《8mm 2》★★★(2005年,アメリカ)


 最後のシーンを見終わって狐につままれた気分です。結局これってどういう事件だったの,誰が黒幕だったの,全部仕組まれたものだったの,最後に死んだはずの人間まで登場するけどあれは現実なの,それとも幻なの,それともあいつらは本当は死んでなかったの,と疑問が全て解決しないままに終わってしまいました。脳味噌が糞詰まり状態です。ミステリアスな雰囲気に包まれた映画ですが,単にミステリアスな雰囲気に誤魔化されているだけじゃないかという気がしてきます。

 それと先に言っておきますが,これはソフトポルノ映画というか,無駄なエッチシーンが多いです。女の子が裸で踊っているお店も何度も舞台になるため,登場する女性の99%がオッパイを見せてくれます。というわけで,家族と一緒に見る映画じゃないですので,そこんとこは注意して下さい。


 大金持ちの令嬢ティッシュと彼女の婚約者デイビッドが主人公です。この二人がどっかのリゾート地にあるホテルに泊まり,近くのクラブで踊っていたら謎めいた美女が近づいてきて,3人で楽しみましょう,って誘うわけ。で,いきなり,3人でのエッチシーンに突入。

 それでお仕舞いならよかったんだけど,実はエッチしているところを盗撮されていて,二人の裸の写真やらビデオやらが送りつけられてきて,二人は脅迫されるわけですよ。

 もちろんティッシュちゃんは,「パパに相談すれば何とかなるわ」と言うんだけど,デイビッド君としては彼女の父親にばれちゃまずいわけ。なぜかというと,デイビッドは大金持ちでも何でもないから。貧乏から這い上がってきてなんとか上流階級の娘さんとおつき合いできるようになり,最高裁判事になろうかというティッシュ・パパの後ろ盾があれば議員になれるもんね。それが,こんな事件に巻き込まれたとばれちゃったら信用をなくしてしまい,自分の未来はありません。何しろデイビッド君,以前にも仕事でミスをしたことがあるらしく,もう失敗は許されないのです。


 そこから事件が二転三転したり,関係者が次々殺されたり,犯人からの要求金額が20万ドル⇒100万ドル⇒500万ドルとエスカレートしてきたりするわけです。で,全財産をかき集めても20万ドルしかないデビッド君は,最初のうちは「ティッシュ,ここは僕の金で解決するよ」とか言ったりしますが,100万ドルとか500万ドルとかになると,あっさりとティッシュちゃんに出してもらったりします。

 一方,デイビッドのためなら何でもするわ,と健気なティッシュちゃんは,事件の真相を知っているはずの謎美女ちゃんの情報を得るために,裸お姉ちゃんが踊っている怪しげなお店のオーナーにオッパイを見せたり,危ない目にあったりします。

 で,真相を知っていそうな奴が次々と殺されたり,オッパイだらけのエッチなお店を次々訪れたり,デイビッド君がさらわれたり,彼を助けるためにティッシュちゃんが街を走り回ったりします。

 で最後は,お金は取られたけどデイビッドは無事に戻ることができ,二人の結婚を父親が祝福し,議員になれそうだと言うところでめでたし,めでたし・・・かと思っていたら,最後にもうワンシーン,かなりびっくりするシーンがあります。それは見てのお楽しみなんですが,この最後を見るとみんな,頭を抱えるはずです。何だ,そりゃ・・・って。


 このシーンが幻でも何でもないのであれば,合理的な説明は△△以外の全員が○○だったということになり,そうなると単なる5億円詐欺事件だったことになります。しかしその場合,△△の目に触れる場所で集合する意味がなくなります。△△にばれちゃいますからね。そうなると何より困るのは●●です。全て失っちゃいます(まさか,△△の□□まで○○だったというわけにはいかないでしょう)。またこの場合,●●は窒息死寸前で助けられる,という設定で一歩間違えばあの世行きですから,命を懸けてお芝居をしていたという事になり,かなり歩留まりが悪いです。

 それと,ティッシュ・パパがいきなりデイビッドを娘の結婚相手として許すのも変。それまであれほど,「もうミスをしたら次はないぞ」と言っていたからです。実はこの事件と同時進行で,デイビッドの会社(?)には油田開発の契約(?)という大仕事が舞い込んでいて,それに全てを賭けていたからです。となると,犯人探しをしたり,銃撃戦をしたり,警察の質問を受けたり,死体を発見したり,人質になったりしている最中に契約をするのは不可能ですから,常識的にはこの契約は流れて会社は大損,ティッシュ・パパはデイビッドを呼びつけて「もう二度と顔を出すな!」と怒鳴りつけてお仕舞いのはずです。それなのになぜ,ティッシュ・パパは彼を認めちゃうんだろうか? 何度考えてもわかりません。


 ここでちょっと考えたんですが,例のお騒がせセレブ,パリス・ヒルトンがティッシュちゃんの立場だったらどうなるでしょうか。多分,生エッチビデオが送りつけられた時点で,「あっ,このビデオね。世界中の私のファンが見てるわ。で,これがどうしたの?」とか,「随分画質が悪いビデオね。これじゃ私の裸,きれいに見えないわ。私に失礼よ。もっときれいなビデオ送ってあげるから見てね」とか対応して一件落着じゃないでしょうか。挙げ句の果てに金を要求されたら「20万ドルでいいの? 私のペット(パリスたん,希少珍獣を飼っていたため世界中の顰蹙を買ったことがあります)のえさ代くらいね」って言って,相手にしてもらえないはず。

 と考えてみると,お馬鹿パリスとか言われていますが,こういう事件に巻き込まれた場合には見事に対処できそうです。

 というわけで,ティッシュちゃんのようにエッチの様子を盗撮されて脅迫される事件に巻き込まれたら,パリスたんのように対応すればいいことがわかります。もちろんその前に,生エッチビデオが世界中に流出していることが必要ですけどね・・・。

(2006/10/26)

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