《ピラニア》★★★(2010年,アメリカ)


 1978年のヒット作《ピラニア》を3D映画にリメイクしたのがこの作品で、監督は《ハイテンション》《ミラーズ》のアレクサンドル・アジャ。もう最初から最後までエロとグロに徹していて、それはもう潔し、という感じですよ。何しろかのジェームス・キャメロン監督様が「こういう低俗な映画が3D映画をダメにするんだ」と酷評しておられるくらい、お下品で低俗です。ちなみにキャメロン監督は、この映画を見もしないで「こんな3D映画は・・・」と仰られていたのは有名な話。

 でもさ、低俗でいいじゃん。下品でいいじゃん。どうせ、ピラニアの大群がバカ兄ちゃん、バカ姉ちゃんを食い散らかすだけの映画なんだから、上品に作ったって意味ないもん。キャメロン監督の上品で芸術的な3D映画作りでピラニア映画撮ったって、誰が見るんだそんなモン! ビキニの姉ちゃんのオッパイが3Dで飛び出して見えたら、それでいいんだよ。

 というわけで、私はキャメロンの3D芸術作品(・・・と本人が考えている)よりは、アジャのおバカに徹したエログロ3Dの方が好きですね。


 舞台はアメリカ南西部のビクトリア湖。この湖の湖底で大きな地震があって割れ目ができちゃい、そこが太古から閉ざされていた地底湖とつながってしまいます。その地底湖には200万年前に絶滅したはずの古代ピラニアの群が生き延びていたのです。そんな腹ぺこピラニア軍団がビクトリア湖に突撃を開始します。

 かたや、ビクトリア湖畔は毎年開催されているお祭り「スプリング・ブレイク」の真っ最中。ビキニの姉ちゃんとオッパイ丸出し姉ちゃんと、そういう姉ちゃんを狙って集まる野郎どもで、飲めや歌えや踊れの大騒ぎ。「Tシャツすけすけコンテスト」なんてやっているバカばかりで、アメリカ中のアホ学生大集合! このバカどもにお腹を空かしたピラニア軍団が襲いかかるのでありました・・・ってな素敵なお話でございます。


 おバカ映画とはいっても一応アメリカ映画なんで、親子の物語(女性保安官とその17歳の息子、その弟と妹)とか、その長男とガールフレンドの初々しいラブストーリーとかを絡ませるのはお約束ですが、これらのエピソードは付け足しみたいなもので、ドーデモいい感じです。この手のアメリカ映画によくある「家族の崩壊と再生の物語」なんてウザい要素はありません。多分、アジャ監督自身が「アホなホラー映画でも必ず家族の物語を絡ませなければいけないなんて、アホらしいよなぁ。観客はそんなのを見たくて映画館に来てるんじゃないと思うぞ。連中が期待しているのは若い女のオッパイとケツ、血しぶきと派手な死体だけじゃないのか?」と考えているんでしょう。そういうところが、逆に潔くて格好いいです。


 というわけで、エロとグロまっしぐらです。エロの方は15禁指定ですが、セックスシーンとかではなく、オッパイ満載方面での15禁です。美乳、巨乳、普通乳とよりどりみどりです。ポルノ映画の撮影に登場する二人の女性は一人は本職のモデル、もう一人はポルノ映画の女優さんということですが、どちらも見事な肢体で目の保養になります。しかもこのお二人が水中を全裸で泳ぐシーンでは、股間というか性器というか、そのあたりがバッチリと映っている感じです(さすがに日本輸入盤ではボカシが入っていますが、輸入盤では〇〇らしいです)。しかもこのシーンが無駄にきれいで長いです。

 一方のグロですが、こちらもハンパないです。古代ピラニア軍団に襲われたバカ兄ちゃん、バカ姉ちゃんは食いちぎられて白骨になるわ、目玉が浮くわ、助けたと思ったら下半身はないわ、犠牲者を浜に運んでいる最中に胴体が途中からちぎれるわ、船のスクリューに髪の毛を巻き込まれた女性の首がもぎ取られるわ、これでもかこれでもかという感じです。しかも、犠牲になるのがおバカさんばかりで、「こいつらが全員死んでも世界に影響がないよね」、という感じなので同情心すら沸きません。最初から死亡フラッグがたちまくっています。こういうところも潔くていいです。


 そういえば、主人公の17歳の童貞君を演じるのはスティーブン・R・マックイーンで、あのスティーブ・マックィーンのお孫さんとのこと。そういえば顔立ちが似てますね。

 そうそう、もう一人忘れてならないのは映画監督のイーライ・ロスがちょい役で出演していること。ロス監督といえば《ホステル》などの悪趣味系残虐系映画ばかり撮影している変態さんですが、この映画では「濡れ濡れTシャツ・コンテスト」というバカ丸出しショーの司会者を演じているのがロス監督です。何でこんな役で登場したんでしょうか。よほど暇だったのでしょうか。


 最後のピラニア軍団を全滅させるシーンも適当すぎて笑えます。湖全体に散らばっているピラニアがなぜあれで全滅しちゃうの? せめて、餌で呼び寄せるとか、そういう工夫をしろよ。というか、そういうためにあの生物学の老先生を登場させたんじゃないの? 普通のモンスターパニック映画なら、このじいちゃんが「古代ピラニアの習性がわかった。奴らはフェロモンで群を作るんだ」とかなんとか説明して、それでおびき寄せるのが常套手段のはずなんだけど、アジャ監督、このじいちゃん先生を登場させたことを忘れちゃった模様です。もちろん、さすがにこれで全滅はマズいと気がついたようで、ラストシーンでは「実はこのピラニアは幼魚で・・・」というオチを付けていますけどね。


 というわけで、B級ホラー映画なんてエロとグロでいいの、と割り切れる人だけご覧ください。1時間半、たっぷりと楽しめるはずです。これぞ、最高のB級映画ですから。

 ただし、「3D映画といえばジェームス・キャメロンのような芸術作品以外は認めない」という健全な映画ファンは見ちゃダメです。キャメロン監督に叱られちゃいますよ。

(2012/07/31)

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