《アルマゲドン2011 "Meteor Storm"★★(2010年,アメリカ)


 B級映画界には 「なんちゃってシリーズ」 というのがあります。《エアポート》シリーズ、《ソーラーストライク》シリーズなんかがそれですが、この《アルマゲドン》もその代表例です。もちろん、配給会社(この場合はわれらがアルバトロス)が同じような設定の映画に適当に《アルマゲドン20**》とタイトルを付けて売っているだけです。ちなみに本サイトではこれまで《アルマゲドン2007》《アルマゲドン2012》を紹介しております。ちなみに、《2012》は2007年作成、《2011》は2010年作成というカオスぶりでございます。しかも,《2012》だけ配給会社が別だったりします。

 内容はいつもの《なんちゃってアルマゲドン》同様、小惑星とか彗星とかが地球を直撃しちゃうけど大丈夫かなぁ、というものです。そしてアメリカのディザスター映画ですから、別れた夫婦は復縁するし、離ればなれになった家族は再会できるし、核ミサイルによる小惑星爆破計画まで登場するてんこ盛り状態です。もちろん、ツッコミどころも満載です。

 それと、地球規模の壮大な物語のはずなんですが、ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)崩壊、という見せ場が一カ所あるのみで、あとは半径500メートルくらいで話が進むだけです。しかも、セリフがきちんとある登場人物が10人くらいしかいません。主人公一家たち5人、空軍関係者が2人、テレビクルーが2人、他数名くらいのものです。天体物理の専門家チームも登場しなければ、アメリカ大統領も電話の声のみで画面には登場しません。徹底的に人件費を削っています。人件費を削って金門橋のシーンを撮影したと思われます。


 ストーリーを紹介しながらツッコミを入れていきます。

 舞台は早朝のサンフランシスコ。渋いおっちゃんがバイクをすっ飛ばすシーンから始まります。当作品の主人公、トム・ヤング(マイケル・トルッコ)です。元空軍大佐で、現在は災害管理庁のトップという華々しい経歴の持ち主です。格好良くバイクを乗り回していますが、その後の展開には全く絡んでいない無駄シーンでした。

 次いで、ロンバード科学大学のキャンパスで学生たちが天体観測をしています。これから始まる流星雨を見るために集まったもので、彼らを指導している教授が本作品のヒロイン、ミシェル・ヤング(カリ・マチェット)です。トムさんとミシェルさん、名字が同じことに気がついたと思いますが、ご夫婦でしたがつい最近、離婚が成立したばかりのようです。「仕事の関係で別れた旦那の姓をまだ使っているの」 というご丁寧な説明まであります。「別れたての夫婦」というのは、アメリカンなディザスター映画では鉄板ですね。

 そしてトムのバイクが大学のキャンパスに到着しますが、ここで早くもトムとミシェルの言い争いを堪能できます。喧嘩の理由は二人の子供(高校生くらいの兄妹)をトムさんが連れてくるのを忘れたからです。ミシェルさんの勢いと鋭いツッコミにトムさん、タジタジです。

 一方、二人の兄妹はパパが迎えに来ないもんだから、二人で流星雨を見に出かけます。「パパが来るまでローラおばさんの家に二人でいなさい」というミシェル母ちゃんの言いつけを守らないのも、ディザスター映画では鉄板の展開です。


 次いで、地元テレビ局のカメラマン(女性)とレポーター(男性)のコンビ登場。流星雨の取材なんてカッタルくてやってられねぇよ、という雰囲気がありありです。ディザスター映画に登場するテレビクルーではこれまた鉄板の設定です。

 そしていよいよ世紀の天体ショーが始まりますが、大気圏で燃え尽きるはずだったのに、燃え尽きずに降り注いで来るではありませんか。地面にバスン、バスンと衝突し、人間も頭部直撃で死人がでています。もちろん、テレビクルーは 「やったぁ! スクープだ!」 と大喜びです。


 一方、ヤングさんちの下の娘さんのカーラちゃんはもちろんお年頃のアメリカン高校生ですから、彼氏と待ち合わせしていたのですが、その彼氏も隕石の直撃を受けて、左腕にけがをしています。隕石直撃でも骨折だけかよ、とつっこまないでください。怪我をしていてフラフラしている彼氏をカーラちゃんが発見しますが、そこに運良く、ローラおばさん登場。おばさんは看護師さんをしていて、てきぱきと応急処置をしてくれます。常に三角巾を携帯しているナイスな看護師さんです。

 その様子を例のテレビクルーが撮影していてテレビに流れます。そのテレビをミシェル母さんが運悪く(?)見てしまいます。ローラおばさんの家にいるはずなのに、と頭に血が上ったミシェル母さんは大学の外に飛び出ますが、ちょうどその時を見計らったかのように、一台の車が大学の入り口に乗り付け、中からトムの空軍時代の同僚が降りてきて、ミシェル母さんに 「あなたのお力が必要です。空軍にすぐに着てください。お子さんは軍が責任を持って探します」 と説得。ミシェル母さんは災害対策本部に連れて行かれます。

 災害対策本部が置かれたのはトム父ちゃんがトップにいる災害管理庁の建物です。隕石対策を空軍が担当していいの、とか、この空軍には大将とトムの元同僚の大佐と電話番の3人しかいないの、とか、この地球規模の危機に、科学者はミシェル母さん一人だけでいいの、とか、いろいろ疑問は生じると思いますが、とりあえず先を急ぎましょう。


 その頃、この隕石群の元になったレダー・ベイ彗星が4つに分裂し、それが降り注いだことがわかります。次に降り注ぐのは地球の自転に沿ってアメリカ中西部、次はアメリカ中部、そしてアメリカ東部の大都市をはかったように落ちてくるはずだ、とミシェル母さんは予測します。オイオイ、地球の自転なら逆方向じゃないの? それは偏西風じゃないの?

 偏西風かどうかは不明ですが、サンフランシスコの西を直撃するはずの流星雨第2団はなぜか、またサンフランシスコ・ベイエリアを直撃します。ミシェル母さん、変だと気がつきます。何かに引っ張られているようです。おまけに、その一帯だけ携帯電話が繋がりません。どうやら隕石自体に謎が隠されているようです。


 そこでミシェル母さんは軍の大佐に 「隕石を集めてきて!」 と命令しますが、なぜか軍人さんは一つも隕石を見つけられません。オイオイ、さっきそこらに落ちたばかりだろう。歩いただけで見つけられるだろう。アメリカ空軍、ぜんぜん役に立っていません。そこでミシェル母さんは、隕石を拾いにアルカトラズ島にヘリで向かいます。一方、トム父さんは例のテレビクルーに「非常事態だ。徴用する! 俺のバイクの後に付いてこい!」と命令して走り回り、お子さまと娘の彼氏を発見して対策本部に連れて帰ります。

 ミシェル母さんにしてもトム父さんにしても、いずれも組織のトップのはずなんですが、無駄にチョコマカと動いてばかりいます。ダメなトップの見本ですね。というか、ミシェル母さんにしてもトム父さんにしても、思いっきり職場放棄しているじゃん。子供のこととなると頭に血が上って、他のことは目に入らないタイプの似たもの夫婦でございます。

 で、アルカトラズ島から隕石を拾ってきたミシェル母さんですが、途中でヘリが操縦不能になってしまうというアクシデントとかあったりして、ヘリが不時着したりして、そこに駆けつけたトム父さんがミシェル母さんを助けたりして、それをテレビクルーが撮影したりして、ヘリが爆発炎上したりして・・・といろいろあって、ミシェル母さんはその隕石が未発見の120番目の元素、ウンビニリウムであることを発見します。このウンビニリウムはある周波数を出すもんだから、携帯電話が通じなくなったのです。おまけに、静電気のような引力を発生し、ウンビニリウム同士は引き合う性質があるのです。だから、地球の自転(偏西風?)を振り切って、サンフランシスコにばかり隕石が降るんですね。なるほど、なるほど。おまけに、サンフランシスコ湾は大昔にウンビニリウムの巨大隕石が降ってきて形成されたことがわかり、そこに引き寄せられていたのです。未発見の元素がサンフランシスコ湾にゴロゴロ転がっていたのですね。


 一方、子供たちと娘の彼氏を助けたトム父さんですが、テレビクルーに「こいつを病院に連れていってやれ」と娘の彼氏を押しつけ、テレビクルーは道路が封鎖されているので「ここから先は歩いていけるよね」と車から降ろします。人情、紙の如しでございます。ちなみに彼氏は病院に独力でたどり着きますが、大混雑で治療を受けられず、道をフラフラ歩いています。アメリカ医療、紙の如しでございます。

 そこにタイミング良く登場するのが看護師のローラおばさん。彼氏、ラッキーです。ところがローラおばさんはちょっと手当をしただけで、「ここに座っていてね」 と言って、また別の病院に来るまで向かいます。オイオイ、おばちゃん、なぜその病院に目の前の怪我人を連れて行かない? 彼氏、可哀想でございます。人情、紙の如しです。

 何とか自宅(マンションの26階!)にたどり着いた彼氏は恋人のカーラちゃんにメールを出します。それをみたカーラはお兄ちゃんと一緒に助けに行こうと対策本部を抜け出します。アメリカンなディザスター映画では鉄板の展開です。みんなが勝手に行動して騒ぎを大きくするパターンですな。

 彼氏の待つマンションに兄妹が到着しますが、また流星雨が雨霰と降ってます。二人はエレベーターに乗り込みます。ほうら、エレベーターが止まっちゃうよ、と思うとすぐにエレベーターは止まってしまいます。シンドラー社製エレベーターだったかもしれません。二人は閉じこめられます。


 一方、病院に向かっているローラおばさんですが、金門橋で渋滞に巻き込まれたところで、大粒の流星雨が金門橋を狙い撃ちし、ボカン、ドカンと金門橋に穴があき、崩壊していきます。この映画唯一に見所です。ローラおばさん、呆気なくご昇天!

 一方、テレビクルーを連れたトム父ちゃんが26階マンションに到着。こいつ、また職場放棄しています。トム父ちゃん、エレベーターの扉を素手でこじ開けてお子さまたちを助け、ついでに彼氏を助けます。3人は26階から階段を降ります。流星雨の直撃を受けたマンションは倒壊しかかっております。でも大丈夫。間一髪でマンションから出てきます。テレビクルーはそれを撮影します。やりました。スクープです! と思ったら、上から落ちてきた瓦礫が男性レポーターを直撃! あの世に旅立たれました。「スクープや。スクープが欲しいんや!」 といつも語っていたレポーターは、自分がスクープ映像になっちゃいました。


 この前の頃から対策本部の空軍大将はしきりに 「核爆弾を使おう」 と口走ります。ディザスター映画では鉄板だけど相手の 「流星雨の元」 はすでにバラバラ状態ですから、核兵器は無理っぽいよね・・・と思っていたら、実は新事実発覚! 流星雨だけだと思ったら、その後ろから小惑星がついてきました。こいつが直撃したら6400万年前のユカタン半島です。こいつには核爆弾、OKでしょう。ところがウンビニリウムの特殊周波数のためにアメリカのGPSは使えず、そうなると核ミサイルを発射できません。発射するためにはロシアのGPSを使わせてもらうしかありません。ミシェル母ちゃん、大統領に電話で事情を説明します。アメリカ大統領、ミシェル母ちゃんのパシリになっています。ロシアはなかなかGPSを使わせてくれません。


 もう、映画の残り時間は10分もありません。すると、いきなりロシアの大統領はGPSを使わせてくれ、いきなり、核ミサイルの発射準備が完了し、アメリカ各地から核ミサイルが何発も景気よく打ち上げられます。蕎麦屋の出前より速いミサイル発射です。

 そして、ミシェル母ちゃんはミサイルが命中するかどうかを見届けずに建物の屋上に上がり、トム父ちゃんや子供たちと一緒に空を見上げます。よくよく、職場放棄の好きな夫婦です。そして、ミサイルは見事に成功し、それをみたトムとミシェルはよりを戻してキスなんぞをしております。

 めでたし、めでたし。

(2013/01/18)

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