《BOA ボア》★★(2006年,タイ)


 巨大ヘビ映画は覚えているだけでも両手の数より多いです。中には電車丸飲み、なんてお馬鹿サイズの映画もありましたっけ。そういうわけで今回はちょいと珍しいタイ製映画でございます。タイではアクション映画のほか、モンスター映画やホラー映画、怪獣映画が多数作られているそうです。

 というわけで今回の映画ですが、設定とストーリー展開がムチャクチャで、おまけに日本でいえば1970年代以前の 「青春映画」 の味付けがしてあるもんだから、オッサンは最後まで見るのがちょいと辛かったです。

 ヘビ自体は頑張ってCGで作っていて、動きもかなりなめらかに表現できていましたが、明るい陽光の元に登場するシーンは余りにくっきりと背景から浮かび上がってしまい、CG感が丸出しとなってしまったのは惜しかったです。


 パンナという大学生が国立公園内のジャングルに撮影旅行に行ったまま戻ってこない、という事件が起きます。彼の安否を気遣った大学の仲間たちは彼を助けようと捜索チームを結成。キンがどこかから気球を調達してきて出発。しかし、悪天候に見舞われて気球はジャングルの奥地に墜落してしまいます。

 彼らは偶然、パンナの手がかりを発見し、パンナを探しますが、偶然にも古代遺跡にたどり着きます。ここにはメデューサさながらの髪の毛がヘビになっている女神像が飾られていて、古代史のマンガを読んだことがあるフラエ(若き日の蓮舫さんのそっくりさんです)はそれが守り神であることに気がつきます。そのとき彼らを巨大なヘビが襲ってきます。

 一方、キンに気球を貸した金持ちも独自に捜索隊を結成して、徒歩でジャングルに入りますが、彼らもヘビに襲われます。警察(?)も捜索隊を結成してボートで現場に入りますが、やはりヘビに襲われます。さあ、パンナは無事に見つかり、キンやフラエたちは無事に帰れるでしょうか、という映画でございます。


 ツッコミどころは満載なんですよ。

 まず、巨大ヘビ君が何のために人間を襲っているのか意味不明。人間をパクッとくわえては振り回して放り出すだけで、食べようとしません。オイオイ、ヘビならヘビらしく得物は丸飲みにしなさい、と教育的指導を入れたくなります。映画の作り手はもしかしたら、ヘビの生態について全く知らないんじゃないかと思います。というか、怪獣映画のノリでこの映画を作っちゃったのかな? いずれにしても、いくらヘビをCGで本物らしく見せても、肝心の行動がまるでヘビとかけ離れているため、リアル感がゼロ、恐怖感ゼロになってしまいました。

 しかも、ヘビが余りに巨大すぎるために人間の対抗手段がなく、〔ヘビが人間を襲う〕⇒〔人間は逃げる〕⇒〔ヘビが人間を襲う〕・・・の繰り返しになります。つまり、このままでは 「犠牲になる人間」 の頭数を揃えとかないととても間が持ちません。それじゃ困るよねという訳で、グダグダとした意味のないギャグを入れたり、笑えないお笑いシーンを入れたり、意味のない行動をさせたり、無意味な洞窟シーンや廃寺シーンを入れたりするわけですよ。すべては時間稼ぎのためです。ちなみに、最初の犠牲者が出るのは映画が始まってから35分くらい経ってからです。


 おまけに、国立公園内での行方不明なら真っ先に警察が出動するはずなのに、警察はなかなか出動しないもんだから、学生の捜索チームとか気球の持ち主チームとかの素人集団が先走ってジャングルに入り、多重遭難の道をたどるわけです。このあたりの無計画&素人集団の暴走がタイ製映画の特徴?

 タイ映画なので出演する俳優さんは誰一人知らない人ばかりですが、誰が主人公で誰がヒロインなのか途中まで全くわかりません。「こいつが途中で死んじゃうってことは、ヒロインじゃなかったのか」 と気がつく始末です。蓮舫さんに似た女子がヒロインで確かに顔立ちはきれいなんですが、それ以上の魅力はありません。主人公の男子も印象が薄いです。

 そういえば、これから人跡未踏のジャングルに入ろうってのに、ノースリーブ&ホットパンツ姿はないよねぇ。(タイ映画のお約束として)どうせ脱ぐわけでもないんだし・・・。あの姿でジャングルを走り回ったらすぐに傷だらけですってば。同様に、これから人跡未踏のジャングルに入ろうってのに、飲み水も食料もなし、荷物も持たずに手ぶら、ってのもないよねぇ。こいつら基本的に、ジャングルをナメてます。こういう連中は死んでよし!


 という訳で、生まれて初めて巨大ヘビ映画を見るんだけど、という人なら見てもいいけど、巨大ヘビ映画はもう3本くらいは見たな、という人は見なくていいです。

(2013/01/01)

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