《VANISH7 バニッシュ7 "Incidente"★★(2010年,アルゼンチン)


 久しぶりに「クソつまらない」という言葉しかないクズ映画でございます。今さら珍しくもなんともない「POV(Point of View)形式による擬似ドキュメンタリータッチの低予算ホラー映画」なんですが,肝心の映像が壊滅的にド下手です。これほど低レベルの映像を見るのは久しぶりです。ビデオカメラを初めて買ったお父さんが子供の運動会で取扱説明書を読みながら撮影しました・・・というくらいにピントがズレまくり,無意味にズームインとズームアウトを繰り返します。画面を見ているだけで頭がグラグラしてきて,船酔いを体験できますぜ。この映画を最後まで見通した自分に拍手です。

 ちなみに,POVとはカメラの視線と登場人物の視線を一致させてリアルな映像を作る,という手法で,ハンディビデオでも映画が作れることから大流行し,とりわけ予算が乏しい方々に愛された手法なのです。私の記憶では,一番最初のPOV作品は《ブレア・ウィッチ・プロジェクト》(1999)で,これは衝撃的でした。やはり世界初の試みを思いつく人の作品とは端倪すべからざるものなのです。その後,《REC》(2007),《パラノーマル・アクティビティ》(2007),《クローバーフィールド -HAKAISHA-》(2008)など数えきれないほどの映画が公開されます。となると,悪貨は良貨を駆逐する,の言葉通り,クズPOV映画ばかり増えてくるのは当然のなりゆきなんですね。そして,その中の恐らく最もつまらないのが今回の映画でございます。


 2001年5月16日,アルゼンチンのナカン工場で一人の作業員が突如,管理室に侵入して職員を刺殺する。そして,その作業員は工場内の男たちを次々に殺し,突入した警官の前で自殺してしてしまう。16人もの犠牲者を出した怪事件は非公開とされ,工場は閉鎖された。

 そして2年後,ナカン工場跡地で何が起きたのかを取り上げる番組を作ろうとテレビクルーが廃工場で撮影を開始する。そして,2年前の大量殺人を起こした作業員の遺体に不思議な記号が浮かび上がっていたことを取り上げる。その文字は「天使の文字」と呼ばれるエノク語であり,それは「祈り」と「悪魔の召喚」という二つの意味を持っていた。そして,テレビクルーはエノク魔術の研究者とその弟子,神父を集め,降霊術を行う。そして,まず神父の体に異変が起き,惨劇の幕が切って落とされる・・・という映画です。


 この手のPOV映画では[ハンディビデオで何かの撮影を開始]⇒[異常現象が起こる/怪物が襲ってくる]⇒[カメラマンは必死に逃げながら撮影する]という構成をとるのが普通です。そして,関係者が全員死亡し,現場に残されていたビデオを再生したらそこには・・・というのがお決まりコースです。つまり,カメラマンは最後の最後までビデオカメラを回し続け,撮影し続けなければいけません。ゾンビが襲ってこようが,モンスターが襲ってこようが,亡霊が出現しようが,カメラを手放せません。「木口小平のラッパ」状態です。

 普通に考えれば「撮影する暇があったらまず逃げろよ」であり,この映画でも「なんでここでお前は外に逃げないの? カメラを回している場合じゃないだろ!」というツッコミが入りまくり状態です。優れたPOV映画ではその不自然さをうまく回避する設定にするとか,カメラを回し続ける理由付けをするとかして工夫するんですが,今回の映画ではそういう配慮は一切なし。悪魔憑きになって襲ってくるテレビクルーから逃げずにズームしてピントを合わせるのに一生懸命なようです。そういう撮影命カメラマンが最後まで生き残るのですから,不自然を通り越してお笑いになっちゃいました。

 映像的にも怖いところもビックリさせる部分はないし,スプラッターシーンもグロシーンもないし,悪魔憑きネエちゃんや兄ちゃんのメイクもちょっと気合を入れました,程度です。せめて,巨乳アルゼンチン美人が一人でもいれば救いようがあったのですが,映画製作陣にはそういうことに頭を巡らす余裕はなかった見え,いたって地味っぽいネエちゃんと兄ちゃんとオッサンしか登場しません。


 もうこれ以上,書くことがありません。そういう映画です。そういうわけで,レンタルショップで見かけても絶対に借りないでね。

(2013/12/10)

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