《グリード Zwei zum Fressen gern》★★★(2006年,ドイツ)


 海洋モンスター映画に《ザ・グリード》という作品があります。古代の巨大生物が豪華客船を襲う話だったと思いますが,それと全く無関係のワニ映画になぜか付けられたタイトルが《グリード》。最初から「タイトルで騙してやれ」臭が漂っております。おまけに,DVDジャケットのようなシーンは全くありません。いい仕事をしています。

 で,このワニ映画ですが,どうやらドイツでテレビ向けに製作された映画のようです。ドイツのTVMには時々,気合いの入りまくった佳作がありますが,このワニ映画は手堅くまとめたコメディー調モンスター映画という感じで,起承転結も終わり方もしっかり作られています。ですが,余りに予定調和で意外性が皆無のストーリー展開はちょっと退屈でした。あと,登場するワニも普通サイズのワニですし,ワニの犠牲者も一人だけこの手の映画としては少なすぎるし,「ワニ@モンスター映画」を期待すると拍子抜けします。

 ちなみに,ワニさんが人間をパクパクするシーンはなく,スプラッターなシーンはありませんし,オッパイシーンも2カ所のみなので,多分お子さまと一緒に見ても気まずくなることはないと思います。その辺は安心ですね。


 という訳で,ストーリーを紹介しながらツッコミを入れます。

 舞台はドナウ川の流れるドイツのレーゲンスブルグ。この川岸でいかにも悪党とわかる人相の数人が大きな木箱を運んでおります。どうやら,密猟者とギャングらしいです。すると,わき見運転したネエチャンの車が木箱にぶつかり,木箱は川の中にドボン! 中に入っていた巨大なワニが逃げ出します。ギャングさんは密猟者3人組に「ワニを捕まえてこなければ取引は不成立だ!」と言い渡します。普通,こういう展開だと密猟者さんはわき見運転ネエチャンに文句を言うと思うんですが,このネエチャン,いつの間にかいなくなっています。

 そして,街の警察に「下水道から腐敗臭がする。人間の死体でも入ってんじゃないの?」という通報があり,新米検屍官のアンが現場に向かいます。メガネっ娘でちょっと可愛いです。もちろん,本編のヒロインです。そして警察はマンホールから死体を発見しますが,それは人間でなく子鹿でした。で,その鹿の死体をアンが調べますが,何か巨大な動物に食いちぎられたようです。しかも,死骸には大きな牙が1個残されています。

 アンは上司に報告しますが,「どうでもいい事件ね」ということで相手にされません。仕方がないので,知り合いのカメラマン,ブッチーに相談。ブッチーさんは高度メタボ体型で,ゲイで,しかもお喋りという超うるさい奴です。こいつが登場した時点で,この映画はしょうもないコメディーなんだな,とわかる仕組みになっています。でもって,ブッチーは「それなら適役の人を知ってるわ」とゲイバーに連れて行き,そこで,かつてミシシッピーでワニ・ハンターとして有名だった男,“ワニのミッチー”を紹介します。アンはミッチーにその謎の牙を見せますが,なぜか“ワニのミッチー”はその牙がワニのものだと気づきません。本当にワニの専門家なのか,ちょっと怪しい気がしますが,先を急ぎましょう。ちなみに,ミッチーはワニに夢中過ぎて奥さんに愛想を尽かされて離婚している模様で,16歳の一人娘ともギクシャクした会話しかできません。


 で,アンとミッチーとブッチー三人組は下水道を調査することになり,マンホールの中で巨大なワニに遭遇! 3人は何とかマンホールから脱出し,アンの車に逃げ込みますが,なんとワニ君はマンホールから抜け出し(・・・マンホールの梯子をよじ登って出てきた模様です),アンの車を襲ってきます。アンちゃん,車のキーをどっかになくしたようです。ワニ君,車に体当たり! 車はひっくり返されますが,3人は木に登って難を逃れます。

 アンは警察署に戻って上司に「ワニに襲われて死ぬところでした」と報告しますが,もちろん「ドイツにワニ? 寝言は寝てから言ってね」と相手にされず,ミッチーも娘から「どうせ酔っぱらってたんでしょう?」とこれまた相手にされません。日頃の行いが悪いと誰にも信じてもらえないよ,という教訓ですな。あまつさえ,ミッチーは娘のダンス大会に行くという約束も忘れています。娘も別れた妻も木で鼻をくくったような態度です。

 誰にも信じてもらえない3人組は,「こうなったら俺たちであのワニを捕まえるしかない!」と決意し,“ワニのミッチー”は大捕獲作戦を立てます。羊を囮にして(この羊,どうやって調達したんだよ),ワニをおびき出すための魚の臓物をドナウ川にまき散らします。ちなみに,なぜこの場所を選んだのか,説明は全くありませんが,先を急ぎましょう。


 一方,川の向こう岸に密猟者3人組もワニ探しの真っ最中。川に入ってワニを探していますが,向こう岸で臓物をまいている3人組を発見し,なぜか「奴らもワニを探している」とわかり(多分,神のお告げでもあったんでしょう),ミッチーたちを襲います。するとそこにワニも参戦したもんだから,ワニ捕獲作戦は失敗に終わりますが,ワニに発信器を打ち込むのには成功します。

 で,いろいろあって,ミッチーは娘が川岸デートをしている現場に偶然遭遇します。娘さん,彼氏の前でブラを外している最中です。オヤジ,もちろん激怒します。この映画唯一のお色気シーンです。


 ミッチーはなぜか密猟者の名前を割り出し警察に通報。そして,彼らが違法に輸入した動物が押収されます。密猟者の親玉は激怒し,ミッチーが暮らす船に乗り込んでミッチーの携帯電話を発見。そして,ミッチーの娘に偽メールを出しておびき出し,娘を誘拐する計画を立てます。もちろん,ワニと娘を交換するためです。で,密猟者さんたちはミッチーの娘をあっさりとゲット!

 娘を救うために,ミッチーは発信器を頼りにワニの巣を発見します。なんとそこには,産み落とされたばかりのワニの卵が一杯! ワニの卵は1個2000ユーロ出取り引きされている高額商品なんですって。密猟者たちはそのために妊娠したワニを捕まえたんですって。だったら,ワニを密輸するより,ミシシッピあたりでワニの卵を見つけて密輸した方が儲かるんじゃないの,と誰しも気が付きますが,とりあえず先を急ぎましょう。

 そして,「このワニが全て孵化したらドナウ川がワニだらけになってしまうぞ」と考え,ワニの卵を爆破します。ドイツの気候でワニが自然に孵化するんだろうか,とか,冬のドイツの気候でワニは死んじゃうんじゃないの,とか,爆破するより卵を踏み潰した方が確実じゃないの,とか,いろいろ疑問が沸き上がってきますが,とりあえず先を急ぎましょう。


 で,なんだかいろいろあって,ワニをおびき出して網で捕まえる作戦を立てますが,アンとミッチーが網に引っかかり,そこにワニが襲ってきて,ブッチーが間違って網を切っちゃうというお約束のコメディーシーンがあり,なんだかんだあって,ミッチーはワニを捕まえます。ワニ君,口を縛られて大人しくなります。さすがは世界的ワニ・ハンターです。そして,ワニ君をボートに積み込み,密猟者たちの待つ倉庫に向かいます。ワニのサイズは最初6メートルだったと記憶していますが,ボートの中のワニは2メートルくらいのサイズです。いきなり小さくなってます。まぁ,6メートルのワニを3人でボートに積み込むのは無理ですから,2メートルにしたのかもしれません。

 で,ミッチーは密猟者,ギャングにワニを渡しますが,ワニがもう散乱を終えていることに気がつき,怒り狂います。するとそこで都合よく,ワニが目を覚まし(?),暴れ出します。ワニ君,密猟者とギャングさんたちをパクパクと食べます。そして,アンとミッチーとミッチーの娘にも向かってきますが,ミッチーは何とか爆薬をワニの腹の下に置き,ワニを爆破します。めでたしめでたしです。

 そして,警察がそこに踏み込み(誰か通報でもしてくれたんでしょう),アンの上司もようやくアンの言うことを信じてくれます。ミッチーと娘の関係も修復です。警察のボートの中でアンとミッチーが熱くキスなんぞします。隣に16の娘がいるんですから,ちょっと遠慮しろよ,と言いたくなります。


 そして,ブッチーは2000ユーロで売ろうと1個だけ持ち出したワニの卵を手に取りますが,そこでワニが孵化します。驚いたブッチーは卵を落としてしまい,ワニのお子さんはドナウ川に姿を消すのでありました。


 と言う,ワニがあまり活躍しないワニ映画でした。

(2013/02/01)

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