脱力系ウルトラB級巨大サメ映画。ここまで大雑把で投げやりで超テキトーな映画は久しぶりです。気合の入った脱力ぶりです(・・・日本語的にが変だけど)。これまで何度か取り上げてきたAsylumの巨大生物パニック映画(巨大ヘビ vs 巨大ワニとか,巨大ワニ vs 巨大トカゲ)の一つなんですが,このAsylumのシリーズの中でも本作品は一段とレベルが低いです。
そのくせ,登場する女性陣がどれもこの映画にもったいないくらいの美形でセクシーなんですよ。
おまけに登場するアメリカ軍の新型兵器「Walking Tank」,つまり四足歩行する戦車がこれまた,小学生の夏休みの宿題の工作よりはちょっとマシ,という程度の完成度でこれまたナイスでございます。この四足歩行戦車が「地上を歩く巨大サメ」と対決するんですから,B級映画ファンの心を鷲掴みです。そして,このバトルがこれまた唖然とするくらいレベルが低いときてます。
ちなみに,この映画を作ったのはフレッド・オーレン・レイさんで,こういう人です。要するに,超低予算で超くだらない映画を猛スピードで完成させちゃう名物監督です。処女作の《エイリアン・デッド》(1980年)以来30年間,この道一筋にスタイルを変えることなくアホ馬鹿映画を作り続けている素敵な映画監督さんです。
映画の舞台はカリフォルニア。沖にある海底油田基地が掘削中に硬い岩盤にぶつかり,岩盤を溶かす化学薬品を注入しちゃいますが、この岩盤に閉じこめられていた古代の巨大サメ、メガロドンが目覚めてしまいます。そして、油田リグを破壊します。
一方、石油タンカーとの事故で弟を失った過去を持つ海洋生物学者キャサリンはその油田事故に不振なものを感じ、調査を始めます。
一方、海岸のお店では人気DJを呼んでビキニ・コンテストが開かれるなど、ビーチは若者で一杯です。そして若者たちが次々に巨大サメの餌食になります。そして巨大サメはアメリカ海軍の潜水艦も沈め、空から攻撃してくる戦闘機にも飛び上がってアタックし、戦闘機はあえなく墜落!
そして、キャサリンの協力も得てアメリカ軍はアフガニスタン戦のために開発した四足歩行戦車を投入し、巨大サメと最後の対決をしますが・・・という映画でございます。
とにかく、サメが笑っちゃうくらい巨大です。しかも、サイズは伸縮自在で、最初の方のレーダー画像では「鯨サイズ」といっていますが、途中の潜水艦(多分、原子力潜水艦)のシーンでは潜水艦サイズに巨大化します。このいい加減さがいい味を出しています。
おまけに、このサメ君、陸上を胸ビレで這い回り(君はムツゴロウか? キノボリウオか?)、尾ビレで軽々とジャンプしては人間をパクパク食べちゃいます。水陸両用仕様のようです。もちろん、「志村、後ろ、後ろ!」の名シーンもきちんとあります。
それに対抗するアメリカ軍の四足歩行戦車がこれまたキュートです。四本足なのでどんな地形にも対応できる、アメリカ軍ご自慢のマシーンです。これがヒョコヒョコ歩いて移動するんですが、それが何ともかわいらしいです。そして、噛みついてきたサメにキックをかましたりする芸も見せます。でも、横からの攻撃に弱くて、横転したらそれっきりでした。アフガン戦にこれを登場させていたら、世界中の失笑を買いまくっていましたね。
サメが人間を襲うシーンも超手抜きです。ガブっと一飲みしてそれでおしまい。阿鼻叫喚の地獄絵図なんてかけらもありません。サメ・パニック映画なのにサメが怖くない映画です。
超低予算映画なんで登場人物は少ないです。ビキニ・コンテストのねーちゃん6人と酒場のエキストラで人件費を使い果たしたらしく、アメリカ軍といっても歩兵が3〜4人しかいません。軍司令部も人手不足ですから、作戦会議にキャサリンちゃんと船の船長さんがちゃっかり参加したりします。もちろん、最後の「サメ vs アメリカ軍」の戦闘の場にも民間人のキャサリンちゃんがちゃっかり参加したりします。このユルサがたまらなくナイスです。
というわけで、とりあえずビキニのねーちゃんと巨大サメが見られればそれでいいや、というニッチな方にのみオススメ。
(2013/05/17)