新しい創傷治療:メガ・パイソン VS ギガント・ゲイター

《メガ・パイソン VS ギガント・ゲイター "Mega Python vs. Gatoroid"★★(2011年,アメリカ)


 『ダイナクロコ vs スーパーゲイター』と『メガ・シャーク VS ジャイアント・オクトパス』に続く,The Asylum社のメガシリーズ第3段がこれです。今度のヘビとワニもでかいっすよ。電車丸飲みしちゃいますから高層ビルと同じくらいのサイズでっせ。

 しかも今回は,ダブルヒロインときています。一人はティファニー,もう一人はデビー・ギブソンで,ご存じの方はご存じと思いますが,往年のアイドル歌手でございます。ちなみにデビー・ギブソンは『メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス』に,そしてティファニーは『メガ・ピラニア』にヒロイン役で出演していますが,特にティファニーちゃんの変貌ぶりが無惨というか,「見ちゃいけないものを見ちゃったなぁ」感が漂います。メガシリーズに出演するからって,ウエストとお尻までメガ化させなくたっていいと思います。・・・ってことは次の作品でティファニーちゃんがさらにメガ化しているという可能性もあるんですよね。一方のギブソンちゃんも劣化が激しいです。二人のアップのシーンでは思わず目を伏せてしまいましたよ。アップになると怖いんだもの。諸行無常というか,祇園精舎の鐘の声というか,人生の儚さを感じさせます。

 例によって超おバカ映画ですから,そっち方面のマニアの方だけご覧ください。

 ちなみにこの映画のパイソンとはニシキヘビのことです。


 まず,ヘビ大好きな環境保護活動家のニッキー(デビー・ギブソン)が助手と一緒に,どっかの屋敷に忍び込むシーンから始まります。どうやら,違法に密輸されたヘビを盗み出しているようです。そのヘビをどうするのかなぁ,と思っていたら,なんとヘビ女ニッキーは「みんなここで平和に暮らすのよ」とか言いながら,エバーグレイス国定公園に逃がしちゃいます。ヘビだけ幸せなら,他の動物なんてどうでもいいと考える,トンデモ・ヘビ馬鹿女です。こんなの,とっとと死んじゃえ! そして,なぜかヘビたちはすくすくと成長し,ワニ君を襲って食べ始めます。

 一方,ワニ大好き自然保護官のテリー(ティファニー)はワニの減少に気が気でありません。エバーグレイス公園を「ワニの楽園」として売りだそうとしているからです。そして,でかいヘビがそこらをウロウロ・ニョロニョロしていることを知り,ワニを守るためにワニ狩りハンターたちに「ヘビはいくら殺してもいいわ。でもワニはだめよ」と射殺命令を出します。

 そして,テリーの婚約者もヘビ狩り部隊に参加します。ウエストがすっかり巨大化したティファニーちゃんに「ハニー」と呼びかけるシーンがなんだか微笑ましいです。ところが,ヘビ狩り部隊はあまりのヘビの多さに次々と犠牲になり,テリーの婚約者まで一飲みされてしまいます。テリーは恋人を助けようと森に入り,そこで巨大なヘビに遭遇! お腹の中から恋人に持たせた無線の音が聞こえます。

 テリーは一時取り乱しますが,恋人を奪ったヘビを皆殺しにしようと復讐の鬼になります。そして彼女は,ワニを巨大化させてヘビを喰わせるというグッドアイディアを思いつきます。それを聞いた,自然保護官事務所のおばあちゃんが「うちの孫が違法な筋肉増強剤を持っているから,それを使えばいいわ」と言います。どんどんとんでもない方向に話が展開しております。で,大量の鶏肉を買ってきてお肉の中に筋肉増強剤を注射して,ワニに与えます。ワニ君たちはどんどんムキムキの巨大ワニに変身していきます。

 ところが,ワニの卵をヘビが食べちゃったもんだから,ヘビはさらに巨大化しちゃいました。ほうら,言わんこっちゃない。ヘビが巨大ワニに襲われていると聞いたニッキーは公園に向かいますが,ここで巨大ワニに襲われ,ニッキーの娘と助手はワニの胃袋に直行! 辛くも助かったニッキーは森に仕掛けた監視カメラの映像から,テリーが鶏肉に薬物を注射した餌をワニに与えていることを知り,「このワニ馬鹿女のせいで,大好きなヘビちゃんも,娘も食べられちゃったのよ。この恨み,はらさでおくべきか〜!」と戦闘モードに突入。ヘビ女とワニ女の戦いの火蓋が切られるのでありました。

 このころ,ヘビ退治の専門家,ディエゴ博士も登場します。役どころはヘビ退治と言うよりは,ヘリコプターの操縦士,と言う感じのマッチョさんです。

 一方,テリーは国定公園保全のための資金集めのパーティーで挨拶なんぞしております。なんと,あの懐かしいモンキーズのミッキー・ドレンツさんが出演・演奏なさっておられます。まだ生きていたんですね。

 そして,テリーのステロイド疑惑映像を収めたDVDを手にしたニッキーがパーティー会場に入り込み,テリー@ワニ女 vs ニッキー@ヘビ女のキャット・ファイトが始まります。テリーの派手なパンチラシーンなどがありますが,なぜか見ている方は全然嬉しくありません。二人の激闘はパーティー会場から水辺へと舞台を移し,延々と続きます。もしかしたら,これこそが「メガ・パイソン VS ギガント・ゲイター」なんでしょうか?

 ところがそのころ,パーティー会場は巨大ヘビ+ワニ軍団に襲われます。ディエゴ博士はライフルを取りだして会場のみなさんに「武器を持っている人,いるかい?」と声をかけますが,するとほぼ全員がピストルを摂りだし,ヘビとワニに応戦を挑みます。さすがは銃大国のアメリカです。パーティーに行くときも銃は携帯するのがマナーなのかもしれません。

 一方,水の中で激しいバトルを続けるヘビ女とワニ女ですが,ここでふと我に返ります。異様な雰囲気だからです。そして二人はワニに襲われ,何とか走ってパーティー会場にたどり着きます。ディエゴ博士が助けてくれます。ここで二人は休戦し,善後策を検討します。

 そしてディエゴ博士から町の廃坑のトンネルにワニの巨大な卵が無数にあることを知り,ヘビ女が所有している「は虫類フェロモン」を小型飛行機から散布してヘビとワニをこの廃坑に誘導し,一気に爆破する作戦を立てます。

 ヘビ女は廃坑のトンネルにダイナマイトを仕掛けますが,その時,巨大ワニの卵が一斉に孵化を始めます。あまつさえ,トンネルの入り口を母ワニがとおせんぼ! ヘビ女,大ピーンチ! その頃,ワニ女とディエゴ博士はセスナ機でフェロモン散布を始め,うまく行きかけますが,途中で巨大ヘビの攻撃を受けて高速道路に緊急不時着。機体は宙ぶらりんになってしまいます。足を挟まれて動けなくなったディエゴ博士はワニ女に,「車を走らせてフェロモンを撒き続けるんだ」と命令し,ワニ女は車に乗り込んでフェロモン散布。そして,トンネルに向かいます。

 そこで,とおせんぼしている母ワニの気を逸らしてヘビ女を助けます。一時期,二人の間に女の友情が芽生えますが,ヘビ女の一言であっさりと友情崩壊!

 さぁ,果たして二人は無事助かり,ヘビとワニを爆破できるのでありましょうか・・・ってなナイスなお話です。


 と書いておいて,あっさりとばらすと,ワニ女もヘビ女も最後は死んじゃいます。ワニ女はワニに喰われ,ヘビ女はヘビに喰われます。この手の映画でヒロイン役が助からないのは超珍しい設定ですが,何しろこの二人の「ヘビさえ助かればいいの!」,「ワニだけ大切にすればいいの!」というワガママ論理が超ウザったいため,二人が喰われるシーンはもう爽快そのものでした。もっと早く喰われてもよかったくらいです。

 ちなみに,映画の中で挿入される歌は,ティファニー,ギブソン,それぞれの新曲のようです。往年のティファニー,ギブソンの可愛くてキュートな笑顔を思い浮かべながら聞いてあげてください。

(2012/11/13)

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