育てているキツメのお姉さんがラブラブになると言う展開があり、お約束のベッドシーンがありますが、これが完全に浮いていて、完全な無駄エッチシーンでしたね。おまけにブラを付けたままだし・・・。


 ヘビ君たちを倒すシーンも呆気なさすぎ! 熱に反応するヘビの性質を利用してガスボンベとかを利用してヘビを温室に誘い込み、温室にある農薬に火をつけて爆発させて、一網打尽にしちゃいましょう、という大雑把な計画を立てるんですよ。観客の方は「温室に誘い込むのはいいとしても、そこから人間はどうやって逃げるんですか? 脱出路がないっすよね」と心配で見ていられないんですが、なぜかイケメン医師君たちは自信満々なんですよ。しかも、天上に昇っているヘビがガラスが割れてなだれ込んでくるのはいいとして、外の地面にもまだヘビ君が残っているはずっすよね。人間様たちがどうやって温室から安全に脱出できたのか、最後まで理解できませんでした。

 何でこういうラストにしちゃったかというと、ヘビにこれといった弱点がないためなんですね。こういう場合は、島に観光でやってきた生物学者がたまたたまいて、しかも爬虫類の研究者で・・・という設定にして、ヘビの弱点をついて攻撃する、という展開にした方がよかったと思います。


 それにしても、当初逃げ出したヘビはせいぜい20匹とかそのくらいだったはずですが、わずか数日でそこらを埋め尽くすまで増えたのはなぜなのか、それが最後まで気になるヘビ映画でございました。

(2012/03/27)

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