《グランド・クロス レボリューション "Stonehenge Apocalypse"(2010年,アメリカ)


 トンデモ系超古代文明をテーマにした一種のディザスター・パニック映画でテレビ用に作られた映画です。ものすごくチープで、内容もいわゆる「電波系」ですが、ストーリー的には意外性のない「鉄板のお約束」的展開ですので意外性は皆無です。ちなみに監督さんは《フィアー・フロム・デプス》《スネークヘッド・テラー》などのB級映画で知られている(?)ポール・ジラーさん。でもって、主演はちょい有名なミシャ・コリンズさん。

 ちなみに、「アンティキティラ島の機械」とか「ストーンヘンジ@地球起爆装置」とか「地球エネルギー網説」とか「メーン州の地下3000メートルに眠る巨大ピラミッド」など、疑似科学の定番アイテムがバンバン登場しますので、そっち方面が大好きな人は見た方がいいかな。それ以外の人は見なくても人生の損失にはなりません。

 ちなみに、舞台はイギリスですがロケ地はカナダの模様です。


 主人公はジェイコブ・グレイザー博士(ミシャ・コリンズ)。彼は新進気鋭の天才天体物理学者として知られていましたが、「月面にロボットの頭部を発見した」と発表したばかりに学会からつまはじきされますが、それにもめげず、『グレイザー博士の真実の話』というラジオ放送で科学界が隠している「真実」を伝えています。ちなみにこの「ロボットの頭」というのがこの映画のキーワードの一つですので、覚えておいて下さい。

 そして、アメリカのメーン州の地下3000メートルの地下に眠るピラミッドの謎を解き明かそうとしている科学者がいます。ジェイコブのジョセフです。そして、ジョセフはピラミッドを発見し内部を調べています。地下3000メートルの建造物をどうやって掘り当てるんだよ、とか、地下100メートルごとに地熱は3℃上昇するから3000メートルだと50℃だよね、とか、そういうツッコミは御法度です。


 そのピラミッド内部で古代文字が刻まれた石版(これがまた新品同様)を発見し、持っていた何かと合体させたそのとき、イギリスのソールズベリにあるストーンヘンジが突如回転するように移動を始め、中央祭壇が突然閃光を放ち、周囲にいた観光客は一瞬にして消滅します。ちなみにこの「ストーンヘンジ大移動」のシーンですが、すごくチープなお笑いシーンですので、温かい目で見て下さい。

 そして、ラジオ放送中のジェイコブのもとに、次々にリスナーから「ストーンヘンジで異変が起きている」という連絡が入ります。彼は直ちに「地球エネルギー網」によるものだと直感します。そして、メーン州からソールズベリに異常な電磁波の流れがあることに気づきます。彼は直ちにジョセフに電話しますが、なぜかジョセフは協力を拒みます。

 一方、ストーンヘンジは軍に封鎖され、リーズ博士たちにストーンヘンジの異常な電磁波障害について調べるように要請されます。そして電磁波の発信源がストーンヘンジの中央祭壇であることを突き止めます。一方、異常を突き止めるべく現地に到着したジェイコブは軍の封鎖の隙をついてストーンヘンジ近くに潜入し、電磁流速計(?)で調査開始。そして針が振り切れたその時、再びストーンヘンジは動き始め、周囲に強力な電磁波を放ちます。危険だから近づくな、とジェイコブは飛び出しますが、軍に見つかってしまい監禁されます。


 しかしちょうどその時、今度はメキシコのユカタン半島にあるククルカンのピラミッドの頭部が変形し、突如大噴火します。世界遺産が見事吹っ飛び、ユカタン半島は壊滅状態です。どうやら〔ストーンサークルが動いて界電波を発する〕⇒〔世界のあちこちにあるピラミッドで噴火が起こる〕という法則があるようです。ストーンヘンジ近くの軍の研究所に詰めている科学者は、その異変について誰一人説明できません。ちなみに、この「ピラミッドの頭が変形」するシーンも笑っちゃうほどチープですが、笑っちゃダメですよ。

 一方、メーン州の地下ピラミッドの中では、ジョセフ博士が助手たちに「太陽の部屋」が見つかれば我々は助かるのだ、と説明しております。


 その頃、静かになったストーンヘンジの調査が始まりますが、掘り起こした土壌から好熱菌が見つかります。ストーンヘンジの地下で何か異変が起きているのです。それにしても、なんと古細菌の登場です。古細菌マニアとしてはこのシーンだけで、元を取った気分です。

 そして、研究所の一人がストーンヘンジ中央祭壇から出ている電磁波のパターンから、それが一種の「カウントダウン」であることを突き止めます。それはあと37時間でゼロになるのです。37時間後、何かが起こるのです。そしてその頃、ジェイコブが史上最年少で天体物理学の賞を受賞した天才であることが判明します。そしてジェイコブは、地核を走る電磁波の流れがあり、その電磁波の流れが集まる場所があり、古代人たちはその場所にピラミッドを建設し、その中心にあるのがストーンヘンジだと説明します。

 そして、軍にも犠牲者が出たことから、軍の将軍も現地に到着します。そして、世界各国の首脳から「ストーンヘンジが諸悪の根元のようだから、破壊しちゃいなさい」と命令が下ったと説明します。直ちに兵士たちはプラスチック爆弾をストーンヘンジに仕掛け爆破しますが、さすがはストーンヘンジ、そのエネルギーを相殺する強力な磁場を発生させ、びくともしません。それを見た将軍は、「どうにかできる者はおらんのか?」と訪ね、リーズ博士がジェイコブしかいないと推薦します。


 その頃、メーン州の地下ピラミッドで「太陽の部屋」に到達したジョセフさんご一行は、「原始の丘」の謎に迫ります。鍵になるのは「アンティキティラ島の機械」でした。そして、ジェイコブもまた、この「機械」が重要な鍵であることを知っていたのです。

 そして、カウントダウン20時間目のその時、今度はインドネシアのジャワ島にあるピラミッド型遺跡が変形しててっぺんから大噴火! 今度は大地震と大津波を引き起こし、インドネシアは壊滅します。テレビでその様子が放送されますが、もちろん、本当の災害を伝えるテレビニュース画像の流用でございます。

 その頃ストーンヘンジでは、「電磁波には電磁波だろう」という作戦で電波望遠鏡から妨害電波を浴びせますが、どんどん波長が短くなり、ついにはガンマ線になってしまい、「これ以上出力を上げるとストーンヘンジ中央祭壇が原子炉になってしまう」ということになり中断。


 ただ一人、ジェイコブを信じるリーズ博士(このころ、この人がこの映画のヒロイン役であることがようやく判明。余りに老けているため、ヒロインだと気が付きませんでした)が、密かにジェイコブを脱出させ、協力する軍人と一緒にジープに乗り込み、ニューヨークの考古学センターに向かいます。ここに「アンティキティラ島の機械」が収容されているからです。そして、3人はニューヨークに到着します。どうやら、イギリスからアメリカまでジープで横断した模様です。

 そして、「アンティキティラ島の機械」を手に取ろうとしたその瞬間、武装集団が襲ってきます。ジョセフを信じるカルト集団です。そして、ジョセフは「機械」を奪い、メーン州のピラミッドに向かい、「太陽の部屋」の鍵にこれを合体させます。すると、地鳴りがして地面からピラミッドが出現します。安っぽいCGが笑いを誘います。

 この頃、ストーンヘンジが「地球で生命が誕生した頃の状態に戻す」リセットボタンみたいなモノであるという説明があります。どうやら、カウントダウン終了時にストーンヘンジでエネルギー網でつながった世界各地のピラミッドが一斉に大噴火して地上の生物は絶滅し、そこから生命誕生が再スタートするんだとか。その証拠が「生命誕生の頃から生きている好熱菌」なんですね。でもって、メーン州のピラミッドに「アンティキティラ島の機械」を合体させると、そこだけ安全なシェルターになるらしいです。でも、外の世界で全生物が絶滅しちゃったら、食い物もなくなるわけで、シェルターにいて助かっても意味がないような気がしますが、ジョセフ博士は大真面目です。

 一方、ジョセフを追うジェイコブとリーズ博士の車も地震と地割れに遭遇し、間一髪の所で助かります。舗装道路にだけ地割れが起きていて、周囲の草地には地割れがないところが、笑いを誘います。


 一方、カウントダウンは進み、残り10時間になりますが、今度はエジプトのギザの大ピラミッドのてっぺんが変形したかと思うと、大爆発します。北アフリカと中東地域が壊滅し、エジプトが地中海に飲み込まれた、とニュースが伝えますが、残念ながらその様子を映像はありません。予算が足りなかったようです。この頃になると、アメリカのメーン州ののどかな風景と、世界の壊滅とのギャップが大きすぎ、脳味噌が混乱してしまいますが、もうちょっとの辛抱です。

 ここにいたり、将軍様はピラミッドのある全地域に避難勧告を出し、ストーンヘンジに核攻撃することを決定します。やはり、世界を救うのは核兵器しかありません。しかもイギリスだし・・・。


 その頃、ジェイコブとリーズは重装備の兵士を伴って、メーン州のピラミッドに向かいます。そして、入り口にグレネード・ランチャーを発射して破壊し、内部に進入します。このあたりになると、この兵士がイギリス兵なんだかアメリカ兵なんだか、訳が分からなくなっています。っていうか、ここって一体どこなんだよ。

 で、ピラミッドの中でジョセフを探しますが姿が見あたりません。それで電磁流速計を使い、「機械」を持って逃げているジョセフを追います

そして、ジェイコブはジョセフを発見してなんだかんだありますが、最後はジェイコブがジョセフを射殺。そして、イギリスの将軍に電話をかけ、軍用機でそっちに向かうから準備してね、と願いします。ジェイコブはこの時点でアメリカにいるんですが、いくら軍用機と言っても間に合うんでしょうか。光速移動でもしない限り間に合わないような気がします。


 でも、軍用機は光より速くイギリスに移動し、イギリス空軍基地から光速で走る車に乗って、ジェイコブはストーンヘンジに急ぎます。

 同じ頃、3人の科学者も研究所に急ぎます。するとここで、科学者の一人がジョセフのカルト集団の一員であることがわかります。こいつが銃を振り回して2人殺します。そこにジェイコブが現れます。バッドタイミングでございます。ジェイコブ、絶体絶命。すると、さっき銃で売たれた一人がしぶとく生きていて、ジェイコブに「逃げろ」と叫びます。

 ジープのジェイコブはストーンヘンジに向かいます。それをカルトの手下が追います。一方、将軍はストーンヘンジへの核攻撃の命令を下します。カウントゼロまであと残り11分です。ジェイコブは車から降りてストーンヘンジに入りますが、そこで足を撃たれたりします。そこで爆撃機が核ミサイルを発射します。残り10秒です。「機械」を手下に奪われそうです。もう絶体絶命でしょう。

 ところがここで、手下さんは言ってはいけない一言を口走ってしまいます。「おまえバカだよな。月に宇宙人がいるって言い出すんだもの」。それを聞いたジェイコブは「宇宙人じゃねぇ! ロボットの頭だ!」と怒り心頭に発し、最後の力を込めて「機械」を中央祭壇にセットするのでありました。ジェイコブの逆鱗に触れた、というやつですね。


 それにしても、この映画はストーンヘンジと世界各地のピラミッドが舞台ですから、本来はアメリカは関係ありません。でも、アメリカ映画なんだから無理矢理にでもアメリカを舞台にしないと、アメリカンな観客は満足してくれません。そういうわけで、メーン州の地下3000メートルに古代ピラミッドがある、という無茶苦茶なお話をくっつけたんでしょうね。アメリカンな脳味噌って面白いです。

 ちなみに、日本にも幾つかピラミッドと言い張っている古代遺跡(みたいなの)がありますので、今度こういう映画を作る際は、これらのピラミッドも噴火させて下さい。

(2012/12/11)

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