タイトルを見ただけでショーモナイB旧モンスター映画だとわかります。こんなタイトルを見て「もしかしたらすごく面白い映画かもしれない」と思うやつなんていません。「このタイトル,絶対にハズレだけど,どのくらいハズレているか確認せねばなるまい!」というようなおバカ映画ファンだけが見るであろうおバカ映画です。ちなみに,テレビ向けの製作された映画のようです。
さあ,果たして零式戦闘機(いわゆるゼロ戦ね)と巨大翼竜が戦うシーンは本当にあるんでしょうか。ワクワクしながらDVDスタート!
最初は第二次大戦末期,1945年春のある島。ここで日本軍が何やら穴を掘ろうとして古い洞窟を見つけちゃいます。そして彼らは中で巨大な卵を見つけます。おいおい,こりゃ何だ,と思ったその時,巨大生物が襲いかかってきます。
その3ヶ月後(・・・ということは7〜8月頃です。これは秘密任務を推理する重要な鍵だから覚えておくように),新型のB29を運んできたアメリカ空軍婦人部隊がハワイのヒッカム基地に到着しますが,そこで司令部から「このB29にトラー大佐(ブライアン・クラウズ)と極秘物資を積んでテニアン島の基地まで運べ! これは極秘任務だ!」と命令を受けます。マックス隊長(ジェイミー・エル・マン)率いる婦人空輸部隊は命令に従い,飛び立ちます。1945年7月のテニアン島への極秘物資って一体何なんでしょうか。
ところがB29は嵐に遭遇し,そこで巨大な生物が襲われ,右側のエンジンが停止し火を噴きます。燃料も漏れています。そこでマックスはトラー大佐の反対を押し切って,着陸できそうな島を発見し不時着します。
彼らは島を捜索しますが,日本軍が残していった数機のゼロ戦と物資を発見したところで,数人の日本兵が襲ってきます。双方のにらみ合いが続いたとの時,あの巨大生物が襲ってきます。なんとその島は,古代から蘇った(?)巨大翼竜が支配する島だったのです。
なんとかトラーたちは日本軍兵士を捕虜にしますが,手元にあるのは故障したB29と無傷のゼロ戦数機。行く手に待ち構えるのは無数の巨大翼竜。さぁ,我らがアメリカ軍は悪辣卑劣な日本軍が仕掛ける罠を見抜き,巨大翼竜を蹴散らして脱出し,無事テニアン島に「秘密物資」を送り届けることができるのでありましょうか・・・ってなお話です。
主役は婦人空輸部隊の隊長マックスさんとその部下です。1945年という時代設定のため,髪型はいかにもという感じのパーマ姿ですし,口紅は真っ赤です。今見るとほとんどギャグですが,当時はこういうのが最先端なオシャレだったんでしょうね。そのためか,一番若い女性隊員を含め「美しいなぁ」という人が一人もいません。華がないというか,華がいないというか,そんな感じです。ちなみに,トラー大佐とその部下は飛行機の操縦はできず,日本兵の生き残りにも操縦士はいないため,ゼロ戦に乗って巨大翼竜と戦うのは彼女たちです。ゼロ戦を操縦する真っ赤な唇のパツキン女性・・・という設定に萌え萌えの人もいるかもしれませんが,残念ながら私の趣味ではありません。
日本兵の隊長さんはトオル・マサムネという俳優さんですが,日本語がちょっぴり(?)不自由です。「ワタシ チョット シャベル ニホンゴ」よりちょっと上手いレベルの日本語です。日本兵どうしの会話は「たどたど日本語」なんですが日本語字幕がちゃんとあるので,何をしゃべっているかよくわかります。ちなみに,日本兵同士の会話は流暢な英語になります。監督さんも俳優さんも「日本語会話」が面倒になったんでしょう。
そういえば,日本軍が持ち込んだ(と思われる)トラックのナンバープレートはアメリカ仕様だし,車体に書かれている文字も英語でございます。そういえば,後半,日本軍が持ち込んで浜辺に隠してある燃料を巨大翼竜の目をかいくぐって取りに行くシーンがありますが,ドラム缶には「燃料」と漢字が書いてあります。目が行き届いているんだかいないんだか,微妙なところです。そういえば,「浜辺に隠してある」と言っていたのに,無造作に置いてあるだけで矛盾しているし,燃料満タンのドラム缶も女性一人で軽々と押して運べます。アメリカ女性はさすがに力持ちです。
さて,巨大翼竜はどうかというと,プテラノドンではなくプテロドンであり,これはどうみても伝説のドラゴン型ですね。巨大と書きましたが,実はあまり大きくなく,体の大きさは人間の倍くらい,翼を広げると3メートルくらいかな? この体型と翼の比率から言うと,絶対に飛べそうにありません。プテロドンはすべてCGですが,テレビ向け映画としては頑張って作っている方で,それほどひどくはありません。ゼロ戦の最高速度は530km/hrくらいだったと思いますが,それに楽々追いつけるプテロドンの飛翔能力はすごいっすよ。
ただし,ゼロ戦との空中戦はちょっと迫力不足ですね。普通なら,ゼロ戦の戦隊と100羽(100頭)のプテロドンとの空中戦を期待したいところですが,何しろゼロ戦は2機〜3機ですから,派手な空中戦をやろうとしてもゼロ戦の絶対数が少ないんですよ。だから,プテロドンとの戦い方も単調になります。まぁ,このあたりは低予算SF映画の限界でしょうね。
というわけで,トラー大佐の極秘任務は何かというと,既に全員がお気づきと思いますが完成したばかりの原子爆弾です。実際,広島,長崎に投下された原子爆弾を搭載したB29はテニアン島から飛び立っています。となると,なにか困ったことがあると原子爆弾を使っちゃうアメリカ人ですから,観客は早い時期に「プテロドンは島ごと原子爆弾でふっ飛ばして,めでたし,めでたしにするつもりなんだろうな」と察しが付きますが,まさにご明察! 島ごとふっ飛ばしてくれました。原爆を使うことに何の躊躇もありません。さすがはアメリカ軍でございます。
その他にもツッコミどころ満載の楽しい映画ですので,ツッコミを入れながら映画を見るのが趣味の人は必見の映画じゃないかと思います。
(2012/07/19)