《NO FACE "Plasterhead"★★(2006年,アメリカ)


 映画を結構見ておりますが、数多く見るほどクズ映画にぶつかる率が高くなります。特に、私が好むホラー映画やモンスター映画ではクズ映画が圧倒的多数を占めますから、ショーモナイ映画とショボい映画を交互に見ている感じになります。これもそういうクズ映画の一つです。始まってから7分間くらいまでは結構いい雰囲気だったのですが、その後の展開のさせ方が下手なため、怖くもなければ驚きもない、と言う映画になっちゃいました。


 最初は1990年代とおぼしきアメリカ。スタイルのいい金髪お姉さんが目覚め、いきなり着替え⇒シャワー⇒オッパイというサービスシーンから始まります。一方、ラジオでは森の中をギプス頭の大男が歩き回っているという視聴者の声を紹介しています。金髪姉さん、車を運転して広大な草原に入ってお散歩しています。するといきなり、トラバサミに足を挟まれ、気が付くと縛り付けられて動けません。お姉さんはなぜか足下のバッグを引き寄せ、中からポラロイドカメラを取り出して、なぜか自分撮りをするという謎の行動をします。そして、呆気なく殺されます。

 そして、それから10数年後。アメリカのアホ大学生4人組が車を走らせています。白人兄ちゃん、黒人兄ちゃん、黒髪のお姉ちゃん、そして金髪姉さんです。どうやらマイアミまで遊びに行く途中に、高速道路が込んでいたので高速を降りたんだけど、途中で道に迷ってしまったようです。途中で黒人兄ちゃんがオシッコしますが、そこでバッグを見つけます。冒頭のシャワー金髪お姉さんが持っていたバッグですが、バッグの中には500ドルとノートが入っています。バッグを見つけた黒人お兄ちゃんは「マイアミで遊ぶ軍資金にしようぜ」と至極まともなことをいいますが、いい子キャラの金髪お姉さんが「落として困っているかもしれないわ。住所みたいなのが書いてあるから返してあげましょうよ」と言い出します。何でこんな無茶なことを考えるのかなぁ、と思いますが、こういうバカがいないとストーリーが先に進みません。

 で、町を見つけて住民2人に聞いたら、「その住所は、現在封鎖されている場所だよ」と判明します。普通なら「封鎖されている家に人が住んでいる訳ないよ。バッグと金は町の人に渡して、俺たちはさっさとマイアミに行こうぜ」と考えるんですが、バッグを返すことしか頭にありませんから、その住所の家に到着します。冒頭の金髪姉さんがお目覚めになった家ですね。ちなみにこのあたりで、ガス欠寸前であることが説明されます。

 ドアをノックしますがもちろん誰もいません。普通ならバッグをドアの前に置いて引き返すところですが、そこはおバカ4人組ですから何の躊躇もなく他人の家に上がり込みます。オイオイ、そう言うのを不法侵入っていうんだよ。アメリカじゃ撃ち殺されても文句は言えないんだよ。ちなみに、ついさっき「長いこと封鎖されている」と説明した割には、きれいに掃除されているみたいです。

 そこに保安官がやってきて、「ここは危ないから出て行け」と命令しますが、白人兄ちゃんは「俺、ここの家の孫で、家を相続したんだ」と口から出任せを言い、保安官を追い出します。そして白人兄ちゃんと金髪姉さんはガソリンスタンドの場所を聞くために町に行き、黒人兄ちゃんと黒髪姉ちゃんはその家に留まります。何で君たちはそこまで「他人の家」に居座ろうとするの? 何度も言うけど不法侵入だぞ。アメリカンな人々の行動は訳が分かりません。

 で、家に残った黒人兄ちゃんは昔懐かしいカセット方式のウォークマンみたいなのを取り出し、音楽に聞きふけって眠っちゃいます。一体いつの時代の映画なんでしょうか。一方の黒髪姉ちゃんは図々しくも他人の家で裸になってシャワーを浴びます。10年以上封鎖されているのに水道が出てきた時点で、何かおかしいと感じるべきだと思います。ちなみに、この姉ちゃんのオッパイシーンはありません。そして、シャワーを浴びて服を着たところで石膏のお面(みたいなの)を付けた大男に襲われます。黒人兄ちゃん、全く気が付きません。

 そのころ、白人兄ちゃんと金髪姉ちゃんは町のバーを発見します。ガソリンスタンドの場所を聞きに入ったと思うんですが、なぜカバーの先客の二人のおっさんが、頼まれもしないのに「封鎖されている家の秘密」を教えてくれます。

 1989年、このバーに長距離トラックの黒人運転手が立ち寄ったことがあり、町の住民(白人)と喧嘩になり、住民は黒人運転手をボコボコにして半殺しにし、空き家に放り込んで放置しました。さすがにそれはマズいってことで、翌日見に行ったら運転手の姿はありません。そしてその頃から、この家に近づいた者は姿を消す、という事件が起こるようになり、保安官は家に向かう道路を封鎖したんですね。

 と、ここまで聞いたら白人兄ちゃんと姉ちゃんは家に戻らないで警察に相談するとか、携帯電話で黒人兄ちゃんと黒髪姉ちゃんに警告するとかするはずですが(そう言えば、現代が舞台の映画の割には携帯電話が一度も登場しない映画ですね)、そう言うことは頭に浮かばないおバカさんですから、二人はあの家に戻り、そこで黒人兄ちゃんと再会します。

 黒人兄ちゃんから黒髪姉ちゃんが姿が見えないことを聞いた白人兄ちゃんと金髪姉ちゃんは、この家は危険だから離れようと主張する黒人兄ちゃんをなだめて、3人で黒髪姉ちゃんを捜すことにします。よりにもよって真っ暗な家の中を懐中電灯で探す神経がわかりません。おバカさんってすごいです。

 その頃、閉店後の掃除をしている町のレストランに石膏頭が侵入し、おばちゃんとおっさん(コックさん)を殺します。保安官が二人の死体を発見し、なぜか、「さっきの二人組の大学生の仕業だ」と考え、例の家に向かいます。一方、石膏頭は本格的に家の中に参入し、アホ3人に襲いかかるのでありました・・・ってなお話です。


 この手のモンスター的連続殺人鬼が登場する映画では、

  (1)モンスター殺人鬼のビジュアル的な工夫
  (2)なぜそいつがモンスター殺人鬼に変身したのかという説明
  (3)華麗にして多彩な殺し方と殺され方
  (4)決着の付け方(殺人鬼が殺されるとか、生き残って続編に続くとか・・・)
  (5)テンポの良さ
  (6)女優人の美人度とサービスシーンの巨乳度

あたりの勝負になります。この映画でかろうじて及第点なのは(1)と(2)だけです。特に、石膏頭になる前の黒人(リンチを受けて顔が原形をとどめていない、という設定)の顔はビジュアル的によく作っています。しかし、石膏仮面の目や口の穴から見える肌はきれいなんですよ。このあたりは手を抜いちゃってはダメでしょう。(2)の説明は悪くないのですが、復讐のための殺人だったら、町の住民を次々に殺すべきですよね。ところが、彼はそれまで「家に近づいてくる人間を殺す」だけなので、殺人鬼になった理由と行動が乖離しています。まして、それまでは家に近づいた人だけ殺していたのに、突然町に侵入してレストランの二人を殺すのも意味不明。

 ダメなのは(3)の殺戮手段が華麗でなく単調なこと。最初の黒髪姉ちゃんは「鉄条網で猿ぐつわ」という痛そうな殺され方をしますが、それ以降は単調というか淡泊です。(4)決着の付け方もかなり微妙。あれで倒せちゃうの、と拍子抜けですね。もしかしたらこの殺人鬼さん、ガタイはデカいけどあまり頑丈ではないようです。(5)テンポの良さは微塵も感じられません。映画のシナリオ作りの基本から勉強し直した方がいいと思います。

 (6)登場する女優さんたちの水準はかなり低いです。冒頭に殺される金髪姉さんはそこそこ美人ですが巨乳度は低いです。でも、美人だから許します。ところが、その後に登場する黒髪姉さんと金髪姉さんはひどいです。どちらも大学生には見えない老け顔で、20代後半か30代半ばくらいと思われます。これで美人だったらまだちょっとは許せますが、少なくとも私の「美人の範疇」にはお二人とも入らないというか、かなり外れています。何でこんなのをヒロイン役にしちゃったのでしょうか?


 というわけで、クズ・ホラー映画ファン以外は、レンタルショップとかで見かけても近づかない方が身のためです。

(2013/10/11)

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