《シャーク・イン・ベニス "Shark in Venice"★★(2008年,アメリカ)


 私はこれまで、数え切れないほどのサメ・パニック映画を見てきました。もちろんその大部分は愚にもつかない、端にも棒にもかからないクズ映画でした。もちろんこちらとしては、暇つぶしと話のネタに見ているので出来の悪い映画はOKなんですが、今回のもそういう一つです。

 内容はタイトルのそのままで「ベニスにホオジロザメ」です。それ以上でもそれ以下でもありません。しかも、ホオジロザメが人を襲うシーンがあまりありません。映画のメインの流れはメジチ家の財宝探しで、ちょっぴりインディ・ジョーンズみたいなシーンもあります。おまけに、美しいベニスの風景がふんだんに登場して、なんだか観光映画みたいです。そんなわけで、どういう映画を作りたかったのか、イマイチわかりにくいです。単に映画作りのスタッフがベニスに観光旅行に行って、そのついでに映画を作ったんじゃないかという気さえします。


 海洋大学の教員フランク(スティーブン・ボールドウィン)は、父親の大学教授がベニスの潜水禁止地域の水路で死体で見つかったという連絡を受けます。そこでフランクは婚約者のローラ(ヴァネッサ・ヨハンソン)とともにベニスに向かい、父親の遺体の確認に向かいます。ベニスの警察は「死因はボートのスクリューに巻き込まれた事故死」と告げますが、フランクは父親の遺体に残された傷がサメに咬まれたものだとわかります。しかし、警察は「ベニスにサメがいるとは聞いたことがない」の一点張り。実は、フランクの父親はマフィアのボスの資金援助を受けて、ベニスの町のどこかに眠るメジチ家の財宝を探していて、潜水調査の最中にサメに襲われたのです。

 フランクは父の死の謎を解こうと死体の見つかった水路に潜水し、そこで謎の水路を発見し、ついにメジチ家の財宝を発見します。帰路の途中でサメに襲われますが、何とか助かります。すると、例のマフィアのボスがなぜかフランクがメジチ家の財宝を捜し当てたということを知り、フランクに大金を提示し、財宝を運び出すように要請します。フランクは拒否しますが、ローラが誘拐されたため、彼女を救うため、ホオジロザメの待つ水路に潜っていくのでありました・・・ってな映画でございます。


 まず、サメ映画としては全然ダメっすね。サメの映像は自然報道番組などのサメが泳ぐ映像の流用だし、人を襲うシーンも少ない上に流用っぽいし、ベニスの水路は汚れて濁っているという設定のために何が起きているのかイマイチわかりにくいし、何か泡がボコボコと出て赤い液体が広がるだけです。これでサメ・パニック映画を名乗るのは客をなめてますね。

 逆に、メジチ家の秘宝が眠る洞窟のシーンはインディ・ジョーンズばりのトラップ満載で、これだったらサメなしの海洋アドヴェンチャー・アクション映画にしたらよかったのに、という気もします。


 主演のスティーブン・ボールドウィンですが、気の毒なほどのお腹ポッチャリ・メタボ体型です。糖質制限しろよ、とアドバイスしたくなるくらいのオッサン体型です。途中でベニスの街の中を疾走するアクションシーンがあるのですが、なんと途中でスタントマンにすり替わるという体たらくです。体を絞ってから撮影に入れよ、と言いたくなります。多分これが、この映画を海洋アドヴェンチャー・アクション映画にできなかった理由じゃないかと思います。デブが主人公のアクション映画はあり得ないですからね。それにしても、あれだけ太っていたら、水に潜るのも大変だったと思いますよ・・・脂肪で浮いちゃいますから・・・。

 このメタボ・オッサンの情けなさを補って余りあるのが、フランクの恋人ローラ役のヴァネッサ・ヨハンソンと、ベネチア警察の女刑事役の女優さんです。ヨハンソンは若くて顔立ちもきれいですが、フランクの恋人として不釣り合いです。と言うか、この二人が恋人同士という設定がほとんどお笑いです。何でヨハンソンがこのデブオッサンと恋人? 一方の刑事さんですが、ローラ役の女優さんよりちょっと年上ですが、こちらもきれいな方でよろしいです。問題は、このお二人のお色気シーンが皆無なことですね。ビキニ姿を見せて欲しかった(特に、ローラ役の巨乳さんは・・・)、なんて贅沢は言いませんが、せめてちょっと谷間の片鱗でも見せて欲しかったです。


 情けないと言えば、ホテルに泊まっているフランクを襲う目出し帽軍団ですね。侵入するところはやたら格好良くて、向かいの建物からワイヤー伝いにスパイダーマンのように押し入るんですが、なぜかメタボ体型のフランクに反撃され、その後はフランクとの追いかけっこになります。こうなるんだったら、侵入シーンをあそこまで凝る必要はなかったですね。

 あと、この映画は日本語吹き替えで見ない方がいいです。ほとんど「セリフ棒読み」だからです。特に、ローラの吹き替えと女刑事の吹き替え、警察の上司の吹き替えがひどいです。「素人以上プロ以下」ではなく、「素人レベル」です。もしかしたら、配給会社のスタッフが葺き替えたんでしょうか。少なくともこの吹き替えは学芸会レベルであり、映画鑑賞の邪魔にしかなりません。


 私がこれまでみた「サメ映画」の中では最悪というほどひどいレベルではありませんが(サメ映画の最底辺と言えば《ジュラシック・ジョーズ》《生体兵器 アトミック ジョーズ》《ジョーズ・アタック2 −死神ジョーズ 戦慄の血しぶき−》《キラー・シャーク 殺人鮫》あたりですね)、普通の感覚で言えば「見たら絶対に後悔するサメ映画」であることは間違いないと思います。逆に言えば、クズ映画マニア、ゴミ映画ヲタクなら必見の映画ですね。

(2012/11/09)

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