《STAG スタッグ "Cave In"★★(2005年,アメリカ)


 見所も何もない巨大昆虫パニック映画。アメリカ製モンスター・パニック映画の定石通り,教科書通りに作っています。登場人物の設定といい,彼らの行動といい,洞窟の中での出来事といい,意外性なんて耳掻き一杯ほどもありません。全ては淡々と約束通りに進みます。どうせ,低予算のショーモナイ映画なんだから,どこか一点でも突き抜けたお馬鹿シーンでも入れればいいのに,そういうのを入れる覚悟も才覚もなかったみたいです。

 ちなみに,原題は "Cave In" で「陥没」という意味です。ちなみに,"stag beetle" といえばクワガタムシのことを指し,DVDジャケットは思いっきりクワガタムシですが,実はこんなのは登場しません。形は甲虫ですが,頭部にハサミを備えたゴミムシという感じです。ラスボスを除くとサイズはせいぜい2メートルくらいですから「巨大」という感じはしません。


 最初の舞台は1948年,スイスのアルヴェイ岩塩鉱山。地下600メートルで鉱夫たちは偶然,巨大なエメラルド鉱脈を発見しますが,そこで謎の怪物の襲撃を受け,一人を除いて全滅し,坑道も崩落します。

 そして舞台は現代アメリカ。登山ガイドのジョン・パルマー(クリストファー・アトキンス)は久しぶりの家族旅行の計画を立てていたが,スイスの古い鉱山調査のガイドを依頼され,大金を提示される。家族に楽をさせてやりたいジョンはその仕事を引き受けるが,家族も同行させるという条件をつけ,一家(ジョン,妻,18歳の長女,12歳の長男)はスイスに到着する。ガイドを頼まれたのは,60年前に崩落したあの岩塩鉱山だった。依頼主は鉱山事故の生き残りからエメラルドの話を聞いていたのだ。

 そしてジョンは依頼主たち6人とパーティーを組み,廃鉱に足を踏み入れ,事故のあった600メートル地点に近づいていったが,ここで彼らは巨大な昆虫の群れに襲われる。

 その頃,ジョンの妻はホテル近くの湖を散策していて,老人の死体を発見する。それは,案内されたホテルの部屋に飾られていた写真の老人だった。そして,殺人事件が起きたことを知らせようとしたが一味の仲間に知られ,妻と姉は捕まってしまう。一方,ジョンの息子は廃鉱の入口を見つけて入り,エレベーターに乗り込んでしまう。

 果たしてジョンは殺人犯とクワガタムシ軍団から逃れ,妻や娘や息子と無事に再会できるのでしょうか・・・という映画でございます。


 まず,モンスター昆虫についてですが,あまりできの良くないCGでして,それがやたらとウジャウジャしているだけです。怖くもないし,気色悪いという感じもしません。一応,頭部のハサミで人間の胴体や首をちょん切ったりします(このあたりの残虐描写は結構気合が入ってます)。クワガタムシのハサミでモノが切れるかよ,せめてカミキリムシにしてくれよ,と昆虫マニアなら誰しも思うことでしょう。一応,元昆虫マニアとしては,どうせ肉食甲虫を主役に吸えるのなら,マイマイカブリとかハンミョウとか,そっちをベースにして欲しかったなぁ,と思います。あるいはヤブキリとかさ。まぁ,この映画に「クワガタムシ」というタイトルを付けて売りだした日本の配給会社が悪いんですけどね。

 あと,この手のアメリカ製巨大昆虫パニック映画では「女王」がラスボスとして登場させるのがお作法ですが,この映画でも登場します。こいつは10メートルくらいありそうで巨大ですが,特に強いわけでもないし,すごい能力を持っているわけでもないので,無意味にでかいだけでしたね。しかも簡単にやっつけられるし・・・。洞窟から外に出たクワガタムシたちを呼び集めるシーン(理由付け)は,ちょっと工夫していて,これだけはちょっと感心。なるほど,これなら呼び集められるね。小道具もうまく使っていたし。


 物語の設定としては,一家を炭鉱の内部(ジョンと息子)と外側(妻と娘)に分け,それぞれが別々の緊急事態に巻き込まれる,ということになっていて,これはなかなかうまく工夫したな,と思います。でないと,洞窟シーンばかりになって単調になってしまいますからね。とは言っても,二人の子供の言動と行動があまりにワンパターン過ぎて,次に何が起こるか,どういう事件が起こるかがほぼ確実に読めてしまうので,スリリングという感じはゼロです。特に,長男君の行動はこの手の映画の登場人物のお手本みたいなオバカさんぶりで,呆れるしかありません。あの吊り橋のシーンももうちょっと工夫すべきでしょう。


 あとは何かあったかなぁ? ジョンの奥さんの目がブルーできれいなのと,悪者の方の美女ソフィア役がかなり美形なのと,ジョンの長女がちょい巨乳であることくらいかな? その他にも見所はなかったと思うよ。

 あと,前述のように残虐シーンはかなり気合を入れて撮影していて,特に初めの方の「老人の手の甲にペンを突き立てるシーン」はかなり痛そうですから,その手の映像に弱い人は避けて通ったほうがいいかもしれません。


 それにしても,あのクワガタ虫君たちは普段は何を食べて生きているのか,そればかり気になりました。あの洞窟じゃ,肉食昆虫は生きていけないと思うよ。

(2013/02/08)

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