見どころも何もないダメダメB級モンスターパニック映画なんですが,節足動物オタクにとってはたまらないものがある映画でございます。なんとヒヨケムシ(Camel Spider)が登場するんですよ。ヒヨケムシと言ったらあなた,ウデムシ,サソリモドキとならんで世界三大奇虫の一角を占めるエクセレントでエレガントでブリリアントでアンビリーバボーな節足動物なんですよ。その雄姿が映画のスクリーンで見られただけで,節足動物オタクとしては満足でございますよ。
この(一般的に言えば)クズ映画の監督はジム・ウィノースキー,そして製作総指揮はあのB級モンスター映画の巨匠にして巨魁にして巨星,ロジャー・コーマン大先生。ちなみにこのコーマン & ウィノースキーのコンビの映画といえば《ダイナクロコ vs スーパーゲイター》などがあります。
ヒヨケムシについて早く書きたいので,映画のストーリーはテキトーに紹介しちゃいますね(オイオイ)。どうせ,内容がない映画だし。
最初の舞台はアフガニスタン。ここでアメリカ軍とタリバン(と思われる武装勢力)が銃撃戦を繰り広げていた。アメリカ軍の指揮をとるのはスタージェス大尉(ブライアン・クラウズ)だったが,伍長が敵の銃弾を受けて死亡してしまう。だがその時,タリバン兵士たちの悲鳴が上がり,銃撃が止んだかと思うと,タリバン兵は姿を消す。実は,現地人が「ビシュビシュ(砂の悪魔?)」と呼んで恐れていた巨大な人喰いラクダグモ(ヒヨケムシ)がタリバン兵士を襲っていたのだ。タリバン兵士全滅を見届けたスタージェス大尉は撤収を命じ,伍長の遺体とともに帰路につく。しかしこの時,伍長の遺体には数匹のラクダグモが入り込んでいた。
そして舞台はアメリカへ。スタージェス大尉と部下の女性曹長(メリッサ・ブラッセリー)が乗る群のトラックが,伍長の遺体と武器を積んだどこかに向かっていた。そこに,パトカーに追われた車が猛スピードでぶつかってきて,遺体は外に投げ出され,無数のラクダグモがアリゾナの砂漠に逃げ出してしまう。パトカーを運転していた保安官(トーマス・ハウエル)はスタージェスたちのトラックが壊れたため,近くの街で援助が来るのを待つように提案する。
そして,ハイキング中の馬鹿ップルが襲われ,途中のガソリンスタンドが襲われ,学生を連れて野外実習中の生物学教授と学生が襲われ,カフェが襲われ・・・と,次々に犠牲者が増える。生き残った住民たちを連れて保安官とスタージェスは,町外れにある石膏工場に向かい,そこで救助を待つことにしたが,工場は無数の巨大ラクダグモに取り囲まれていたのでありました・・・ってなお話でございます。
突っ込めないところがひとつもない,というナイスな映画です。箇条書きにすると,
そういうわけで,おまちかねのヒヨケムシ(ラクダグモ)についてです。かなりの迫力あるお姿なんで,虫・節足動物に弱い人は絶対に見ないでね。
ヒヨケムシについてはWikipediaに詳しくまとめられていますが,熱帯の乾燥地域に生息する節足動物で,足が10本あり,昆虫ともクモとも異なる種類に分類されています。「直射日光を避けるように生きている虫」ということから「日除け虫」と名付けられたそうです。世界中で1000種類くらいいて,小さなものは数センチですが,多くは10〜15センチくらいのようです。
いかにもいかにも,というアグレッシブな格好をしていることから「毒虫じゃないの?」と思われますが,実は毒はありません。鋭い顎で足の節足動物,小動物(齧歯類や鳥類)を捕らえて食べるという,アグレッシブな生き方をしています。人間が噛まれてもかなり痛いそうです。
実は,イラク戦争の時にイラクに進駐したアメリカ兵が初めて目にした巨大で奇怪な姿から,「恐ろしい毒を持っている」,「巨大なものは人間を食う」,「ベッドで寝ていたアメリカ軍兵士が食い殺されたらしい」という根も葉もない噂が流れ,それがこの映画の元になったようです。
ちなみに日本でも,節足動物などを扱っているペットショップではたまに目にすることがあります
ちなみにウデムシってのはこういう御姿をしています。ううむ,格好いいなぁ! ウデムシ映画も作って欲しいなぁ。
(2013/08/09)