《ハリウッド人肉通り》(2003年,アメリカ)


 低予算のクズ映画の殿堂といえばアルバトロスですが,まさにその見本みたいな低予算ゾンビ映画というか食人鬼映画です。思いっきり金をかけていません。ビデオ撮りなんで画面がしょぼくて見ていて疲れます。発想はいいのに金も手間もかけないもんだから,結果として最悪の映画になっちゃった,という代表例。ま,手間暇かけて金かけて,その結果としてB級映画,ってのよりはましだけどさ。

 話のネタになっているのは実際にハリウッドにある都市伝説らしいですが,要するに,街の下水道にゾンビというか食人鬼たちが棲みついていて,夜毎に下水道から出てきては歩いている人間を襲っては喰っている,という映画です。ちなみに原題は "The Ghouls" ,つまり,伝説の食人鬼「グールー」ですね。


 主人公はフリーのカメラマンで,金のためならどんな凄惨なシーンでも撮影しては売り込んでいるという,嫌な奴です。こいつがたまたま,ゾンビ君たちが女性を襲っている場面に遭遇するんですが,「これはレイプだ,撮影したら売れるぞ」と考えてあとをつけて行きます(助けようなんて気がさらさらない,とんでもないやつだってことがここでわかる。お前なんかさっさと喰われちまえ!)。ところが女性がパクパク,ムシャムシャ喰われているのですよ。

 その様子を撮影して,売り込もうと思ったら,肝心のテープが入っていなかった。そこで,友人を誘って人を喰う怪物を撮影しようと出没現場にまた足を踏み入れる,というストーリーだったかな。

 ストーリーとしてはそこそこ面白い設定のはずなんだけど,ゾンビ君たちのメークもおざなりだし,喰われている人も腹部から小腸をまき散らしているだけだし,怖くも何ともありません。


 このゾンビ君,後半になるとどうも,ゾンビでなく普通の(?)人間みたいで,下水道の中で家族で暮らしていて赤ん坊までいることが判明します。要するに,食性が単に人肉食というだけのようです。しかし,捕らわれた主人公が逃げる際,食人鬼一家を皆殺しにして逃げるのですが,その乳飲み子や,乳飲み子を抱いて命乞いをする母親まで無慈悲に撃ち殺します。恐らく,この映画で最も凄惨なシーンでしょう。食人鬼より怖い人間様です。

 物語の後半にたまたま絡んでくる精神発育遅滞と思われる青年がいますが,こいつが最後の方でとんでもないことをしでかします。そして,その様子を撮影したビデオテープを高額で買い取ろうと申し出るプロデューサー(みたいな奴)のシーンで終わるのですが,ある意味,グールーよりもこいつらの方が人でなしで,「おめえら,人じゃねぇ!」と言いたくなります。こういう連中の方がよほど怖いです。

(2006/04/00)

 

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