おフランス製のクズ・モンスター映画。いいところが一つも見つからないんだものなぁ。ストーリーもグダグダだし、映像はただただ暗いだけだし、登場人物に魅力はないし、脚本は消化不足・・・という具合です。
もちろん、本家の《トレマーズ》とは何の関係もない映画で、アルバトロスが勝手にトレマーズって名前を付けただけなんだけど、こういうしょうもない亜流映画を見ると、本家の《トレマーズ》は本当によくできた作品だったと思いますね。
最初の舞台は1663年のフランス。ここに1個の隕石が落下しますが、近くを歩いていた白い服のお姉さんが突如、怪物のようなものにおそわれます。いかにも意味ありげな「1663年」ですが、実は全く意味がない年号です。
で、舞台は変わって現代のおフランス。6人の若者男女(カップルは一組だけで、それ以外の男女は初対面のようです。男性の一人はゲームオタクですが、なんとこのオタク君がこの映画の主人公でございます)が集まってバーベキューを楽しみ、その後、男女に分かれて2台の車に分乗し、山の方に向かいます。なんでこんな時間に山に行く必要があるのか、よくわかりませんが、とりあえず車は走ります。「殺人犯が脱獄中!」なんてニュースがラジオから聞こえてきます。
すると、後方を走る野郎どもの車が突如ガス欠。この手の映画では、いろいろな原因で「若者たちが立ち往生する」のが定石ですが、ここまで無理矢理な理由付けは初めてです。
前方を走る女性陣たちに携帯で連絡してJAFに来てもらう、という一番簡単な解決法を誰も思いつかず、3人は車を押して何とかドライブインに到着。ドライブインが近くてよかったね。ここでガソリンを入れ、お金を払おうとお店に入りますが店員が出てきません。すると奥から一人の男が出てきて、ヒッチハイクでここまで来たんだけど、誰もいないので困っているんだ、ってなことを言い、3人組の車に同乗することになります。この男はもちろん、脱獄中の殺人犯でございます。
車中で「ここは昔から幽霊が目撃されている森なんだ」なんて会話がありますが、数分後に青白く光る女性の幻(?)が車の前に出現し、びっくりしてハンドルを切り損ね、車は崖から真っ逆さま!
オイオイ、ここでこいつらが死んじゃったら話がオシマイじゃん、と見ている方が心配しちゃいますが、なぜか車は崖の途中の木の生えている岩棚みたいなところに軟着陸! 超ラッキーでございます。すると、車中で脱獄殺人犯が銃を振り回し始めます。超アンラッキーでございます。すると、地面が突然激しく揺れ、今度こそ車は地面に落下! オタク君とカップルの片割れ男と脱獄犯の3人はかろうじて車から逃げ出しますが、車は地面に飲み込まれていきます。地面の下に何かがいるようです。
脱獄犯が持っていた銃を拾ったオタク君は脱獄犯に銃を突きつけますが、ここでまた地鳴りがして何かが襲ってきます。3人は走って逃げ、吸水塔に到着。とりあえず、ここがどこなんだかわからないため、脱獄犯が吸水塔のハシゴを登っててっぺんに到達。周り一面が森で、町の光は遙か遠くです。
一方、オタク君と片割れ君は、もう一人の仲間を見つけますが、こいつは重傷を負っていて意識がありません。重傷君の携帯電話が見つかります。超ラッキーでございます。しかし、暗証番号でロックされています。超アンラッキーでございます。
そこで何を思ったか、オタク君は吸水塔のハシゴを登りだし、てっぺんに到着。ここで待ち受けていた脱獄犯に突き落とされます。オタクと言うより単なるバカです。下で待っていた片割れ男も、降りてきた脱獄犯に殴り倒されます。脱獄犯は逃げます。それを片割れ君が追いかけますが、脱獄犯に逆襲され、絶体絶命となります。
するとオタク君が脱獄君を殴り倒します。なんと、下に落ちる途中に吸水塔の突起物に引っかかって助かったのです。何だかやたらと「落ちたけど引っかかる」シーンの多い映画です。
オタク君と片割れ君は逃げますが、彼らの眼前に夥しい数の廃車山があり、無数の人骨が転がっているではありませんか。1663年に地球に落ちてきたモンスター君がここに住み着いて、人間を餌にしていたのです。
すると、オタク君と片割れ君は自分たちが乗っていた車を発見します。トランクを開けると重傷君が宝物にしていたジダンのユニフォームが出てきます。暗証番号はそのユニフォームのナンバーだったのです。オタク君はロックを解除して警察に電話をかけますが、警察は忙しいらしくつながりません。しょうがないんで、片割れ君のお相手女性の携帯電話にかけますが、なぜか廃車の中から呼び出し音が響きます。
するとそこに、脱獄君が銃を振りかざして襲ってきます。オイオイお前ら、なんでこいつから銃を取り上げておかなかったんだよ、と誰しも不思議に思いますが、脱獄君は狂ったように銃を乱射。すると、その音を聞きつけた「地面の下のあいつ」が襲ってきて、脱獄君は呆気なく死亡! この手の映画では、こいつは最後まで頑張るキャラのはずなんですが、ここでお役御免となります。
で、二人は吸水塔近くに逆戻りします。すると、脱獄君を捜しているらしいヘリコプターが近づいてきますが、もちろん二人に気が付きません。するとオタク君は車のトランクにあった発煙筒を思い出し、これで合図を送ろうとします。発煙筒に火を付けたオタク君、なぜか走り出して原っぱみたいなところに出ます。発煙筒を降って大声で助けを求めますが、この声を聞きつけた「地面の下のあいつ」が土煙とともに襲ってきます。オタク君、大ピンチ!
すると、片割れ君のお相手女性がなぜか生き延びていて、オタク君を助け、「声を出しちゃダメ」といいます。そうです、「地面の下のあいつ」は音で獲物を探すんですね。ここでようやく、怪物くんが画面に登場します。どっかで見たことがある造形でございます。静かにした甲斐があって、怪物君はどっかに行っちゃいます。そして、オタク君と女性が片割れ君のところに戻り、カップル再会!
で、早くここから逃げようということになって歩き出しますが、石組みの城壁みたいなところに行く手を阻まれ、先に進めません。すると、女性が城壁の隙間から向こうに行けることを発見し、そこから逃げようと提案。オタク君は賛成しますが、なぜか片割れ君は「俺は森に戻る」と訳の分からないことを言い出します。
しょうがないんで、二人は隙間に入り、向こうに脱出。すると片割れ君は「俺もそっちに行く」と騒ぎます。すると都合いいことに怪物君が襲ってきて、片割れ君は襲われて死亡。
オタク君と女性は逃げますが、ここでようやくヘリが二人に気付きます。超ラッキーでございます。そして二人を助けようとヘリは高度を下げますが、その音に気付いた怪物君がジャンプしてヘリを襲います。ヘリは呆気なく爆発炎上です。超アンラッキーでございます。爆発の破片がオタク君を直撃してオタク君は重傷を負った模様です。一方、女性も怪物君の触手に捉えられ、死亡フラッグが立ちまくっています。すると彼女は手を延ばして高圧電線を掴みます。そして怪物君共々、感電死しちゃいます。登場人物がすべて死んじゃいました。
そしてその頃、地球には無数の隕石が降り注いでいるのでありました・・・とさ。
というような映画でしたが、最初に登場する女子3名のうち2名はその後、全く出番がないし、脱獄犯もモノモノシく登場させた割には活躍するわけでもなく、簡単に死んじゃいます。こいつを登場させた意味がありません。また、オタク君を主人公にするのであれば、彼が肌身離さず持ち歩いている携帯ゲーム機を武器(例:ゲーム機の音を餌におびき出すとか)にして怪物君を倒すという設定にしてくれないと困りますよね。
(2012/06/01)