新しい創傷治療:トランスモーファー 人類最終戦争

《トランスモーファー 人類最終戦争 "TRANSMORPHERS"(2007年,アメリカ)


 B級パチもん映画ファンの間ではすごく有名な作品です。もちろん,「アレ見た? すげぇ下らなくて詰まらなかったろ? しかもタイトルが 《トランスモーファー》 だもんな。さすがはThe Asylum。期待を裏切りませんなぁ」 という評価で有名なことはいうまでもないでしょう。ここまで来たら,DVDジャケットとDVDタイトルを見て 《トランスフォーマー》 と間違うほうが悪いんです。だって,騙そうと思って作っているんだもの。騙されたほうが悪いんです。

 というわけで,この手の映画に目がないという審美眼低下症患者にだけオススメしますのです。


 西暦2009年,ついに2000万光年の彼方に知的生命体が発見されました。そこで人類は彼らに平和と友情のメッセージを発信しますが,5年後,異星人たちは巨大ロボット軍団を地球に送り込み,一気に地球を壊滅しようとします。そして人類にとどめを刺すべく,地球環境を買え,地球の大気は厚い雲に覆われて日の射さない世界になります。その結果,人類の9割は死に絶え,生き残った人類は地下に社会を作りそこで何とか生き延びていました。

 そんな人類が最後の希望をかけたのが反逆者として冷凍刑にかけられていたミッチェル。そして解凍されて蘇ったミッチェルは精鋭部隊を率い,ロボット軍団に立ち向かうのでありました・・・ってなお話です。


 これまで散々見てきた 「パチモン三流ロボット映画」 の数々に比べたら,まだこちらはかなりまともな方です。ストーリーはグダグダしていますが,それでも一応起承転結(らしいの)はあるし,ロボットの変形は安ぽいCGだけど,2007年の映画でなく1980年頃の映画と思えば古く見えません。人間側の人間関係というか指令本部内の派閥争いがウザいですが,ストーリーに厚みを持たせようとした努力の結果だと思えば微笑ましいもんですよ。

 人間側が立てた作戦もなんだか意味不明ですが,個々の戦闘シーンは90年代のテレビの戦隊モノと同じだと思えばそこそこ見られるレベルでしょうか。戦場(?)の全体像がわからないため,作戦がうまく行っているのか行っていないのかがわかりませんが,わかったとしても感動が増すような映画じゃないんで,気になりません。


 2000万光年の彼方の惑星をどうやって発見したの,とか,そこに知的生命体がいることをどうして知ったんだよ,とか,そもそも2000万光年離れたところから5年で返事(?)が返ってくるってなんかおかしくね,とか,そういうところにつっこんではいけないのはお約束です。と言うか,この異星人がそもそも地球環境を変化させる目的が全くわからないんですが,まぁ,そのあたりはどうでもいいでしょう。

 訳が分からんと言えば,ヒロインの女性は主人公ミッチェルの元カノという設定ですが,ミッチェルが冷凍刑になったあと軍の女性司令官と結婚するんですよ。ヒロインが女性と結婚って・・・? そういえば,軍の上官たちにも女性ばかり目立っていますが,そういう世界なんだと思うしかありませんね。まぁ,そこそこ綺麗どころを集めていたからいいか。


 ちなみに,日本語吹き替え版で主人公ミッチェル役を務めるのは玄田哲章さん。本家《トランスフォーマー》の初代コンボイ司令官の吹き替えをしている人です。渋くていい声ですので,この映画だけは必ず吹き替え版で見てください。

(2012/11/27)

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