《スパイダー・パニック!2012 "Camel Spiders"★★(2011年,アメリカ)


 見どころも何もないダメダメB級モンスターパニック映画なんですが,節足動物オタクにとってはたまらないものがある映画でございます。なんとヒヨケムシ(Camel Spider)が登場するんですよ。ヒヨケムシと言ったらあなた,ウデムシ,サソリモドキとならんで世界三大奇虫の一角を占めるエクセレントでエレガントでブリリアントでアンビリーバボーな節足動物なんですよ。その雄姿が映画のスクリーンで見られただけで,節足動物オタクとしては満足でございますよ。

 この(一般的に言えば)クズ映画の監督はジム・ウィノースキー,そして製作総指揮はあのB級モンスター映画の巨匠にして巨魁にして巨星,ロジャー・コーマン大先生。ちなみにこのコーマン & ウィノースキーのコンビの映画といえば《ダイナクロコ vs スーパーゲイター》などがあります。
 ヒヨケムシについて早く書きたいので,映画のストーリーはテキトーに紹介しちゃいますね(オイオイ)。どうせ,内容がない映画だし。


 最初の舞台はアフガニスタン。ここでアメリカ軍とタリバン(と思われる武装勢力)が銃撃戦を繰り広げていた。アメリカ軍の指揮をとるのはスタージェス大尉(ブライアン・クラウズ)だったが,伍長が敵の銃弾を受けて死亡してしまう。だがその時,タリバン兵士たちの悲鳴が上がり,銃撃が止んだかと思うと,タリバン兵は姿を消す。実は,現地人が「ビシュビシュ(砂の悪魔?)」と呼んで恐れていた巨大な人喰いラクダグモ(ヒヨケムシ)がタリバン兵士を襲っていたのだ。タリバン兵士全滅を見届けたスタージェス大尉は撤収を命じ,伍長の遺体とともに帰路につく。しかしこの時,伍長の遺体には数匹のラクダグモが入り込んでいた。

 そして舞台はアメリカへ。スタージェス大尉と部下の女性曹長(メリッサ・ブラッセリー)が乗る群のトラックが,伍長の遺体と武器を積んだどこかに向かっていた。そこに,パトカーに追われた車が猛スピードでぶつかってきて,遺体は外に投げ出され,無数のラクダグモがアリゾナの砂漠に逃げ出してしまう。パトカーを運転していた保安官(トーマス・ハウエル)はスタージェスたちのトラックが壊れたため,近くの街で援助が来るのを待つように提案する。

 そして,ハイキング中の馬鹿ップルが襲われ,途中のガソリンスタンドが襲われ,学生を連れて野外実習中の生物学教授と学生が襲われ,カフェが襲われ・・・と,次々に犠牲者が増える。生き残った住民たちを連れて保安官とスタージェスは,町外れにある石膏工場に向かい,そこで救助を待つことにしたが,工場は無数の巨大ラクダグモに取り囲まれていたのでありました・・・ってなお話でございます。


 突っ込めないところがひとつもない,というナイスな映画です。箇条書きにすると,

  • 最初のアフガニスタンから次のアメリカに舞台が移るシーンがわかりにくいというか,わからない。

  • スタージェス大尉と女性曹長の軍用トラックはどこに向かっていたんでしょうか。伍長の遺体を届けるんなら,もっと立派な車を使うはずではないでしょうか。しかも,武器運搬もしているみたいだし。

  • この手の映画では珍しくオッパイシーンがありません。普通なら,馬鹿ップルの一方がおっぱいを出したあたりで最初の犠牲者になるのが鉄板なんですけどね。

  • それじゃ悪いかな,ってことで,意味もなく女性曹長がタンクトップ姿になります。この映画唯一のサービスシーンです。

  • ラクダグモ,増えるの速すぎ! 伍長さんの遺体の中にあれほど大量のラクダムシ(映像でみると30〜100cmサイズ)がウジャウジャ入っていたの?

  • 最初の馬鹿ップルコンビの一人は難を逃れてクルマに乗るんですが,もちろんここにはラクダグモが入り込んでいます。彼女はガソリンスタンドに立ち寄るんですが,スタンド経営の夫婦はすでに楽だグモに襲われて「蜘蛛の糸」でがんじがらめです・・・って,時間の経過がムチャクチャじゃん。

  • 生物学の博識老教授が水辺でラクダグモを見つけて「これは本来ここにはいない恐ろしいクモじゃよ」と言いながら近づきます。案の定,すぐに食われます。バカです。

  • 逃げた学生たちの一人が,クモをスマホのカメラで撮影し,ネット検索からその正体がラクダグモであることを知りますが,人喰い巨大ラクダグモのアップ写真,どうやって撮影したんでしょうか。

  • 途中の工場のシーンが間延びしすぎ。離婚寸前の夫婦とその子どもとか,町の地上げを企んでいる悪徳業者とか,来月新婚旅行を控えたカップルとか,そういう人間模様を描いて物語に奥行きをもたせようとしたんでしょうが,無意味で無駄な工夫ですね。

  • こういうモンスターパニック映画では,「逃げた犬/父親か母親を探しに単独行動するバカ息子/娘」が登場するのが鉄板ですが,ここにも登場します。こいつの無分別で無思慮な行動のために2人死にました。

  • ラクダムシですが,シーンによって大きさが全然違います。規格を統一して欲しかったです。

  • ラクダムシはCGですが品質は極めて悪いです。
 


 そういうわけで,おまちかねのヒヨケムシ(ラクダグモ)についてです。かなりの迫力あるお姿なんで,虫・節足動物に弱い人は絶対に見ないでね。

 ヒヨケムシについてはWikipediaに詳しくまとめられていますが,熱帯の乾燥地域に生息する節足動物で,足が10本あり,昆虫ともクモとも異なる種類に分類されています。「直射日光を避けるように生きている虫」ということから「日除け虫」と名付けられたそうです。世界中で1000種類くらいいて,小さなものは数センチですが,多くは10〜15センチくらいのようです。

 いかにもいかにも,というアグレッシブな格好をしていることから「毒虫じゃないの?」と思われますが,実は毒はありません。鋭い顎で足の節足動物,小動物(齧歯類や鳥類)を捕らえて食べるという,アグレッシブな生き方をしています。人間が噛まれてもかなり痛いそうです。

 実は,イラク戦争の時にイラクに進駐したアメリカ兵が初めて目にした巨大で奇怪な姿から,「恐ろしい毒を持っている」,「巨大なものは人間を食う」,「ベッドで寝ていたアメリカ軍兵士が食い殺されたらしい」という根も葉もない噂が流れ,それがこの映画の元になったようです。

 ちなみに日本でも,節足動物などを扱っているペットショップではたまに目にすることがあります

 ちなみにウデムシってのはこういう御姿をしています。ううむ,格好いいなぁ! ウデムシ映画も作って欲しいなぁ。

(2013/08/09)

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