《キラー・アイ 〜悪魔の巨大眼球モンスター〜》 (1998年,アメリカ)


 クズ映画ファンの間でも,とりわけひどいと言われているのが「キラーシリーズ」です。巨大トマトが人を襲うという「キラートマト」など,人間の想像力の限界に挑むというか,人智を超えまくった無茶苦茶な作品が並んでいるらしいです。その中でも,とりわけこれはひどかったと評判(?)なのが本作《キラー・アイ》。いやはや,聞きしにまさる凄さでした。

 ストーリーを要約するのも馬鹿馬鹿しいんだけど,ある異次元研究者がいてね,こいつが八次元の存在を証明するために研究しているわけ。そして実験台となる青年に目薬を差させて望遠鏡みたいなのを覗かせるの。この目薬を差して覗くと八次元が見えるんだってさ。ところが,目薬が化学反応(と映画では説明)を起こして八次元との壁がちょっと崩れ,そこから八次元生物が侵入し,装置をのぞき込む青年の目に寄生しちゃい,目玉が巨大化しちゃって体から離れ,視神経をズリズリ引きずりながら女性を見つけては襲おうとする,という映画。


 映画のいい点は70分くらいと短いこと。それでも長すぎるけどね。ま,この点一つくらいは褒めときましょう。


 それ以外はクズの中のクズ,キング・オブ・クズ映画。ありとあらゆるクズ・モンスター映画の悪いところを寄せ集めたって感じ。

 まず,モンスター@巨大目玉(巨大目玉オヤジだな)はそのまんま張りぼてです。高校の文化祭で徹夜で作りました,って感じでショボイくて哀しくなります。瞳孔のところにバチバチってスパークみたいなのが走るのが八次元生物の特徴かもしれません・・・って,その程度かい!

 で,八次元を見るという研究をしている博士の研究室ですが,ショボイ機械がちょっと並んでいるだけです。研究室というより中学校の理科室という感じです。いや,小学校の理科室より設備がしょぼかったな。

 登場人物がやけに少ないです。研究者とその妻,研究者の助手とその妻,同じ建物(外見からすると8階建てくらいのマンションみたいな作りです)の研究室の下の階あたりに住んでいるらしいお兄ちゃん二人組(朝からドラッグをむさぼり食ってはラリっている馬鹿です),そして唐突に登場する髭面のお兄ちゃん。この7人だけです。人件費,ケチり過ぎです。おまけに,まともな奴が一人もいません。みんな変です。この人物設定こと,八次元的ってやつでしょうか。


 そうそう,この映画は「ホラーのフリをしたソフトポルノ映画」です。本当は巨大目玉なんてどうでも良くて,エッチシーンを撮影することが目的だったと思われます。研究者の妻は研究に熱中する夫がかまってくれず,年がら年中欲求不満状態。冒頭に登場するシーンから無駄色気,無駄フェロモン出まくりです。で,ドラッグ兄ちゃん二人を相手に年がら年中浮気している模様です。

 で,お兄ちゃん二人を相手のベッドシーンですが,お兄ちゃん二人はバミューダパンツみたいなのをはいたままだし,フェロモン妻は服を着たままです。それなのに「俺,もうだめ! クタクタだよ」ってお兄ちゃんは爆睡しちゃうの。君たち,一体どんなプレーをしてそんなに疲れたの?

 で,研究助手の妻は部屋でルームランナーみたいなのをしたあと,スッポンポンの裸になってシャワーを浴びます。サービスシーンですが,お腹がポヨンとしていておデブちゃん気味です。だから,別に裸になってくれなくてもいいです。


 でもって,巨大目玉は人間を乗っ取ったり,脳味噌を食べてはエネルギーを得ようとしたりするわけで,事情がわかったみんなは逃げだそうとか,警察に連作しようと言うんだけど,研究者は自分の手柄にしたいから,捕まえて研究しようとか言い出すわけさ。そりゃ,無理だって誰しも考えるところですが,外に逃げたら外の様子を映さなければいけなくなるという配慮から,意地でも建物の外には一人も出ません。よほど,予算がなかったんだね。

 舞台となっている建物の構造,よくわかりません。かなり大きなマンション風の建物なのに,7人が住んでいる部屋にしか巨大目玉は登場しません。目玉は通気口を通じて移動しているようなんですが,他の部屋には通気口が繋がっていないんでしょう・・・多分。変な建物!

 でもって,巨大目玉の弱点を見つけて目玉を弱らせ,目玉は元の八次元に戻りますが,八次元研究者は「僕も連れていって」と八次元覗き用望遠鏡に吸い込まれ,映画は終了。なんだ,そりゃ! ここまで意味不明の終わり方,久し振りに見ましたね。


 それにしても,よくこの程度の映画,作っちゃったもんだよ。それに感動しますね。

(2006/08/21)

 

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